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数年前から同伴者のいない子供達の不法移民が国境を超え始めていて、今年その数はピークに達している。彼らは何処から来ているのか、なぜ成人同伴者もいない危険な旅を決行したのか、なぜ子供の不法移民が急増しているのか、連邦および州政府はどのように対応しているのか様々な疑問が湧く。現在米国に押し寄せている子供達の不法入国の波動は圧倒的である。

米国の国境付近で逮捕される子供達の数は、法務当局が手には負えないほど増加していると言われている。2013年には24,000人であったが、今年は既に、カリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコ、及びテキサスの4州に繋がっている南西部の国境付近で逮捕された子供の人数は47,000から60,000に増大し、今後更に増え続けることが予測されている。この国境付近で逮捕された子供達は最初にアリゾナ州に送られているようである。移民提唱者は、同伴者のいない子供達が今年国境を超えると過去数ヶ月間警告したという。

10日のAPによると、不法に国境を超える子供達は主に中央アメリカから来ていて、エルサルバドル、グアタマラ、ホンダラスが主な国である。これらの国から不法入国した同伴者のいない未成年者は2009年には3,304人であったが、今年は48,000人に達したという。国境パトロールのデーターによると、これらの国からの未成年不法入国者は1,000%以上急増しているという。米国国土安全保障省(DHS)は通常、カナダやメキシコから来た子供達は直ちに強制送還するが、中央アメリカから来た子供達を逮捕直後に強制送還する事は難しいという。そのためか、メキシコから不法入国する子供達の数は減少しているという。

オバマ大統領は、子供の不法入国が殺到している現状を「人道的危機」と呼び、彼らの国の「貧困と暴力」が米国への旅を促す要素であると語った。多くの子供達は国境を超えることの危険性を理解していないことに加えて、彼らが非合法的に国境を超える要因は、中央アメリカの経済苦境と暴力から逃れているためである。また家族との再交流が目的であり、一緒に生活したいとの切望が主な要因であると思われる。自国で子供を育てていく経済力のない親が米国の何処かに住む親戚や身内に子供を送り出している可能性もある。一方、既に米国に住んでいる両親に逢うため冒険を試みる子供もいる。10日のCNNによるとホンダラスから来た14歳の女子は、危険な旅をした理由を聞かれ、テキサス州の「オースティンに住んでいる両親に逢いたいから」と答えたという。米国に不法滞在している両親の後を追って不法入国する子供もいるという事実が明らかになっている。

また、多数の批判者は、2012 年6月の大統領令後、米国国土安全保障省(DHS)が実施している児童到着の遅延行動(DACA)が原因であると指摘している。DACAは、不法移民の両親に連れてこられた子供は、2年間米国滞在許可と労働許可を与え、ある一定の条件下で永住権と市民権の道を与えるとする大統領令によるオバマ氏の移民政策である。親を同伴しない子供の不法入国者が増えている一因はこの政策が一部誤解されているためであり、DACAは混乱を招き、不法移民の子供が増える要因になっていると指摘する共和党議員もいる。つまり、不法入国した子供達はDACAを利用し、米国で仕事を探すつもりであると主張している。殺到する子供達の不法入国の波動は、子供達を強制送還しないとするDACA政策をオバマ氏が発表した後に始まったとする主張もある。しかし、実際には現在ほど多くはないものの、2009年の記録も報告されている。

様々な理由で国境を超え拘束された子供達は、一時的な措置として各地の米軍基地や不法移民拘留センターなどに移送され、食事と寝床が提供されている。中央アメリカから不法入国した子供達はDHS当局に引き渡され、数日間DHSの監督下に置かれることになる。米国に在住している両親又は親戚がいる場合、その家族に引き渡される可能性もあるという。APによると、テキサスの国境で逮捕された子供達は、アリゾナ州のノガレス市に移送されている。同市は州最大の倉庫生産地であるため、倉庫に子供達を一時収容出来るという。子供達をアリゾナに移送しているのは連邦政府の一時的な措置であり、予防接種や健康診断を提供した後、カリフォルニア州のベンチュラ、テキサス州のサン.アントニオ、オクラホマ州のフォート.シルに移送されるという。現在、ノガレス市の市長は、子供達の面倒をよく見ていると報告している。一方、アリゾナ州知事のジャン.ブリューワーは不法移民の移送を厳しく批判し停止を求めているという。国境の役人達は、子供達が国境を超えて来る限り、彼らを保持する場所が必要であり、アリゾナ州での処置は続くと予期しているという。

国境付近で逮捕され拘束された子供達の人数は概略的に掌握されているが、実際入国に成功した子供達がどれ位いるのか不明である。また、具体的な年齢の情報も不明であり、12歳、13歳が主な年齢層であるようだ。最も若い子供は5~6歳から、最年長で17歳までの範囲であると言われている。DHSは、逮捕した子供達を保護する目的で、国境付近にある移民拘留センター又はアリゾナ州に移送しているようである。オバマ氏が指摘したような貧困と暴力が原因であれば、彼らは亡命者であると解釈することもできるが、いずれ安全な方法で自国に送り返すのではないかと思われる。そうでない場合、子供の不法入国数は増加するばかりであり、物質的供給にも限度がある。ノガレス市では既に倉庫の供給が底をついたと報告されていて、今以上に「人道的危機」に直面する可能性がある。

 

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