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下院は昨日の夕方、債務限度引き上げ法案に無条件で投票し221対201の票差でクリーン法案を通過させた。他の交渉条件を考えることを意外にも早く諦めた結果である。 通過した法案は上院に移動し、まもなくの投票が期待されているが、上院ティーパーティ議員は債務引き上げのクリーン法案の投票を阻止するためフィリバスター(議事妨害)を行使すると宣言した。一方、上院は10日、包括的退役軍人法案の投票を行い圧倒的な支持で通過した。

下院議長ジョン.ベイナー氏は、下院予算委員長のポール.ライアン氏と上院予算委員会議長のパティ.モォリー氏による超党派の予算交渉で12月に成立した、軍人退職年金の削減を停止することを債務限度引き上げの交渉条件にする予定であったが、オバマ大統領および民主党は、無条件のクリーン法案を主張し続けたため、また、ベイナー氏や共和党には別の案もなく、適切な交渉課題を見つけることが出来なかったため簡単に諦めた様子である。投票で218票あるかどうかを懸念したベイナー氏の予想を超えて通過したクリーン法案は2015年3月中旬まで有効である。賛成票に投じた共和党には、政府閉鎖と債務不履行を避けるとの強い意識もあり、過去数年間の債務限度引き上げ紛争はとりあえず幕を閉じた印象がある。

大多数の民主党及び複数の共和党は、国に奉仕する軍人の退職金削減は間違っているとライアン.モォリー両氏の予算交渉に不満をもらしていたため、その削減を停止することは良いことであるが、債務限度引き上げ法案とは別に対処するべきであるというのが、民主党の意見であった。従って、下院はオバマ氏が望む通りのクリーン法案を通過させた。ベイナー氏が軍人退職年金削減の停止を交渉の条件として提案する前に、既に退役軍人上院委員会の委員長であるバーニー.サンダース氏は、削減部分を停止するのみではなく、教育援助など一定の受益を拡大することが含まれている包括的退役軍人法案を提起していた。上院は10日にその法案の投票を行い94対0の圧倒的な支持で通過した。下院でも投票があると思われるが、上院で通過した法案は削減を停止するだけではなく、それ以上の受益が含まれているため下院で通過するかどうか不明である。

昨夜、上院多数派の民主党リーダー、ハリー.リード氏は、クリーン法案を早く通過させたベイナー氏の決断を評価し、上院も早く投票すると述べている。しかし、 上院のティーパーティ議員で10月に政府閉鎖を先導したテッド.クルーズはクリーン法案の通過に反対し、上院での投票を妨害するため、フィリバスターを行使すると宣言した。その場合、上院でクリーン法案を通過させるためには60票が必要であるが民主党の票は55票しかない。現在のところ、上院はクルーズの投票妨害宣言にどのように対抗するつもりなのか明確にしていない。クルーズのフィリバスターが成功するかどうかは、上院少数派の共和党リーダー、ミッチ.マコーネル氏の態度にも依ると思われる。

いずれにしても、単なる債務限度引き上げ法案の投票さえ事がスムーズに運ばない障壁がある。正統派の共和党は昨年の政府閉鎖で国民の支持を失った教訓から、同じ過ちを繰り返さないという意識が強いように思われるが、クルーズとその仲間は、必要があればそれも辞さないと述べたことがある。極右派ティーパーティは議会内部で投票妨害を計画し、議会の外部ではベイナー氏を激しく批判し、「ベイナーを追い出す時が来た」と騒いでいる。

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