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下院および上院はキーストーン.パイプライン建設の認可に関する投票を行った。下院では通過したが、上院では通過しなかった。従って、両院で多数派になった来年の新議会で再度投票した場合、両院で通過する可能性は多大である。キーストーンの運命は、最終的な決定権を持つオバマ大統領がその鍵を握っているため、オバマ氏の意向について幾つかの憶測もある。新たなパイプライン拡大建設の問題は複雑化している現状で、短期的な経済的利点と長期的な気候変動の悪影響のどちらを重視するべきかどうかはオバマ氏の判断次第である。

失敗に終った投票は時間の無駄だったとのコメントがあるが、ルイジアナ州出身の上院民主党議員で12月の決勝戦に直面しているメアリー.ランドルーの要請がなければ、両院の共和党は来年新議会が開催されるまで投票を待っていたと思われる。下院では早々と14日に投票があり、252対161票で通過した後、法案は上院に回送された。上院での投票は18日に行われたが、通過には 60票を必要とするクローチャー.システム下で実施され、59対41票で通過しなかった。上院民主党の14人及び 45人の共和党は全員建設を承認したが法案は死滅した。しかし、来年の新議会で多数派となった共和党の賛成票は増大するため問題なく通過することが予測されている。

来年、両院で通過した法案をオバマ氏が署名するか又は拒否権を発動するかどうかについては本人の判断次第であるが、幾つかの憶測もある。基本的にオバマ氏は、キーストーン.パイプラインを通して米国に輸入されるタール.サンドは大気汚染を更に悪化すると判断していると言われている。つまり、オバマ氏はパイプライン建設がさほどメリットがあるとは考えていないと思われる。また、別の輸送手段で既に輸送されているのであれば、パイプラインの建設は不要であるという考え方も出来る。しかし、ロイターによると、ホワイトハウスと何らかの関連性がある匿名の人物は、カナダから輸送されるトランスカナダ社のキーストーンの原油取引は全てが問題外だと言うわけではないと述べ、「大統領がどのように決定しようと、最終決定は炭素汚染に基づくものであると期待している」と語ったという。また「オバマ氏は、カナダからの80億ドルのパイプラインについて議会に承認させることより、むしろ行政決定(又は大統領令)を主張するだろう」と語った。同紙はこれに関して、オバマ氏はキーストーンを共和党との交渉に利用する可能性があると憶測している。もし「彼らがインフラへの投資、税の抜け穴を閉じるか、または炭素の排出量を減少するなど、長期的に停滞している国内の議題に協力した場合」拒否権は使用しない可能性があるという。

過去6年間、共和党とオバマ氏の間で、どのような問題も交渉が成立する状態ではなかった為、キーストーン認可の拒否権を国内議題の交渉条件の武器として利用するとは思えない。しかし、大統領として残された2年間で、なるべく多数の公約を実現するためには大統領令を行使せざるを得ない状況であり、あせりがある反面、2016年の大統領選挙の影響を考慮し、慎重にならざるを得ない複雑な問題に直面している事は確かである。オバマ氏にとって、移民法だけではなく、論争的キーストーン問題の決定も難しい立場にあると思われる。支持者側は大げさに雇用拡大を強調し、反対者はタール.サンドの汚染を極端に懸念している。キーストーンによる雇用拡大は一時的であることが報告されている。従って、短期的な経済成長と長期的な安全と健康のどちらを重視すべきか慎重な選択が要求される。

ニューヨーク.タイムス(NYT)によると、国務省環境の研究では2年間の建設期間で推定42,000の仕事を創出し、そのうち約3,900は建設業務であり、他はフード.サービスのような間接的な補助業務である。永久雇用の創出はわずか約35であり、雇用拡大はほとんど一時的である。また、パイプラインの構築はアメリカの経済に推定34億ドルを追加すると報告されている。経済的な側面に加えて、パイプライン建設のメリットは、米国とカナダの友好および貿易関係を促進することである。世界の石油需要は高いため、国務省はパイプラインが構築されていない場合でも、企業はアルバータのオイル.サンドを開発し、他の方法で市場に石油を移送し続けると予測している。鉄道やその他のパイプラインを構築することでオイルは輸送される可能性がある。オイルを鉄道で輸送する場合でも独自の危険性があり、鉄道車両の場合でも爆発は発生すると述べている。

一方、汚染が増大し、極端な気候による災害を含む気候変動の悪影響を促進することがマイナス要素である。2011年の国際データに基づくNYT の報告によると、世界は326億トンの炭素を放出し、中国の87億トンに次いで、米国は55億トンを放出した。米国内の発電所は温室効果ガスの28億トンを生産し、車のガソリン燃焼から排出されるガスは19億トンである。環境保護庁の推計によると、キーストーン.パイプラインを移動するオイルは、従来のオイルより、毎年更に1,870万トンの炭素を大気中に追加する。パイプライン建設の阻止は気候変動の悪影響を軽減するかどうか、専門家の意見は異なる。しかし、カーボンの排出量はもっと増える為、少なくとも炭素が追加される量、またはそれ以上の排出量を削減しない限り、長期的には健康上及び環境上の問題に直面する懸念がある為、オバマ氏の決断は非常に重大である。

パイプラインはカナダのアルバータからイリノイ州とテキサス州の製油所、及びオクラホマ州のオイルタンクと物流センターに輸送される原油ラインである。プロジェクトは4段階に分かれていて、第1段階と2段階の工程は完了し、3段階目は建設中である。現在、米国政府の認可を待っている建設は2012年に提案された新たなライン(上記地図:黄色点線部分)を拡大する計画であり、環境保護団体が反対している為論争的である。国務省は承認の権限はあるが、最終的な決定権があるオバマ氏は、現在ネブラスカ地区裁判所の判定を待っている状態である。 4月、同裁判所はパイプラインが同州を通過することを許可した知事の決定を阻止した。同裁判所が最終的に、知事にはその権限はないと判断した場合、トランスカナダは再度申請を提出しなくてはならない。 そのプロセスに数ヶ月または数年かかる可能性がある。そのような事も一因として、オバマ氏の決定は遅れているが、短期的および長期的な影響のバランスを考慮した上で決定してほしい。

 

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