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中央アメリカから殺到している一部の児童不法入国者は、先週からカリフォルニア州にバスで輸送され始めた。先週、同州の一部の地域では、法律に従って子供達を輸送している米国当局のバス通行を阻害する抗議デモがあった。また、法的問題を政治化している一部の共和党は、オバマ政権が国境の安全整備を強化していないためであると批判した。また、ピューリッツアー受賞者のジャーナリスト、ソニア.ナザリオは、多くの子供達と会った経験から、彼らは亡命者であると言明し、中央アメリカの汚職に注目しなかった米国政府にも責任があると指摘し、強制送還は非人道的であると警告した。

国境で急増している子供達の不法入国率は昨年の10月から約180%に達した。先週、ロスアンゼルスにさほど遠くない南西部にあるマリエータ市では、旗を掲げた大勢の抗議者がテキサスからカリフォルニア州に多くの子供達を輸送している連邦当局のバスを路上で塞ぎ、通行を阻害するというハプニングがあった。バスでの輸送は法律のプロセスを踏まえるための最初のステップであるが、道路の真ん中で通行を遮断されたため、バスは一時立ち往生し、サンディエゴ郡の別の施設に通路を変更する事態が発生した。デモ抗議者は「誰も不法移民はほしくない」、オバマ政権はすぐ「強制送還するべきだ」、「自国内の人々も世話できない状況で他の不法入国者の面倒をみることはできない」、など様々な罵声を浴びせた。

これらの抗議者は、当局が子供達を輸送している目的を理解していないと思われる。2008年ブッシュ政権は、中央アメリカからの亡命を求めて米国に入国する人達に、法的手続きを与える事が可能な人身売買被害者保護再授権法を制定した。現在、グアタマラ、ホンダラス、エルサルバドルから不法入国している子供達は、この法律に基づき、そのプロセスに従って各地に輸送されている。幾つかの米軍基地の一部施設はそのような子供達に占領されていると言われている。冷静さに欠ける行動を展開しているカリフォルニアのデモ参加者は、人道的危機を更に深刻化させている。また、一部の共和党は人道的危機を政治化し、オバマ政権による国境警備強化の失敗であると批判している。

6日のABCニュースのインタビューで、テキサス州知事のリック.ペリーは、オバマ政権は5年間、国境警備の強化に何の対策もしていないと批判した為、ABCニュースのリポーター、マーサ.ラダァツは、「これは必ずしも国境の問題ではなく、法律の問題である」と指摘し、「彼らが中央アメリカ又は南アメリカの非隣接国から来た場合は入国させなくてはならない。法律を変えるべきなのか」と質問した。これに対して、ペリーは、「法律の規定は憲法が米国に国境を安全にすることを要求しているが、我々は長年それをしていないので、多大なつけを払わなくてはならない」と反論した。ラダァツは法律問題を論争しようと試みたが、ペリーは、「オバマは単にこのような子供達を預かることを気にしていない」と批判した。ラダァツは、「彼は子供達にアメリカに来るな、来れば送り返すと警告している」と反論した。しかし、ペリーは「5年遅かった。オバマは手を広げ、子供達を歓迎している」と述べた。オバマ政権は国境安全整備を2倍強化し、どの政権より大多数の不法移民を強制送還していることで知られている為、ペリーの発言は歪曲である。

米国に殺到している子供達が自国でどんなことに直面しているのかほとんど知られていないが、危険な冒険を犯して不法入国していると言われている。6日のNBCニュースによると、米国にいる母を探すため、無銭でホンダラスからメキシコに向かう貨物列車で数ヶ月間過ごしたメキシコの少年の冒険を描いた記事はL.Aタイムスの作品として2003年にピューリッツアーを受賞した。その『エンリケの旅』の著者ソニア.ナザリオは、中央アメリカからの貨物列車は大抵ギャングがコントロールしているため、最初から危険だと述べている。子供達は貨物列車が進行中に飛び乗ったり、飛び降りたりするので、腕や足を負傷又は失う子供達もいると述べている。しかし、「旅の危険は若い移民達が自国で直面している暴力に比べると何でもない」という。

中央アメリカの3カ国から子供達が米国に逃亡している理由について、ナザリオは「これらの国が世界で殺人率が最も高いからである」と述べている。7月1日に公表されたピュー.リサーチ.センターの研究によると、ホンダラスではギャング、麻薬取引、暴力が急増し、2013年の殺人率は10万人あたり187人であり、世界の殺人首都になっている。ホンダラスの殺人率は2012年には10万人あたり90人であったため、昨年は2倍以上に上昇している。また、麻薬取引のかなりの部分は中央アメリカで横行しているため、高い水準での暴力が問題になっている。子供達は薬物使用及び販売を強制され、拒否すると殺される為、麻薬カルテルの「歩兵として利用されている」とナザリオは述べた。従って子供達は、自国で麻薬組織のために働くか、又は自分の命を救うため逃亡するか、どちらかの選択に直面しているという。大半の警察官は腐敗し、麻薬カルテルを取り締まることはない為、警察を頼ることは出来ず子供達には選択の余地がない状況であるという。

ナザリオは、米国政府は中央アメリカの汚職に充分注目していなかった為、この問題に八方ふさがりの状態だと指摘し、「我々の政府は(不法入国する)子供達の波に対応する施設を準備していなかった為、再度行き詰まっている」と述べた。また、当局は可能な限り多くの不法移民を「非人道的」に強制送還する可能性があることを懸念し、この3カ国から来ている子供達は、経済的な理由ではなく、殺される恐怖から逃亡して来た為「亡命者」として対処されるべきであると語った。彼女が話をした「ホンダラスの子供たちの多くはボスニアの子供の兵士とさほど違いはないと思う」と述べた。シリア周辺国では250万人の難民を歓迎しているが「我々は入国している9万人の移民の子供達を強制送還する話を始めている」と批判し、「それは非良心的だと思う」と指摘した。また、恐怖から亡命してくる子供は弁護士を代表させ、公平な裁判を経て、滞在を可能にし、恐怖以外の経済的理由で来る不法移民には明確なメッセージを送ることを提案している。米国滞在を許可された子供達の人生は多難であるかもしれないが、「自国で起きていることよりずっとましな人生だ」と述べている。

児童亡命の波に多方面から押されているオバマ政権は、子供達を密輸送している違反者を捜査し、不法入国の波に歯止めをかける努力をすると思われる。2008年の法律が存在する限り、子供達を即時送り返すことは出来ないため、オバマ氏は法律を変える必要があるかどうかを提起している。民主党は、その法律の表面的な変更だけで解決するような問題ではないため、何らかの画期的な移民改正法を通過させる必要性を強調すると思われる。ナザリオが述べている通り、3カ国からの不法入国児童が純粋に亡命を求めたものであれば、裁判官を含む多くの法律関係者は子供達の強制送還に同意しないと思われる。

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