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オクラホマ州で29日夜半、異常な問題が発生し38歳の黒人死刑囚人は「異常で残酷」な死刑処置により苦しみながら死んだため、数十年以来の死刑論が再燃し、現在論争的な話題になっている。米国は死刑を合法化している国であるため、死刑方法も近年受刑者の痛みをなるべく減少させる方針で科学的及び近代的になっている。しかし、死刑のコストは終身刑より高いとする研究結果が多いことも一因であるが、死刑執行は著しく減少している。

2014年4月29日夜半、死刑執行後即死せず、しばらく苦しみながら死亡したクレイトン.ロケットは犯罪歴の長い犯罪者である。1990年代には数回,窃盗、家宅侵入、横領などの犯罪歴があり、1999年に19歳の女性ステファニー.ニーマンを誘拐、強打、レイプ、射殺した。その後、殺人、誘拐、強打、レイプ、押し込み、強盗などの罪で逮捕された。長年投獄されていたロケットの裁判でステファニーの両親はロケットの死刑を要望していたと言われている。

死刑は最新の致死注射を用いて執行されたが、即時死亡せず、最終的に心臓発作に至りひどく不自然で惨い死刑であったことが判明したため、この死刑方法は失敗であったとの疑問が提起されている。1日のAP によると、オクラホマ刑務所の担当者は、静脈注射をする前にロケットの腕や足の静脈を見つけるのに51分間かかったという。ロケットは、刑務所のディレクター、ロバート·パットンが死刑を停止した10分後に、明らか心臓発作で死亡した。パットンは、適切な静脈を腕の別の箇所に見つけることが出来なかったので、鼠径部にチューブをつないで静脈に注射しようとしたが、その静脈は何らかの理由でしぼんだという。他の箇所に注射できる静脈がなく、利用できる余分な薬剤も持ち合わせていなかった。注射のプロセスに信じられないような葛藤があったことを示唆している。更に、薬剤は組織に吸収したか、又は漏れたか、その両方の可能性があるとパットンは述べているという。また、「即死に至る投与量は十分であったか」という質問に「ノー」と答えているという。

米国憲法修正第八条は死刑方法が「残酷および異常ではないこと」を要求しているため、それに反し、惨い死刑結果となった致死注射は失敗であるとして、州当局の何らかの責任を問う声もある。しかし、最高裁長官ジョン.ロバーツは、憲法は痛みの伴う死刑法を避けるよう要求していないと指摘している。1日の午前中、ホワイトハウスは「人道的基準が不足した処置である」と指摘した。アムネスティなど複数の人権団体は、死刑方法に関係なく死刑そのものに反対しているため、今回のような異常なケースに対して、激しく抗議する機会になると思われる。

米国の死刑方法は、ヨーロッパ諸国や他の先進国とほぼ類似していると思われる。1日のAPによると、米国の最初の死刑方法は19世紀に台頭した絞首刑であり、正確に執行された場合、囚人の首は体が落下する瞬間に即時に折れるという。1976年以降、絞首刑を利用されたケースは3件であり、ニューハンプシャーおよびワシントン州ではまだオプションの一つである。次に電気椅子であるが、最初に利用されたのは1890年にニューヨーク州であり、同州では20世紀には絞首刑は主な手段であった。現在8州が利用している。1976年から電気椅子で死刑された囚人は158人である。次に19世紀、20世紀に頻繁に利用されたのが銃殺隊による死刑である。1977年にユタ州で1名、同じくユタ州で、ある時点で2名が銃殺死刑を受けた。これが最も早く痛みがない方法であると考慮している専門家もいるという。また、1924年にネバダ州で導入されたガス室の死刑がある。アリゾナ、ミズーリ、ワイオミングの3州は現在もオプションの一つとして採用し、1976年から11人がガス室死刑を受けた。最後に最も新しい死刑方法が、今回オクラホマ州で利用された致死注射である。これは最初にオクラホマ州の監察医が提案したものであり、受刑者に無痛であるとして素早く多数の州が採用した。最初に3つの薬品を混ぜ、それから強力なバルビツール酸塩を1回投与する方法が多く利用されている。この方法は、1982年にテキサス州で最初に使用された。1976年以来1,203人が致死注射を受けた。

死刑に関する議論は暫く途絶えていたが、死刑の是非は経済的観点から論じられることが多い。釈放なしで殺人者を終身刑に課す場合と死刑執行する場合、どちらが経済的であるかが主な論争の要点である。法曹界、司法当局、経済学者など、専門家の研究では圧倒的に死刑は、終身刑より経費がかかると結論を述べている。その理由は死刑を宣告するための裁判にかかる経費が想像以上であるからだ。地域によっても異なるが、ニューヨークでは1件あたり、最初の出廷だけで150万から200万ドルの経費がかかると言われている。ワシントン州の法曹協会は、死刑の費用は終身刑より総体的に2倍多くかかると報告している。死刑情報センター(DPIC)は多くの州の多数のケースによる包括的な調査結果を報告しているが、2008年のメリーランド州の研究では、1人の死刑囚にかかる死刑判決の費用は裁判、控訴、投獄の合計費用に推定300万ドル納税者のお金を必要とする。一方、終身刑の場合、監禁、食事、光熱費などを含めて合計推定額は110万ドルであった。総体的に、1件当たりの死刑費用は1人の終身刑の囚人にかかる費用の2〜3倍ということである。

米国での死刑執行は近年著しく減少している。DPICによると、50州、ワシントンD.C、連邦政府、軍事施設を含む53の管轄区域のうち26区域は死刑を廃止しているか又は、少なくとも10年間死刑を執行していない。1976年以前に最後に死刑が執行された後、死刑がない州はアラスカ、ハワイ、アイオワ、メイン、マサチューセッツ、ミシガン、ミネソタ、ニュージャージ、ニューヨーク、ノース.ダコタ、ロード.アイランド、バーモント、ウエスト.バージニア、ウイスコンシンである。1990年代の後半から2000年代前半にかけ、死刑のコストは終身刑よりはるかに高いとする研究報告が多くなるに従って、死刑を廃止する州が増えた。2013年に死刑が執行された州はわずか合計9州(バージニア、テキサス、ジョージア、オハイオ、オクラホマ、フロリダ、アラバマ、アリゾナ、ミズーリ)であり、その中でテキサスとフロリダの2州は執行頻度が高い主な死刑州になっている。バージニアの電気椅子を除き、他8州はそれぞれ異なる薬剤配合による致死注射を利用した。

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