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汚染前のエルク.リバー                                                  汚染後

ウエスト.バージニア州一部人口300,000人の水源であるエルク.リバーに多量の化学物質が漏れ、1月9日に同州の知事は緊急事態宣言を発表した。1ヶ月以上月経過した現在でも、悪臭があるとの苦情があり、水の安全性は不確実な状態である。驚くことに、事故当事者である化学品工場の安全基準は米国の一般的な安全基準に適合していなかったことが事故の3ヶ月前には既に判明していたことを同州の議会は昨日の聴聞会で知ったばかりである。

1月9日、チャールストン市にあるフリードム産業が運営する化学物質貯蔵タンクの一つから、液体がエルク.リバーに漏れていたことが報告されたため、同州の知事アール. トムビリン氏は緊急事態宣言を発令した。最初、漏れた時期およびその量についての正確な情報は不明であった。漏れた液体は天然MCHMと呼ばれる化学物質であり、同州の保健当局はこれに露出した場合、継続的な吐き気、深刻な目や皮膚の炎症、焼け付くような喉の痛み、呼吸困難などの症状があると警告した。住民は飲料水にアクセスできない状態になったため、米国連邦緊急事態管理庁は国土安全保障省が100万リットル以上の清浄水を被災地に届けることを確認した。数日後、同州当局は調査を開始し、 漏れている量は推定より多い7,500ガロンであると報告した。この時点で、トムビリン氏は石炭会社の事故ではなく、化学品供給会社の責任であると推測した。4日後には水の使用禁止命令は解除されたが、多数の住民は天然MCHM露出の症状を訴え病院に殺到したことが判明した。ある時点でウエスト.バージニア州の数百人は緊急治療を受け、数千人は水の悪臭がひどいため電話で毒物取締センターに助けを求めた。

毒性物質の漏洩が発覚してから2週間目も同州の当局は水が安全であるとは宣言できない状態であり、同州のトムビリン知事は、水は100%安全であるとは言えないため、安心できなければ使用すべきではないが、水を使用するかどうかは住民の決定に委ねると記者団に語った。1月21日には、フリードム産業は更に付加的な化学品であるPPHも漏れていると告白した。24日、この会社は別の化学品が水中に漏れていたことは最初から分かっていたが、州当局に報告しなかった。APによると、州の環境保護省の担当者は、この会社は2つめの化学品が貯蔵工場からエルク.リバーに流れていることに気付き、メールで従業員に知らせたが州政府に知らせることを数日間怠っていたという。州の環境保護省の担当者は、会社のほとんどの従業員は電子メールの情報を深く読まなかったと述べた。

1月27日、フリードム産業は天然MCHMとPPHの混合物質は合計約10,000ガロン(約3.8000リットル)が彼らの化学工場からエルク.リバーに漏れたと報告した。最初の州政府推定5,000ガロンから、7,500ガロンに増大し、最終的に10,000ガロンに増え続けた。2日後の水曜日、マーシャル大学の環境科学者および州の環境委員会のメンバーは、地元の水のサンプルに発癌性物質が検出されたと州議員に報告したため、住民は引き続きボトル水を飲み続ける必要があると警告された。最悪にも、31日にはフリードム産業の化学品タンク貯蔵場所で、請負業者が地下のパイプを打撃し、更に多量の天然MCHMが放出するという事態が発生した。周辺の空気は悪臭が漂ったが、これはエルク.リバーに漏れなかったと報告された。

更に、2月1日、同州の環境保護省はフリードム産業の化学品タンク貯蔵現場を調査していなかったことが判明した。タンク貯蔵地の以前の所有者は10年前、環境保護省の水汚染の検査を受け許可されたからである。悪臭が報告された後、ある学校では一人の教師が目眩を起こし、数人の生徒や職員は頭がふらふらし、目が燃えるように痛いなどの症状を訴え、学校は休学になった。先週カナー郡の多数の学校は同じような悪臭があると報告した。2月8日、ウエスト.バージニア州の住民は水の安全性が明確ではないため抗議活動を開始した。事実、実際に試験されたのは天然MCHMのみであり、他複数の化合物は試験されていないため、全ての漏洩物質が報告されているのか、様々な安全性の疑問が残っている。

11日のアルジャジーラによると、 飲料水使用の制限は1月19日撤回され、2月5日、疾病管理&保護センターは、水の使用は適切であると述べたという。しかし、驚くことに、緊急事態宣言が発令される3ヶ月前に、米国の化学安全委員会がフリードム産業の化学品タンク貯蔵を検査した際、連邦および化学産業基準に適合していなかったことを同州の議員らは昨日の聴聞委員会で初めて知ったような現状である。従って、議会および当局関係者は、300,000人の飲料水の安全性にまだ疑問を残したままである。

エルク.リバーは中央ウエスト.バージニア州に位置し、カナーとオハイオ川を経由しているミシシッピー川流域の一部である。人口約186万人のウエスト.バージニア州の首都圏9郡内で、少なくとも30万人の住民は飲料水にアクセスできない状況である。この事件の報道がピークに達した1月中旬には、特に、多数の地元のメディアおよび全国紙のニューヨーク.タイムス、AP、アルジャジーラをはじめ、TV.ニュース.メディアのCBS、NBC、CNNなどが融資を受けていない環境調査団体および科学研究チームの調査結果を集中的に報道した。

同州の毒性物質の漏れ事故は 、安全対策において著しくずさんな状況を浮き彫りにしている。同州では今回の事故を含めて、過去5年間で3回化学品の漏洩事件が発生している。事故経過の大筋をたどると、何かにつけ事前事後の報告が遅れがちであり、化学品タンク貯蔵施設は所有者が変わったにも関わらず、10年間も検査が行われていなかったことなどが分かる。従って、今回の事故は同州の環境保護基準および化学物質取締法にかなり問題があり、結果的に住民の健康と水の安全性に関する注意が怠慢であったことを示唆している。8日から開始された住民の抗議活動は、そのような状況を改善する一歩になることを願うばかりである。

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