アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

オバマ大統領は22日から29日までの日程でアジアの四カ国を個別に訪問することになっている。ホワイトハウスによると、日本には25日の午前中まで滞在する予定であり、最後の訪問国はマレーシアである。今回の訪問の目的はリバランス(再均衝)とリアシュア(再保証)である。アジアとの友好および外交、経済、安全保障のバランスを再度保ち、再度保証にすることである。また、オバマ氏は昨年秋にアジアを訪問する予定であったが、政府閉鎖および予算問題に直面した為キャンセルした。半年間延期してまでアジアを訪問するその意味は深いと思われるが、米国はなぜアジアに視点を向けるようになったのだろうか?

今回のアジア訪問で明白なことは、中国を訪問しないことと、地域別のイベントには参加しないことである。また、日本、韓国、フィリピン、マレーシアを訪問し、友好と同盟関係を強固にするためこれらの4カ国を個別に訪問することで、過去数年前からの方向性をより具体的にするためである。2011年11月、ホノルルで開催されたAPECの首脳会談で、当時国務長官のヒラリー.クリントン氏はアジア太平洋における米国の位置を明白にし、太平洋地域でのバランスを保った貿易の促進と拡大、同盟国の安全保障の強化、多国籍組織間の経済および政治的統合性の強化、民主主義と人権保護の促進について明確にした。米国のアジア太平洋地域への進出は、今年末までにはアフガニスタンから米兵をほぼ完全に撤退する状況であるなど、対テロ戦争の終焉を迎えている為である。中東からアジアに視点を変えることは3年前からアジア諸国にも公表していた通りであり、その点のバランスと保証を再度明確にする為である。

中産階級の経済力が弱体化し、世界一豊かな国のトレードマークを失いつつある米国は、資源の豊かなアジア諸国に視点を向け始めた。23日のPBSのインタビューで、2009年から2013年まで国務次官補を務めたカート.キャンベル氏は、米国は経済的に何らかの「ステップを踏まえない限り、今後も豊かな国で有り続けることは不可能である」と指摘した。一方「世界経済の50%はアジアに集中している」と言われるほどアジアの経済は重要であり、具体的には中産階級の経済が成長している国に輸出を拡大し、「アジアから米国への投資を増大したい」意向があると思われる。故に、オバマ氏はアジア太平洋進出と環太平洋経済連携協定(TPP)を重視している事は明白である。TPPに関する各諸国の対処や解釈は異なると言われているが、日本は地政学的戦略で中国より有利であると見られている。日本は米国に対して農産物の自由なアクセスを求め、米国は日本に対して自動車産業の自由なアクセスを希望している。しかし、日米間の最終的な合意には至っていないため、その点を再確認する目的があると言われている。

オバマ氏がこれらの国を訪問する目的について、キャンベル氏は「アジアとの友好関係とアジア諸国の重要性をを再確認するためである」と述べた。日本と韓国は主要同盟国であるが過去数年間、この二カ国と良好な関係ではなかったため、米国は「再度力強い関係を築く意志がある」と語った。また、アジア諸国、特に日本には歴史的な領土紛争問題がある為、「米国が日本と中国の緊張にどのように対処するべきか」という別の目的もある。日本は中国およびロシアと領土紛争の問題を抱え、中国とは尖閣諸島の問題で緊張状態が続いている。又、ロシアとは北方領土問題で長年難しい関係にあるが、阿部首相はロシアのエネルギー資源に関心を持っている為、日露関係を向上させたい意志があると見られている。また、南シア海をめぐる紛争にも中国が関与し、他に台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシアなど複数の主権国家が争っている。いずれも全て、漁業、輸送の他に石油や天然ガスなどのエネルギー資源を探索できる可能性があるなど、経済的競争がからんでいる。歴史的な領土問題で特に新たな情報をオバマ氏が入手できるとは思えないが、このような領土紛争問題についても個別訪問の機会に若干触れる意志があるのではないと推測されている。フィリピンやマレーシアは南シア海の紛争で、米国に何らかの支持を期待し、米国にどのような義務があるか深い関心を抱いていると言われている。

更に、アジア諸国の安全保障に関して、オバマ政権は幾つかのアジア諸国に米国の海軍を移動する意向があるのではないかと憶測されている。中国との紛争に直面しているフィリピンには、ほとんど軍隊適応力があまりないと言われている。フィリピンに米軍基地を建設する計画があるかどうかは不明であるが、これらの国の軍事力を強化させたい意図があるとの見方もある。元イエール大学の教授で、現在保守派のシンクタンク組織であるアメリカン.エンタープライズ研究所のディレクター、マイケル.オウスリン氏は、同じくPBSのインタビューで「アジアでのパワーのバランスは我々に対抗し、中国に向かうようになってきた」と先月議会で証言したアメリカ太平洋軍の指揮官サム.ロックリィアー氏の発言を引用し「我々の同盟国は現在このことに注目している」と語った。また、「あらゆる形態で60%の海軍をアジアに移動する」事は可能であるが、「何のためであるかを完全に明確にしていない」と語った。中国は多大な軍事力を強化し、またアジアには領土紛争問題があるため、米国はアジアの安全保障問題に注目していることを示唆し、日本には中国や韓国との緊張もあるため、これは米国の懸念材料になっていると語った。

また、温厚派のイスラム教徒が多い国であるマレーシアに米国の大統領が訪問する機会は1967年に36代大統領リンドン.ジョンソンが訪問して以来である。米国にとって、大きな貿易相手国の一つであるマレーシアの経済改革を支持または推進する意向があると言われている。マレーシアも含め、他のアジア諸国は、米国は中国との関係にどのように対処するか注目していると言われている。歴史的に大統領がアジアを訪問する際、大抵中国も含まれているが、今回どうして中国を訪問しないのか疑問も提起されている。中国を訪問しないことが中国への何らかのメッセージであるなら、中国はオバマ氏の四カ国訪問の動向を「非常に慎重に注目する」と推測されている。また、アジア諸国は「米国が中国を統制するのかそれとも対抗するのか」関心を持っていると、オウスリン氏は述べた。米国と中国は経済および軍事力で優勢を競う微妙な関係であることは確かである。

 

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。