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一国二制度及び半自治体制の香港では前代未聞の大規模な政治的抗議デモが開催されていて、今日で5日目を迎える。民主主義運動と言われているこのデモ抗議の参加者は、警察の催涙ガス攻撃から身を守るため様々な用具を利用し、特に集団の傘が目立っているため、アンブレラ革命と呼ばれている。香港の若い世代の怒りの抵抗は、短期的には政治的要因であるが長期的には経済的なルーツがある。

香港市民は彼らのリーダーを選挙でオープン指名する原則を維持しているが、8月31日、中国の立法機関の常任委員会は、全ての最高責任者は有権者が投票する前に指名本部から50%以上の投票がなくてはならないと決定した。つまり、中国当局は、2017年の選挙で香港のリーダーを決める候補者指名を限定し、オープン指名の民主的プロセスを疎外する決定を下した。この決断後、大学生や高校生などがクラスをボイコットし、この決定の取り消しを求めて抗議活動を開始した。デモ抗議はエスカレートし、香港島の中央官庁が集中しているシビック.スクエアで香港市民が直接リーダーを選ぶ完全な民主的選挙を訴えている。

1997 年7月、英国から中国に返還された香港は150年以上の長い植民地時代を終え、一国二制度と呼ばれる分離した領地で一定した自治運営を行っている。香港には中国の社会主義は拡大せず、資本主義を維持している。また、基本法の香港憲法は中国の立法機関である全国人民代表大会によって制定された。この基本法により、香港は半自治と呼ばれ、大規模な組織構造の中で独自の自治権限を持つことを許可されている。従って、将来の香港リーダーの選出に関する中国の関与は、その約束に反するものである。

アンブレラ革命と呼ばれているこの抗議で驚くことは、最近まで断続的に起きたミズリー州ファーガソンの警察官が18歳の黒人男性を殺害したことに反応したデモ抗議中の警察の対応が類似している事である。香港で週末に展開された平和的なデモ抗議中、警察は大規模の催涙ガスやゴム弾を利用した。 その苦情に対して、香港の警察は、ファーガソンの警察と同様、公共の安全の為であると弁護している。抗議者は座り込みも行っているので、逮捕も覚悟していることが示唆されるが、非暴力的な民主的運動であることが基本である。香港の住民はそのような運動を熱心に支持することより、政治および経済的不安定の要因になることを恐れていると言われている。

香港の若者が中国政府と戦っているのは政治的闘争であるが、このアンブレラ革命のもっと根本的な要因は経済的なものである。29日のワシントン.ポストは「経済的ルーツ」があると述べ、「中国は数億人の貧困者を引き上げていない」ばかりか「香港との経済力のバランス」を変えたと指摘した。香港の経済は、1997年に英国が中国に香港を返還した時は(GDP)18%であったが、現在わずか3%であるという。どうしてこのようなシフトが起きたのか? 香港が中国に返還された後、徐々に中国の金持ちが香港の不動産を現金で購入し始めたため、2009年から香港の資産は二倍に上昇する要因になった。中国人の需要は不動産や豪華な物に限らず、赤ちゃんの処方ミルクにまで及んでいる。香港金融管理局は、香港から物を買い占める中国人を抑制する政策を講じたが、現金で購入する金持ちにはさほど影響はなかった。一方、多くの香港市民は郊外に低価格のアパートを探さなくてはならないはめになった。 香港政府は、市内に住んでいない住人にミルク缶の購入を2個に限定し、密売者を罰する政策などを展開した。

香港ではインフレーションが進み、低所得者は経済から閉め出される結果になっている。特に2008年には、中国政府の安全規制にも問題があると思われるが、中国製ミルクで幾人かの赤ちゃんが死亡した事件があったため、香港製品の方が安全であると思っている中国人も多く、地元の製品を購入せず、香港で物を買い占める為、香港では製品の値段が上がっていると言われている。今年初期には「中国製品を買え」と訴える小規模のデモ行進が香港市内で行われた。中国人は社会的地位を意識する国民であり、特に金持ちは、中国製品に執着がなく、香港、東京、米国、ヨーロッパを旅行し、外国製品を沢山買っていることで知られている。物価が高い香港では、一般的な市民には必需品さえ入手が困難になっているようだ。

香港での不動産の買い占めは、北カリフォルニアのサンフランシスコと似たような状況がある。米国または外国の金持ちが不動産を買い占めるサンフランシスコではマンションの価格が高騰しているため、多数の住民が郊外に追いやられている現状がある。サンフランシスコには、大規模な中国街があるが、多数の中国系アメリカ人は不安の面持ちでアンブレラ革命を注目している。30日のUSATodayによると、「元英国植民地と中国の間の微妙なバランスを非常に認識している」サンフランシスコの長い居住者であるジョン.チョンは「彼らは勝てない」と決定的な意見を述べたという。中国政府は香港を支配し結束するため、香港での抗議を口実として利用する事を心配しているという。同市の中国人地域社会には、香港に住む親族のいる中国系アメリカ人も多く、中国政府が香港を処罰することを心配しているという。

そのような中国政府の強硬な対処の可能性は充分考えられる。このアンブレラ革命は、元々経済的不安定の不満から政治的怒りに拡大したものであると解釈できると思う。5日目を迎えた抗議は香港では前代未聞の規模になっているが、中国政府はその決定を破棄する様子はない。

 

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