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マリアム.アル.マンスー

反テロ戦略の空爆で最も注目されているのはシリアでの空爆作戦に参加しているアラブ首長国連邦戦闘機の女性パイロットである。この国では、このような任務において女性が戦闘機のリーダーとして参加しているのは歴史上始めてであると言われている。数日前、フォックス.ニュースのホスト2名は、番組の放映中、ブーブス.オン.ザ.グランドと発言したことで批判された。男尊女卑の習慣は多数の国に残っているが、米国も例外なく女性の活躍を軽視しがちな文化がある。これに対し、米国の退役軍人らは抗議の手紙を送り、当事者に謝罪を求めた。米国では1,000人以上の女性パイロットが第二次世界大戦(WWII)で活躍した歴史があることはあまり語られていない。

フォックス.ニュースのホストは、おそらく軽い冗談のつもりでうかつに発言したのではないかと思うが、そのコメントは素早くキャッチされ批判を浴びる結果となった。ブーブス(Boobs)とは女性の乳房を意味する口語であるが、ブーツス.オン. ザ.グランド(Boots on the ground=兵士を戦地に派遣する)の一般化した表現と、ブーブス.オン.ザクランド(Boobs on the ground=乳房を戦地に派遣する )はtとbの一文字の違いがあるだけで発音が一部似ている為、ブラック.ジョークとして利用されやすい。アラブ首長国連邦の戦闘機のパイロット、マリアム.アル.マンスーはこの任務においては珍しい女性リーダーであるが、女性兵士をブーブスに形容し、軽卒な冗談を言ったことで批判された。

27 日のビジネス.インサイダーによると、トルーマン国家安全保障プロジェクトの米軍退役軍人は、女性のアラブ首長国連邦のパイロットに対して、この不快なコメントは「不当」であった事を訴える為、公開書簡をフォックス.ニュースに送った。その手紙は、24日の放送中、ホストのエリック·ボリングとグレッグ.ガッフェルドが、ISISに対して空爆の飛行隊を司令する同国初の女性パイロットであるマンスー少佐を嘲笑したとして、声明文で抗議している。その声明文で、米国の女性はWWII中、勇敢で華麗な活躍があったことを指摘し、「非常に不適切」なその発言は「不当で攻撃的であり、基本的に軍隊が我々に教えてくれた事に反している事を伝えるため手紙を書いた」と述べている。また、「 あなたのどちらかが生まれる以前から女性は戦闘機を飛行している」と述べた。WWII中は、女性空軍奉仕パイロット(WASP)と呼ばれる1,000人以上の女性が男性と同様の任務で飛行している記録があり、これは米国女性の戦闘飛行史上の遺産であると力説した。また、マンスー少佐は「完全な非武装で、彼女はアメリカの地で更に破壊的な攻撃を防ぐため、彼女自身の命を捨てる準備ができていた」と書いている。手紙の最後に、同テレビ局の当事者に謝罪を求め、マンスー少佐を意識し「無礼を心からお詫び致します」と書いている。

 ナンシー.ハークネス.ラブ

WASP結成の要因となった女性パイロット採用の提案者は女性である。ナンシー.ハークネス.ラブは1914年、医者の娘として裕福な家庭に生まれ、16歳で飛行訓練を受け、一ヶ月以内に免許を取るという飛行才能がある女性であった。国立博物館の資料によると、彼女は1940年、航空輸送指令(ATC) に女性パイロットを採用するよう要請した。最初、彼女の提案は却下されたが、1942年までには男性のパイロットが不足するようになった為、当局は彼女の提案を行動に移す時であると決定した。1942年9月、ナンシーは女性の補助空輸戦隊(WAFS)の責任者に任命された。彼女は優秀なパイロットを採用するため83人のアメリカ人女性に電報を送った。21歳から35歳までの女性で、少なくとも500時間200馬力で航空した記録があり、商用ライセンスを保持しているなど、ATCの厳格な基準を満たした女性は28人であった。彼女たちは戦時中に自国に奉仕する最初の女性戦闘パイロットとして選定された。1943年の中頃までには1,000人以上の女性が米国内の陸軍航空軍(AAF)のパイロットとして活躍するようになった。同年8月AAFはWASPに統合され、増員募集の際25,000人の応募があり、その中から1,830人が採用され、プログラムを卒業したのは1,074人であった。

多くの女性は、顕著な才能を発揮したが、彼女達を「侵入者」だとして歓迎しない男性もいた為、WASPは 1945年9月の戦争終焉前の1944年12月に解散した。戦時中の彼女達の貢献が30年以上も無視され続けた1977年、当時の大統領ジミー.カーターは、元WASPの退役軍人の地位を承認する法案に署名した。2009年、オバマ大統領はWASPに民間人の最高名誉である議会金メダルを授与する法案に署名した。2010年3月には、250人以上のWASP生存者が国への戦争時に重要な貢献をした事を認識する為の祝典を開催した。

現在、米国には戦闘機を操縦する女性パイロットはいないが、軍用機のパイロットは存在している。WWII中、米国の女性は戦争で戦っている男性に代わって、一般的には男性の職場と言われた重度の機械工場にも進出し、労働力になったことを伝えている歴史書は多い。しかし、様々な側面から女性を軽視している風潮がある米国では、女性が戦闘機パイロットとして男性と同等に活躍した重要な時期があった事実を伝えていない歴史書は多く、一般に語られる事もあまりない。フォックス.ニュースのホストの軽卒な発言は、WASPの歴史を知らなかった事が失敗の一因である可能性もあるが、「ガラスの天井」と呼ばれる女性のキャリアと才能に対する圧力の壁が厚い米国社会を反映している。

 

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