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下院議会は数日前、オバマ大統領が大統領令として署名した移民法をブロックする条項を含めた、国土安全保障省(DHS)に対する歳出予算法案に投票した。下院では通過したが、上院では潜在的に通過しにくいと言われている。また、オバマ氏も拒否権を行使する為、制定の可能性はない。しかし、下院の共和党リーダーは昨年から、大統領の移民法に対抗する意志を表明していた通りそれを行動に移した。再度強制送還を強行し、連邦政府の一部を閉鎖する事を示唆した法案は巧みで冷酷な戦略であると批判されている。

オバマ大統領は2014年11月20日、子供を含む不法移民に滞在許可を与えることで、強制送還を停止する移民法の大統領令を公表した。これに反対し続けていた共和党は新議会で大統領令の移民法を撤廃すると宣言していた為、14日下院独自の歳出予算法案に投票し236対191の票差で通過した。共和党の投票の目的は、500万人の不法移民の強制送還を停止する大統領令による移民法を無効にすることであるが、25人以上の共和党は民主党に加勢した。単なる歳出予算法案であれば、下院民主党も全員賛成したはずであるが、民主党議員は一人も賛成票を投じていない。上院議会の民主党はフィリバスター(議事妨害)を慣行すると公表している為、上院では通過しない可能性がある。仮に通過したとしても大統領は署名しないと警告している為、この法案が成立する可能性はない。

昨年両院で通過した融資継続法案は、国土安全保障省(DHS)への融資期限を 2月27日まで短縮されていた為、今回の措置は 400億ドルをDHSに提供する法案である。しかし、過去からのオバマ大統領の移民法を撤廃する改正条項が含まれている。歳出予算法案の論争的な改正項目は(1)2012年にオバマ氏が署名した大統領令をブロックする。これは、子供の頃米国に連れてこられた不法移民に、一定の条件で合法的労働許可と滞在許可を与えたものである。多くの共和党はこれを恩赦であるとして反対し続けた。(2)2014年11月20日、約500万人の強制送還を阻止する為、不法移民に滞在許可を与えると公表した大統領令をブロックする。(3)不法移民の滞在許可申請とその許可に必要な経費を政府の融資から配分することをDHSに禁止する事で、その予算を削減する提案が含まれている。

DHS下の移民局は、パスポート更新の手数料を含めて幾らかの歳入がある為、一部の業務には影響を受けないが、同省の資金は2月末に底をつくため、融資が必要なら移民法を諦めるべきであると迫った下院共和党の行動は巧みである。しかも、法案はDHSの職員に無給労働を強いるかまたはDHSを閉鎖するか、どちらかの窮地に追い込む状況になることを意味している。両院の民主党は、移民法の改正を追加した下院共和党の歳出予算法案は、罪のない子供も強制送還することになると指摘している。また、子供の頃、選択の余地がなく米国に連れてこられ、米国社会で育ち、米国以外に住む場所がない若者達を追放することを意図したこの法案は非常に冷酷であり、アメリカ人のすることではないと批判している。

民主党の激しい怒りに直面したこの法案は、例え上院で通過してもオバマ氏は署名しないため、制定の可能性はない。しかし、共和党が議会をコントロールし始めてから10日も経過しないうちに、下院共和党が党利党略的な予算法案に投票したことは、議会で多数派となった共和党が今後も攻撃的な戦略を展開することで両党は更に分裂する恐れがあることを示唆している。この法案に反対票を投じた共和党の一部は、彼らの党が移民に冷酷であるとの印象を国民に与えると懸念している。上院では下院法案について議論を行う予定であるが、民主党議員らはフィリバスターを行うと公表している為、上院で通過しないと予測されている。

 

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