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カリフォルニアは、日本全土にほぼ匹敵するほどの広大な面積を誇る州であるが、あまりにも広すぎる為、6つに分割する提案が公表されている。カリフォルニアを6つの州に分割した場合の財政上の統計的現状が浮き彫りになっているが、それを分析すると、提案者の発想は、彼の政治的および経済的なメリットに基づいていることを示唆している。この構想は両院議会の承認を得るまで複雑なプロセスと時間を必要とする。最初のステップとして、同州民は2016年の大統領選挙で投票を行う予定である。この構想を紹介したのは誰か、その構想の背後にある動機は何か、実現の可能性はあるのだろうか。

カリフォルニア州は広大過ぎて統括が困難である為、6つの州議会に分け、6人の知事がその監督を分配するという構想が提起されている。つまり、カリフォルニアに6つの州を作るということであるが、これは州全体の向上を目指したものではなく、むしろ個人的な財政上のメリットを考慮した発想であることを示唆している。ワシントン.ポスト(WP)によると、この提案者はシリコン.バレーのベンチャー.キャピタルの投資家であり、億万長者と言われているティム.ドレイパーである。彼は「人口数千万のカリフォルニアと数十万人のワイオミングがどうして上院数が同じなのか」と指摘している。今年初期、カリフォルニア州は1つの州としては「ますます始末に負えない状態になっている」と主張し、カリフォルニアの国務長官デブラ·ボーエンに6 州に分割する署名収集の許可を得た。サンフランシスコの地元紙SFGateによると、州民の投票を得るためには807,615人の請願書の署名が必要であり、2014年7月18日までにその署名を集めることが条件である。ドレイパーは15日、その請願書を提出したという。

カリフォルニアを6つの州に分割した場合の各州名、首都、人口は下記表1(資料:WP)の通りである。カリフォルニア州の総人口は約3,700万人であり、ワイオミング州は約564,000人である為、人口動態的には、米国上院議員を各州に2名ずつ選出している現在のシステムは確かに不均等である。WPによると、ドレイパーは州名などどうでも良く、提案の主旨は、彼と彼の支持者が望む財政構築を可能にするシリコン.バレー州を創設したいからだという。

表1:  州名 首都名 人口 地域面積
ジェファーソン ユカイア 949,000 40,713 sq. mi
北カリフォルニア サクラメント 3,742,000 12,608 sq. mi.
中央カリフォルニア フレズノ 4,125,000 45,962 sq. mi.
シリコン.バレー サンフランシスコ 6,597,000 8,402 sq. mi.
西カリフォルニア ロスアンゼルス 11,534,000 11,948 sq. mi.
南カリフォルニア サンディエゴ 10,505,000 36,439 sq. mi.

下記表2(資料:WP)の人口動態を党派別に見ると、シリコン.バレー、西カリフォルニア、北カリフォルニアは圧倒的に民主党支持者が多いことが分かる。州を分離した場合、これらの3つの州はそれぞれ2名ずつの民主党の上院議員を容易に選出することが可能である。しかし、現在同州の2名の上院議員はいずれも民主党であるため、分割した場合、ジェファーソン、中央カリフォルニア、南カリフォルニアは共和党支持者の方が多いため、上院議会に同州から共和党議員を50/50の確立で増やすことが可能になる。従って、政治的メリットがある。

表2:州名 民主党 共和党 その他
ジェファーソン 168,898 (33.78%) 178,894 (35.78%) 152,192 (30.44%)
北カリフォルニア 818,072 (42.71%) 583,410 (30.46%) 513,784 (26.83%)
中央カリフォルニア 627,390 (37.62%) 648,852 (38.9%) 391,657 (23.48%)
シリコン.バレー 1,665,400 (51.14%) 590,997 (18.15%) 1,000,246 (30.71%)
西カリフォルニア 2,753,917 (48.92%) 1,279,173 (22.72%) 1,595,885 (28.35%)
南カリフォルニア 1,658,993 (34.9%) 1,755,284 (36.93%) 1,338,962 (28.17%)

下記表3(資料:WP)の6州の平均収入や貧困率を見ると、シリコン.バレーは平均所得が最も高く、最も貧困率が低いため、州を分割すると財務的にもメリットがあると予測できる。

表3:州名 平均収入 貧困レベル 所得$20万以上
ジェファーソン $37,277 14.14% 1.86%
北カリフォルニア $46,970 9.81% 6.02%
中央カリフォルニア $39,852 19.66% 2.46%
シリコン.バレー $68,365 8.83% 11.4%
西カリフォルニア $49,832 10.48% 6.35%
南カリフォルニア $47,016 14.6% 4.58%

例えば、下記表4(資料:WP)は一人当たりの平均納税額と政府からの受益額を示しているが、シリコン.バレーは、最も平均納税額が高く、受益額は最も低い。これは、ジェファーソンや中央カリフォルニアがシリコン.バレーから利益を得ていることを示唆している。

表4:州名 所帯平均納税額 所帯平均受益額 比率
ジェファーソン $14,012 $26,906 1.92
北カリフォルニア $25,372 $16,729 0.66
中央カリフォルニア $15,904 $23,634 1.49
シリコン.バレー $22,756 $9,192 0.4
西カリフォルニア $8,155 $4,995 0.61
南カリフォルニア $7,710 $8,184 1.06

この構想が実現するそのステップはさほど単純ではない。同州の立法分析研究所によると、州民が多数決で同意した場合、州分離に関する委員会を設立し詳細な計画を練る必要がある。また、議会は2018年1月1日に検討するため、カリフォルニア州知事は、事前に詳細な州分割案を送付しなくてはならない。また知事は、2019年1月1日までに議会の行動を求めて要請する必要がある。更に、SFGateによると、ドレイパーは、その署名運動に数百万ドルを出費したらしいが、フィールド.ポールが実施した2月の世論調査によると、カリフォルニア州民の59%はこの構想に反対しているという。民主党州のカリフォルニアは、共和党に有利な構想に反対する可能性が高いことを示唆している。この構想はカリフォルニアでもっと多くの共和党議員を選出することが目的であると批判する人達もいるとう。また、「州を分極化する構想であり、カリフォルニアのブランド、ビジネス、雇用に有害である」と批判し、「時間、エネルギー、お金の無駄である」と指摘している。今後充分な支持を得る可能性があったとしても、提案者の構想が同州全体の文化的、地理的、および経済的利益と向上を目指すものでない限り、議会が承認する可能性は低いと思われる。

結論として、土地と人口が集中しているカリフォルニアを分割した場合、ジェファーソン、中央カリフォルニア、南カリフォルニアの3州は共和党が多いため合計6人の共和党議員を上院で増やすことが可能なシナリオが浮き上がる。米国上院議会でビジネスに有利な政策を打ち出す共和党議員を増やすことが可能であれば、彼のような億万長者のビジネスマンは更に有利になる。カリフォルニア州は経済的な点でも地域的にバラツキがあるが、農産地であるジェファーソンや中央カリフォルニア州は納税より政府からの受益率が高い。6州に分割した場合、最も豊かなシリコン.バレーは、彼らの税金を貧しい州に配分する必要はなくなる。そう言う意味では、州分割はシリコン.バレーにメリットがあるため、利己主義的な動機に基づく発想であるように思われる。

 

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