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昨日テキサス州中部のキリーン郡にある米国フォート.フッド陸軍基地で銃乱射事件が発生し、3人が射殺され16人が負傷した。米国の軍隊基地内で発生した銃乱射事件は5年間で今回が3回目である。しかも、フォート.フッド陸軍基地では2回も発生しているため、様々な疑問が提起され、論争的な話題に発展している。

この基地では2009年11 月5日に銃乱射事件による殺戮があり、13人が殺害され30人が負傷した。犯人のニダール.マリク.ハサンは当時39歳の元米国陸軍の精神科医であり、未婚で社会的に孤立していたと言われている。また、職務上軍人らと接触することを嫌い、軍人に対する福祉政策に不満を抱いていた。この殺戮事件は、アフガニスタン任務が決まった後に発生しているが、ハサンは不安とストレスを抱えていたと伝えられている。

2013年9 月16日、ワシントン海軍基地の海洋システム司令部の建物で起きた銃乱射事件では13人が死亡し、8人が負傷した。犯人は34歳の黒人男性アーロン.アレクシスで、民間請負業の社員として海軍の委託業務に従事していた。事件後、多数のメディアは、アレクシス自身はいじめの被害者であること及び頭で声を聞くと主張していたことなどから、精神的な病気で苦しんでいたと推測していた。

昨日フォート.フッド陸軍基地で発生した銃乱射事件の犯人、アイバン.ロペスは34歳の現役軍人であった。しかし、鬱病や精神的不安定の問題を抱え、精神科で数回治療を受けた記録があり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱えていた可能性があった。ロペスは精神科に通っていたにも関わらず、銃の購入が可能であった。 3月早期にセミ自動のピストルを購入し、その銃を使用して3人を射殺した後、自分の頭部に銃を向け引き金を引いた。自殺した本人は、精神的な問題の治療を切望していたと言われている。

軍隊基地で発生した銃乱射事件の犯人は、いずれも多かれ少なかれ、何らかの精神的な問題を抱えていたことは明白である。特に、今回のケースで論争的な問題は精神科に通っているにも関わらず、どうして銃を購入することが可能であったのかという点である。現在の連邦政府の法律は精神的に問題があることが判明した人物に対する銃の入手及び保持を禁じている。また、米国退役軍人省は軍人に対して、銃購入の際、バックグランド.チエックを義務づけている。しかし、ロペスは何の問題もなく銃の購入が可能であった。どうして、精神科で治療を受けていた人物の危険性を予期できなかったのか、このような人物の国防省でのモニターはどうなっているのか、疑問が提起され初めている。

別の論争的な問題は、軍隊基地で軍人に銃の携帯を許可するべきであるかという論議である。現在の連邦政府の銃法では、軍人は軍隊基地内に駐留している時、安全警備員以外に拳銃を携帯することは禁じられている。これはa gun-free zone(銃のない地帯)の概念に基づいて、1992年ジョージ.H.W.ブッシュ政権が提唱し、1993年3月にビル.クリントンが署名した軍人の非武装法であり、ジョージ.H.W.ブッシュ政権からの軍隊銃規制政策である。今回の事件を受けて、複数の共和党は、再度この法の撤廃を主張し始めた。2013年9月に軍隊基地安全法案が共和党の議員に紹介され、初代ブッシュ時代から続いている軍隊銃規制法を撤廃する動きがあったが採用されていない。今後、軍隊基地内で大量殺戮事件が発生する前にこの法を撤廃するべきであると主張している。その主張は単純であり、軍隊基地で軍人が銃を携帯していないため襲撃されやすい。従って、銃の携帯を許可し、軍人は自分を守るべきであるというのが一部の共和党の主張である。これは銃が多いほど銃犯罪が低下するという発想に基づいている。

しかし、軍人に多いストレス、PTSDなどの精神的問題を抱える現役および退役軍人の看護と治療には焦点をあてていない。主な疑問は、銃使用の訓練を受けている軍人も軍隊基地で銃を携帯することが可能であれば、精神的に問題のある人物の襲撃を阻止することが可能になるのか、また、銃を携帯することで、殺人の意志がある人間の行動を阻止することが可能なのかという点である。武装した軍人同士の小競り合いから生じる暴力が深刻な銃乱射に繋がるケース、事故による銃弾発射などのリスクはないのか、様々な疑問があるはずである。

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