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総体的に論争的な有権者ID法は特に選挙前の現在、複数の州では下級裁判所で紛争が続発している。最高裁はその法律に何らかの欠陥があった場合、そのような論争的な州の法を拒否する場合もあれば、一部の有権者に不利な投票条件がある法でも一時的に保持する場合もある。ここ数週間で、最高裁が介入した州はウィスコンシン、オハイヨ及びノース.キャロライナ州である。また、テキサス州の連邦判事は、同州の有権者ID法を却下した為、選挙前の混沌状況になる可能性がある。最高裁のこの3州での決定は何を意味しているのか?

9日の夜半、最高裁は論争的なウィスコンシン州の有権者ID法を 6対3で停止した。ワシントン.ポスト(WP)によると、同州では10%の有権者が同州の有権者ID法で要求されている IDを所持していない事が問題であり、2011年に法案が通過した時点から論争的であった。多数派の判事が停止に同意した要因は、同州が有権者に郵送された幾つかの不在投票は完了した為、それを有効な投票として加算するためには、特定の免除者を除いて、その不在投票者は後日、適切な有権者IDを提示しなくてはならないからである。強固な保守派のアントニン.スカリア、クレアランス.トーマス、サミエル.アリートの3人は停止に反対した。反対意見を代表したアリートは「不在者投票にはいずれ写真付きの身分証明を提出しなければならないと表記せずに送信された事は特に厄介である」と述べ、多数派がこの法を停止した理由はその法に落ち度があったことを示唆した。

つまり、ウィスコンシン州では不在投票の条件を明確にすることなく、不在投票は既に始まった為、同州の有権者ID法は混乱の要因である。最高裁ウオッチドッグによると、同州のこの法律は数回、州の幾つかの裁判所で紛争があり、判定が一致していなかった。しかし、地区裁判所の連邦判事は、既に投票登録した30万人は同州が提示したような写真IDを保持していない上に準備する余裕もないと指摘した。第七巡回米国控訴裁判所では判定が5対5で割れた。同州の有権者ID法は有効な9つの種類の写真IDを提供し、特定の免除者を除いて不在投票および現場での投票の場合も同様に、そのようなIDのいずれかを提示する必要があった。これは特に不在投票者にとって非常に厳しい法律であると考慮されていた。

WPによると、テキサス州の連邦判事は、ウィスコンシン州のケースでの最高裁の決定とほぼ同時に、同州の有権者ID法を却下した。連邦地区裁判所の判事ネルバ.ゴンザレス.ラモス判事は、同州の有権者ID法は「違憲の人頭税」であると批判した。しかし、共和党の知事候補であるテキサス州司法長官のグレッグ·アボットは、11月の選挙でこの法律を利用できるよう第5巡回控訴裁判所にラモス判事の判決を覆す事を要請すると述べた。このような経緯において、テキサス州の法は選挙前に不安定な状況に置かれることになる。

ノース.キャロライナ州は、有権者ID法の改正において、投票登録と投票日が同日である事、および投票場を間違った有権者の有効性をいずれも否定すると発表した。しかし、下級裁判所は、挑戦があったこれらの二つの改正を却下した為、州は控訴裁判所に上訴する機会がある。8日最高裁は、同州の改正を7 対2で保持したが、最高裁が州の上訴を検討することを許可した場合、最終的な決定があるまでその改正条項の有効性は延期になる。理由を明確にしていない多数派の決定に反対したのは二人の女性判事である。

先月、オハイヨ州の連邦判事は、早期投票の期間を短縮する同州の法律は少数派の投票参加にマイナスであるとの苦情を受け、同州に早期投票期間を短縮しないよう命令したが、最高裁は同州で早期投票の会場がオープンする16時間前の9月29日、5対4でオハイヨ州の有権者ID法の一部改正を緊急措置として暫定的に保持した。つまり、早期投票期間の短縮による同州の有権者ID改正法を許可した。

最高裁の一連の決定は何を意味しているのか?ウィスコンシン州の有権者ID法を停止した事は、最終的に憲法違反として却下した訳ではなく、単なる暫定的な手続である。最高裁長官ジョン.ロバーツを含む多数派はウィスコンシン州の有権者ID法を停止した理由を説明していない事も含めて、選挙に影響を与える法律の決定には消極的であることを示唆している。細かい規定は州ごとに異なるが、主要点は、多くの州に共通する厄介な不在者投票である。一般的には、投票場に行けない事情のある人達のために利用されている不在者投票はメール投票システムである。海外に在住する兵士や外交官なども含めて、身体障害者、医療施設入居者、体の不自由な老人などは特別なIDを必要とせず郵送による不在者投票が可能である。しかし、同州の場合、軍事関係者を含めて永久的な海外在住者は免除有権者であるが、特別介護施設にいる人達は目撃認定プロセスを経てID要項を満たす必要がある。これは、不在投票を要請する全ての州民に許可しているカリフォルニアや、投票登録者には不在者投票用紙が自動的に郵送されるオレゴンとワシントン州に比較すると、かなり厳しいため論争的である。

オハイヨ州の早期投票期間の短縮を最高裁が認めた事は共和党に有利であると言われている。なぜなら、民主党支持傾向の少数派は時給労働者に多い為、早期投票期間が仕事の休日に適合しない場合、勤務中に無給で長時間投票場に並ぶはめになるからである。投票機数は少ないので期間が短縮されるほど待ち時間も長くなる為、少数派は経済的に影響を受ける点で論争的である。類似した法律を制定している全ての州に適応される決定ではないが、他の州が同じような改正をする可能性があるため益々論争的になる。

ノース.キャロライナの場合、今後最高裁で最終決定する可能性があるかどうか不明である。なぜなら、多くの州は有権者ID法を制定する際、州の環境、必要性、人口動態、その他の状況に応じて独自の条項を制定している為、州の控訴裁判所の判定に委ねる場合が多いと思う。事実、最高裁は、他の議題も含めて莫大な件数の聴聞請願を受けているが、限定した判例のみ決定するだけである。総体的に、これらの州と類似した問題のある州では、有権者ID法が合憲であるかどうかの紛争は今後も続くことを意味している。

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