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昨日、ネバダ州のラスベガスの北東80マイルの距離にあるバンカーヴィルという小さな農村地区で警察と武装した市民兵を含む右翼グループとの小競り合いがあった。連邦政府側の冷静で懸命な判断により、暴力を避けることが可能であった為、無事にひとまず落ち着いたが、全てが終った訳ではない。これは、連邦政府の土地管理局と牧場主との間で20年以上続いている土地所有権争いによる紛争である。その背景や原因については法律的な問題がからんでいるため、今後も紛争は続くと予測されている。

公共土地の所有権争いは特に珍しいことではない。連邦政府の土地管理局(BLM)は20年以上連邦政府が所有し管理している牧場に不法侵入し、裁判所の数回の命令に従わなかった67歳の牧場主クライビン.バンディの家畜の差し押さえを先週から開始した。その背景は(1)バンディが1993年から連邦政府が所有している牧場の放牧費の支払いを中止した為、罰金を含む約100万ドルの未払いがある。(2)APによると、2つの連邦裁判所は1998年からバンディの家畜を侵入地から移動させるよう命令したが、彼は裁判所の命令に従わなかった。また、昨年も頻繁に同じ命令を下したが、彼はその命令を無視し続けた。ロイターによると、連邦裁判所の最後の命令は3月中旬であり、45日以内に彼の家畜を政府の土地から移動するよう要求していた。(3)バンディが侵入している牧草地の近辺は、生息の危機に瀕しているカメを保護するためであるとBLM 当局は主張している。(4)環境団体は、裁判所の命令を支持している。

従って、バンディは連邦政府の土地に不法侵入し、法律違反を犯しているということである。BLM当局が結成した森林警備隊のチームは、1,000頭の家畜を捕えるため、先週中頃から家畜の包囲を開始し、昨日土曜日までに300から400頭の牛の差し押さえに成功したが、多数の群衆が武装していたため、人命に関わる安全性の懸念があることを察し、家畜を解放したとAP、ロイターを含む多数のメディアは伝えている。

一方、1993年以前には土地使用料の支払いをしていたバンディは(1)連邦政府の土地であることを認識していないため、これはネバダ州又は群が所用している土地であるため「侵入ではない」と主張し始めた。しかし、誰(国)が所有しているものなのか実際には理解していない。(2)1993年からその支払いを停止したが、立ち退きを命令されている土地は、彼が所有する家畜が草を食べる重要な場所であると主張している。(3)1870年代から、彼のモルモン教徒の先祖がバンカーヴィルで牧場を運営していた為、自分の土地であると主張し始めた。

バンディを支持するためユタ、アイダホ、及び他の近接州から集まったグループは、反政府者、銃保持の権利を主張する活動家、州の権利を主張する抗議者などであり、特に、市民兵は拳銃やライフルを保持していて殺気立っていたようである。攻撃的な群衆が殺到したため、一部の道路は閉鎖された。

ほとんどの極右翼派の情報筋は、バンディが不法侵入していたこと、支払いを停止したこと、昨日小競り合いが暴力に発展しなかった理由などを正確に伝えていない。地元の議会およびネバダ出身の米国共和党上院議員のディーン.ヘラーは、武装した市民兵や抗議者に対して自宅に戻るよう呼びかけたことも理由であるが、武装した市民兵が銃を発射しそうな危険な雰囲気があったためである。ロイターによるとBLM当局は、公務員やその他市民の安全性を考慮し、差し押さえた家畜を解放したため群衆は退散したと述べている。当局は、市民兵の中には場合によっては銃を発射するつもりの人物がいて、殺気立った雰囲気を感じたからである。公務員や市民の安全性を考慮し、平和的に家畜を解放したBLMの行動をイースタン.ミシガン大学の専門家ジャック.ケイは「誰かが引き金を引きそうな気配があったためエスカレートする可能性を回避した連邦政府は紛争から上手に引き下がった」と賞賛している。

1870年代から先祖が働いていたという理由で税金支払いや他の支払い義務を拒否することは不可能である様に、バンディがどのような言い訳をしようと20年以上無許可で放牧していたその法律違反は法律違反である。その理由は、(1)憲法は米国に属する土地および財産に関する規定を定める権限を議会に与えている。(2)連邦政府が所有している土地は全米で 20億エーカー以上あり、それらは米国内務省のBLM、公立公園サービス、米国農務省の森林サービス、および国防総省などが土地保持者になっている歴然とした事実がある。また、(3)市民兵は自由の権利を強調しているが、この主張は論外である。なぜなら、誰でも公共土地を自由に利用できるのであれば、誰でも原油を自由に掘削することさえ可能になる。そうなれば、法と秩序は崩壊する。(4)APによると、BLMの主任であるニール.コーンズ氏は、「公共土地を利用している16,000の牧場主は、きちっと法律に従っているため公正性と平等の問題である」と述べている。

この事件は、公共土地所有権の現状を考える上で重要な例であると思う。しかし、昨日のBLMの撤退はバンディと彼の支持者の勝利を意味するものではない。APによると、「BLMは引き続き行政および司法的」な方法で問題を解決することに取り組むと述べている。また、ロイターによると、アリゾナ州の地区管理人、ロジャー.テイラーもこの紛争は完全に終った訳ではないとし、「家畜を放すことを決定した影響は今後も残る」と述べている。従って、F.B.Iおよび他の司法機関などは引き続き問題の解決に乗り出すと思われる。

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