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最高裁は29日、6対2の圧倒的な差で連邦政府の環境保護庁(EPA)が規定する大気浄化法(Clean Air Act)下で定めた、州外に放出する公害規定(Cross-State Air Pollution Rule又はCSAPR)を保持する決定をした。これは、空気の清浄化と公共衛生を著しく向上させることを支持した判定であり、それらの規定の施行は結果的に幾つかの意義がある。また、最高裁の決定は著しい長期的な因果関係が伴うと思われる。

昨日の最高裁の判定は、EPAが2011年に規定したCSAPRに対して、幾つかの州が2012年に連邦政府を告訴し、連邦政府の大気浄化法を却下した下級裁判所の判定を覆す結果となった。最高裁は、EPAは石炭から排出される汚染物質の排出量を減少させることを各州に義務づける権利があると判定し、下級裁判所の判定を却下した。従って、最高裁は幾つかの州が隣接する州に有害な汚染を放出している公害を制限することを義務づける連邦政府の権威を支持した。つまり、問題となっている約30州で電力発電所から排出されるカーボン排出量を減少させるEPA基準は正当であると宣言した。

多数派の意見を代表したルース.ベイダー.キンズバーグ判事はEPAの現行法基準は経済的および効率的であると賞賛し、連邦政府の大気浄化法の「基準は無理のない、実行可能な公正な解釈」と呼んだ。キンズバーグ判事の多数派意見に同意した判事は、最高裁長官のジョン.ロバーツ、アンソニー.ケネディ、ステファン.ブレーヤー、ソニア.ソトマイヨァ、エレナ.ケーガンの5名である。反対した2名の判事アントニン.スカリア及びクレアランス.トーマスは、多数派の判定は州が自ら公害を減少する努力の機会を奪うと反論した。

昨日の最高裁の決定は、オバマ大統領の主要なクリーン.エネルギー政策である幾つかの規定を後援することになる。ホワイトハウスによると、それらの規定は(1)発電所から排出される汚染物質である水銀など他の有毒汚染物質を初めて国が限定する。(2)車両の汚染を削減するため新車とガソリンの規格を定める。(3)長期的に遅延している工業用ボイラーや焼却炉から発生する有害大気汚染を限定する。(4)石油と天然ガス油井から排出するスモッグ形成汚染物質を削減する。(5)健康に有害な影響について新しい科学を反映した粒子状の汚染(又は煤)には更に厳しい大気汚染基準を定める。このような努力の結果として、34,000人の早死、15,000人の非致命的心臓発作、19,000人の急性気管支炎、400,000人の悪化喘息、及び年間180万人の病欠を防ぐ事が可能であると予測し、健康上の利点を換算すると年間推定2,800億ドルの経済的メリットがあるという。

最高裁の過去数年間の判定を考慮すると、大半の判事は、長年低迷していたクリーン.エネルギー政策に肯定的であることが伺える。大気汚染に関する連邦政府の最初の法律は1955年に制定された大気汚染管理法であり、大気汚染を規定する大気浄化法は1963年に制定された。その後1970年代、1990年代に縮小や拡大を含む様々な改正が行われ、2011年には大気浄化法下で温室効果ガスの規制を拡大した。昨年10月最高裁は、清浄車基準およびカーボン排出量を規制するEPAの権威を保持する判定を下した。

また、29日の最高裁の判定は、大気汚染を減少させる事および州の大気汚染の排出量を監督する権威を連邦政府に与えたことで、オバマ氏のクリーン.エネルギー政策および環境団体に著しい勝利をもたらしたことになる。2012年2月6日には14州と多数の電力会社は彼らが排出する二酸化硫黄および窒素酸化物の汚染を削減するEPAのCSAPRに反対し、ワシントンD.Cの上訴裁判所に告訴していた。これらの物質は酸性雨やスモッグの主な要因であり、数百マイル離れた地域に流れるため、EPAは他の州を汚染する可能性があることを指摘していた。従って、最高裁の判定は、告訴した14州も含め、連邦政府が躊躇する事なく電力会社の汚染排出を監督し、アメリカ人の健康を守ることを可能にする機会を与えた。CSAPRは複雑であると思われるが、電力発電所から排出される汚染物質が多い州には厳しい排出量基準を、少ない州には緩和的な基準を定めることが可能になるはずであり、隣接する州の住民は健康上の問題をかなり改善する事が可能になる。

更に、オバマ氏は4 月18日、キーストーン.パイプライン(KP)の建設延期を発表した。その際、オバマ氏は「KPの建設を許可することは国の利益になるという知見が必要である。また、このプロジェクトが著しくカーボン汚染の問題を悪化させない保証がある場合にのみ国益がある」と言明した。環境保護団体は、カナダの油砂は著しく汚染されていると主張しているため、最高裁のこの決定を武器にして、KP建設の拒否をオバマ氏に益々強く要請する可能性がある。KP建設の是非は、特に石油ビジネスと環境保護団体の間で論争的な問題であるため、特に最高裁の近年の判定は環境保護団体を鼓舞している。

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