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11日の日曜日、連続的なテロ事件が発生したパリには世界のリーダーが結集し、テロリズムに恐れない決意を秘めた歴史的な追悼式と行進が行われた。これはイスラム過激派のテロ攻撃で犠牲になった多数のパリ市民に敬意を表する画期的なイベントである。オバマ大統領は来月、グローバル的なテロリズム対策を強化する為、世界の安全保障サミットを開催する予定であるが、パリの歴史的集会は世界が今日抱えている幾つかの共通の問題を示唆している。

風刺週刊新聞社の チャーリー.エブドが攻撃され12名が死亡した7日の銃撃後、別のテロリストがコーシャのデリ(ユダヤ系のデリカテッセン)で4人を人質にした事件を含め、3日間続いた暴動で犯人を含む17人が死亡した。エブド新聞社で12人を銃殺した3人中2名はアルジェリア系フランス人の兄弟であり、自首したと言われた18歳の少年は、襲撃当時クラスにいたことが目撃されていて、このテロ事件とは無関係であるとの説もある。新聞社を襲った犯人二人組の兄弟は逃亡後、9日に印刷工場で警察官に射たれて死亡した。その後、デリで4人を人質に取った犯人の男性は女性警察官を殺害し、警察官に射たれて死亡した。この男性には26歳の女性パートナーがいると言われているが、フランス人兄弟のいずれかとコネがあり、デリでの人質騒ぎが起きる前に逃走したとの説もある。現在シリアにいると推測されているこの女性のパートナーは死亡する前に録画したと思われるビデオを公開した。その男性はイスラム国家(ISIS)に忠誠を誓ったので、フランスのイスラム教徒も彼に従うべきであると主張している。

この日、ヴォルティア通りで歴史的な行進が開催されたフランスはイスラム教徒の地域社会、大きなユダヤ人社会 、移民排斥を掲げる極右政党の国民戦線などが存在し、また、特に反ユダヤ主義による宗教的紛争が問題になっている国である。多くの国が似たような問題を抱えていることを思い起こす機会を与えた。大統領フランソワ.オランドは、イギリスの首相デビッド.キャメロン、ドイツの首相アンゲラ.メルケル、イタリアの首相マッテオ·レンツィ、スイスの大統領シモネッタ·ソマルー、イスラエルの首相ベンジャミン.ネタニヤフ、欧州理事会の会長ドナルド·トゥスク、及びパレスチの大統領マフムード.アッバースなど、イスラム教およびユダヤ教など宗教の壁を越えた44人の世界のリーダーと共に、前代未聞の高度警備体制下でテロリズムに恐れない団結を表明した。追悼集会の参加者は推定150万人前後であり、安全警備に派遣された警察官および軍隊の数は約5,000人であると言われている。フランス各地の都市では少なくとも70万人がイベントに参加したと言われている。

ヴォルティア通りに集ったグループには、宗教と言論の自由を主張したチャーリー.エブドに深い敬意を表明する活動家達も参加したようである。今回の事件は18世紀フランスの啓蒙作家、歴史家、風刺論客者、哲学者、宗教および言論の自由の提唱者であったヴォルティアがどれほどチャーリー.エブドに影響を与えたかを示唆している。また、フランスは報道の自由と国民の安全性のバランスを如何に維持するか論争的な国であるが、オランド大統領は「 パリは今日世界の首都である」と表明した。キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ人を含む9人の友人と参加した自称無神論者の32歳の男性は、「我々は恐れていないことを示すためにここにいる。私たちは恐怖に負けない。彼ら(テロリスト)は私たちを分裂させたいが、私たちはフランスであり、共和国であり、私たちは今日一体である」と語った。しかし、44カ国の中には、メディアによる言論の自由を抑圧している国もある為、ここに参加する事は偽善的であると批判するフランス市民の声もある。

また、昨年地元の選挙で25%の市民に支持された国民戦線はパリのボーケール街で、1,000人以下の集会を行なった。女性指導者が指揮したその組織は 「イスラム教徒のテロリズム」と糾弾した旗を公然と掲げていた為、怒号が起きたという。罪のないイスラム教徒を差別する風潮は米国にもある。この集会に参加した幾つかの国はISISと戦う為団結しているが、イギリス首相のキャメロンは「自由で開かれた民主主義の国」であることを強調し、イギリスはパリが受けた同様の攻撃を受けない保証はないと表明した。パリを訪問している司法省長官のエリック.ホルダーは、大統領は2月18日にテロリストによる核兵器入手を防ぐため、世界のリーダーを招待し世界安全保障サミットを開催すると公表した。ホルダーはキャメロン首相と同様、フランスで起きたことが米国でも起きる可能性があると述べ、個人または小グループが大量破壊力のある武器を得る可能性を懸念した。

今日の集会に参加した群衆は、批判と暴力的脅威に臆することなく、言論の自由の信念を貫き通すことでヴ ォルティア精神を反映したチャーリー.エブドのメンバーに敬意を表明した。数日間で連続的に発生したテロ襲撃の被害者を単に悲しむ追悼の催しで終らせるだけではなく、世界中で脅威に直面しているテロリズムに恐れないことを一体となって宣言した。少なくとも、そのような雰囲気があるこの集会に参加しなかったオバマ氏は、第二次世界大戦以来の大規模な歴史的イベントに触発されたと思われるが、世界がISISの脅威に直面している現在、世界のリーダーが一体となって取り組む時であることを示唆した。

 

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