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複数の共和党は、中央アメリカから不法移民が殺到している主要因は、児童到着の遅延行動(DACA)と呼ぶオバマ大統領の移民政策であると主張しているが、必ずしもそうとは言えない幾つかの証拠がある。米国は、エルサルバドル、ホンダラス、グアタマラの3カ国から亡命希望者が増えているが、これらの隣国である多数の国にも亡命申請が急増している。また、他国に流出している子供達の多くは自国で治安が悪く、ギャングの暴力を身近に体験または目撃し、恐怖が動機であることを示す事例もある。

国連難民高等弁務官(UNHCR)のデーターによると、難民急増の風潮はアメリカだけではない。メキシコ及び中央アメリカでの犯罪と暴力は近年増大し、亡命を希望する子供および成人の数は、特にエルサルバドル、ホンダラス、グアタマラで急増している。米国は大多数の亡命申請を受けているが、2008年から2013年に、この3カ国の隣接国であるメキシコ、パナマ、ニカラグワ、コスタリカ、ベリーズではこの3カ国からの亡命申請は712%に増大した。また、これらの国々から単独で危険な旅をする子どもたちの数は2011年以来、毎年倍増している。米国政府の推定によると、今年は米国に到着する不法移民は約60,000人である。近年メキシコからの子供達は、中央アメリカの子供達の数に比較して減少している。なぜなら、メキシコから入国する子供達はほとんど米国当局に数日間保護監督を受けた後、早急にメキシコに送還されるからである。そのため、メキシコの子供達が米国に不法入国した理由を含めて全体像を掴むことは難しいとUNHCRは指摘している。

また、これらの3カ国から来た子供達は、恐怖が動機であることを示す記録がある。イエール大学の研究によると、最新の統計は、中央アメリカが世界で最も暴力的な地域であり、過去10年間で中央アメリカの7カ国で発生した殺人は145,000件であり、それらの大多数はこれらの3カ国で発生している。2010年にホンダラスでは100,000人あたり82.1人が殺害された。同国の17歳のケビンは「僕に逃げるように言ったのは祖母です」と語り、祖母は「もし(脅迫されて)ギャングの仲間になれば、ギャングはお前を射殺するだろう。ギャングの仲間になれば、ライバルのギャングか又は警察がお前を射殺するだろう。だけど、逃げたら、誰もお前を射殺しないと言った」と語ったケビンの記録がUNHCRのHPに紹介されている。

また、これらの3カ国の中でもホンダラスが最も殺人率が高く、荒廃した社会であることを思わせる事例がある。9 日の英国紙ガーディアンは、中央アメリカから米国の国境にたどり着く子供達は、ケビンのように「逃げるか死ぬか」の選択を迫られた子供達であると述べている。2週間前、カーラは、彼女の2人の幼児、母親、そして15歳以下の3人の兄弟とテキサスの国境に到着した。この家族は北部ホンダラスの自宅からバスでグアタマラとメキシコを通って1ヶ月で1,500マイルの旅をした。この家族は、ルート沿いのチェック.ポイントで通路を確保するため賄賂を使うネットワークの密輸業者に支払をするため、所有していたものを全て売却した。カーラは、米国は合法的に子供達の入国を許可し始めたと聞いたことも一部の理由で北に向かった。これは密輸業者が言っている嘘であるが、この家族は安全にテキサス州の国境を超えた人達がいることを知っていた。

ガーディアンによると、この家族の主な動機は恐怖である。カーラは彼女の父とその父が契約しているストリート.ギャングから手の届かない所に逃げたかった。ホンダラスのギャングは世界で最も高い殺人率の要因になっている。彼女の父親は子供の彼女をレイプし、有罪判決を受け、刑務所に送られた後に復讐を求めていたとカーラは語ったという。カーラの父はすでに米国に逃げた彼女の兄を殺すため殺し屋を雇っていた。最終的にはテキサス州の国境に近いリオ·ブラボー(リオ.グランデ.バレー)の斜面に着いたとき、カーラは家族の悪夢は終わったと思った。しかし、米国の通関業者の世話になった時、新しい悪夢が始まった。手続きのためテキサスの拘留センターに連れて行かれる代わりに、自国に送り返すため直接メキシコの移民管理局に移送されたという。当局は「話もさせてくれなかった」と言っている彼女は現在、メキシコから強制送還される移民が溢れている沿岸都市のサンペドロスラにある質素な施設に滞在している。しかし、帰国してもお金もなく「何をすべきかわからない」とカーラは言っている。

彼女の体験例は、国務長官ジョン.ケリーが指摘した通り、恐怖と貧困で逃亡を望んでいる市民を騙し、国境近くまで密輸送する犯罪組織があることを明白にしている。米国の国境パトロール当局に拘留され、各地の施設に送られている子供達の多くは程度の差はあれ、何らかの恐怖を抱いているのかもしれないが、極端に貧困であるこれらの国の子供達は、経済的動機があることも示唆している。これらの子供達が難民である事を強調する多数の記事は、経済的な理由が動機ではないと主張しているが、ケリーが述べた通り、大半の子供は貧困と恐怖の両方が動機であると思われる。しかし、米国で滞在を認められるためには、難民としての法的根拠が必要である。

UNHCRサイトによると、難民の定義は迫害、戦争、暴力のため、国外逃亡を余儀なくされた人達である。難民は人種、宗教、国籍、政治的イデオロギーまたは特定の社会的グループに属している理由で、十分迫害の恐怖を抱いている人達である。彼らはほとんど、帰国することは出来ないか、または帰国することを恐れている。戦争、民族、部族、および宗教的暴力は彼らが国を逃れている難民の主な原因である。自分の国を逃れ、他の国で生きることを希望する人は亡命者と呼ばれるが、この場合亡命を申請し、難民として権利が認められると法的保護と物質的な支援を受けることが可能である。亡命希望者は、母国で迫害の恐怖が十分にある根拠を示す必要がある。また、難民と経済移住者の定義も異なっている。難民は迫害の脅威から逃れている為、無事帰国することはできない。しかし、経済的移住者は、生活の向上を求めて自主的に国を離れ、自由に帰国することも、自国政府の保護を引き続き受けることも可能である。UNHCRは、経済的動機を難民の定義に加えていない。

一方、専門家は、これらの3カ国は人口の割合から検討すると世界で最も暴力による殺人が多いと述べている為、殺人の恐怖が伴う暴力は難民を認める要因のひとつであると思われる。しかし、7日、ホワイトハウスのスポークスマン、ジァシュ.アーネストは、これらのほとんどの子供達は人道的救済の法的資格がなさそうである為、送還される可能性があると述べた。現在のオバマ政権の計画は、大多数の強制送還が含まれていることを示唆した。米国がこれらの子供達に対して、人道的に対処するのであれば、これ以上、不法入国を増やさないため、まず、国境の安全性強化に伴って、密輸送を防ぐことを優先する一方で、国連の要請に従い、既に米国当局の監督下にいる子供達を難民として受け入れ、彼らを受け入れる家族を探すことも含めて広範な難民対策をすることが理想的であると思われる。いずれにしても、児童不法入国は逃亡先が米国だけではない事も含めて、彼らの動機は難民の性質に近い為、オバマ氏のDACA移民政策だけが主要因ではないと思われる。

 

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