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約2年前、アルカイダ関連の組織に拉致された米国人ジャーナリスト、ピーターT.カーティスは24日釈放され、国連の平和維持軍に引き渡された。交渉を進めたのはカタール政府であり、カーティスと同じ独房に監禁されていた複数のヨーロッパ人も釈放されたが、カタールは身代金を支払っていない。米国が徹底した身代金拒絶ポリシーを掲げる理由のひとつとして、米国とカタールの二国間関係に注目する必要がある。

複数の情報筋によると、カーティスは2012年10月シリアのアルカイダと提携しているグループに拉致され、拘束されていたが、 24日に無事解放された。カタール政府は、シリアのアルカイダと米国との仲介人として交渉を続けていたが、身代金は支払っていない。先週、イスラム過激派ISISにジェームズ.フォーリーが殺害されたばかりだった為、予期しなかった驚きと喜びが伝えられている。24日のニューヨーク.タイムス(NYT)によると、カーティスは当地時間24日午後6:40分、シリアとイスラエルをまたがるゴラン高原のアル.ラァフィド村で国連の平和維持軍に引き渡された。カーティスの家族は、アメリカ人医師による健康診断の結果は良好であると報告した。一方、同じ日にフォーリーの家族は、彼の故郷であるニューハンプシャー州ロチェスターで葬式を行った。

NYTによると、幾つかのヨーロッパ諸国および組織は、先週イスラム過激派ISISに殺害されたフォーリーと同じ独房に拘留されていた10人以上のヨーロッパ市民の釈放を交渉し、平均250万ドルの身代金を支払って救済に成功したという。同じ独房にいた他のヨーロッパ人は釈放されたが、アメリカ人であったフォーリーだけは身代金を支払っていなかった為、殺害された可能性が高い。誘拐された二人の主な相違点は、カーティスを誘拐したグループは、イスラム過激派ISISではない。しかし、カーティスの釈放は、英国当局が23日、フォーリーを殺害した ISISの男性で英国訛りのある英語を話す人物の身元をほぼ確認している状態であると公表した後である。殺害者の身元確認は、音声認識技術、電話盗聴記録、他の諜報情報などが駆使されている。フォーリーを殺害した犯人が確定した場合、イギリス当局は別の米国人ジャーナリストであるスティーブンJ. ソトロフ、及び他2名の米国人を拘束しているISISの誘拐者を特定し、その所在を突き止める手がかりを得る事が可能である。

カーティスの親族は、身代金250〜300万ドルの要求があった為パニックに陥ったが、米国国連大使のサマンサ.パワーを紹介され、カタール政府が、イエメンでアルカイダ分家のグループに誘拐されたヨーロッパ人の釈放に成功している事を知った。カタール政府が交渉に関与するとコミニィケーションが開始され、最初にカーティスの生存を確認する為、本人しか知らない質問を通して彼が無事生存していることが確認された。その個人的な質問は「貴方のPh.Dの学位論文は何ですか?」であり、その答えは「博物館は小説家アンソニー.トロロップ の母が始めた」であったという。博士号を取得したカーティスは2012年にフリーランサーのジャーナリストになり、シリア国境の近くにあるトルコのアンタキヤを旅行した。彼の母が最後のEメールを受けたのは2012年10月18日であった。

カーティスは身代金なしに釈放された。彼の釈放を仲介したカタール政府は「どのような状況下でも身代金を支払うことはない」と言っている。これは米国政府の方針と全く同じである。身代金を支払うと、テロリストは簡単に収入を得る手段として、もっと多くのアメリカ人を誘拐することになるからであり、これは永続化するという米国当局の考え方は一理あると思われる。米国は、「テロリスト.グループとの如何なる種類の譲歩も拒絶し、厳格なまでに身代金を拒否するポリシーを掲げる数少ない一国である」が、ヨーロッパ諸国は誘拐された自国民の為に身代金を支払う為、ヨーロッパ人を誘拐する事がテロリストの主な資金源になっているという悪の構造がある。

米国政府が身代金を支払わない別の理由は、米国とカタールとの二国間関係にも一因があると思われる。カタールは西アジアに位置するアラブ主権国であり、世界銀行はカタールを世界の高所得経済として世界で最も豊かな一国として認識している。また、世界第三位の天然ガスと石油の埋蔵量を保持していて、アラブ諸国で多大な影響力のある国である。米国国務省の報告によると、米国は、カタールが英国から独立した後、1972年にカタールとの外交関係を確立した。米国とカタールは地域やグローバル問題の幅広い範囲で緊密に協調し、二国間関係は強く、「米国の貴重なパートナー」として、カタールは転換期から、地域で影響力のある役割を果たしてきた。また、米国は、カタール地域の発展、安定、及び繁栄を支持し、米国とカタールはペルシャ湾岸地域の安全保障に協力している。また、カタールは米国中央軍のフォワード本部を主催し、北大西洋条約機構と地域での米国の軍事作戦を支援してきた。一方、米国は毎年数百人のカタールの留学生を歓迎し、米国6の主要大学はカタール分校を保持している。

つまり、カタールと米国は40年以上、政治.経済の協力関係 、教育交流、米国の軍事施設を含む軍事上の外交関係、国際的な安全保障関係で強力な二カ国関係を持続している。しかもアラブ諸国で影響力のあるカタールは、アルカイダ関連のテロリストに誘拐された米国人の人質解放の交渉に多大な役割を果たしている。カタール政府は「如何なる状況下でも身代金は支払わない」ポリシーを維持している点で米国にも影響を与えていると思われる。しかし、世界で最も凶悪なテロリストであるISISに拉致されたジェームズ.フォーリーは不運であった。オバマ政権は、フォーリーを殺害した犯人を必ず探し、正義に導く決意を表明している。

 

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