アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

ロー対ウェイド判決から42周記念日の1月22日、ワシントンでは中絶反対者のデモ集会が行われた。プロ.チョイスを支持した最高裁の決定から42年が経過した今日も中絶に反対する勢力は衰えない。下院共和党議会は胎児保護法の投票を予定していたが、女性議員が増えている下院で激しい反対に直面したため、今日の投票予定を突然キャンセルした。しかし、急遽中絶に関連のある別の法案に投票し通過した。中絶禁止法案の投票に失敗した理由は単純であり、投票の動きは幾つかの側面で、単なるロー対ウェイド判決記念日の演出であることを思わせる。しかし、下院でのエピソードは、保守派の議題が全て保守多数派の議会で簡単に通過するとは限らないことを示唆した最初の例になった。

法案は胎児を保護するため20週間後の中絶を禁止したものである。7日にワシントンD.C出身の下院議員トレント·フランクスに紹介されたものであり、痛み可能な胎児保護法(PCUCPA)に基づき、レイプ事件を警察に報告した被害者のみに中絶禁止を除外している。圧倒的に多数派になった下院議会の複数のリーダーは、通過には充分な票があると予測し、簡単に通過するものと期待していたが、多数穏健派の男女議員が猛烈に反対するという非常に驚きの展開になった。昨夜の協議中、法案は極端すぎるとの多数の反対意見により、下院は分裂したため急遽今日の投票をキャンセルした。

下院議会の女性は謀反を起こしたと言われているが、法案がキャンセルされた水曜日の夕方、 議事堂 、ホワイトハウス、最高裁の前で中絶に反対する集会が開始された。その様子に影響を受けた下院共和党のリーダーを含む幾人かのメンバーは、何らかの方法があると主張した。従って、42周記念の集会が続いている22日午後1時過ぎ、内容を変えた別の法案の投票が行われ、242対179票で通過した。この法案の目的は納税者のお金を中絶の為に融資することを禁止または、連邦政府の資金が中絶に利用されることを防ぐ為である。似たような法案は2011年1月にも紹介されたが、民主党が支配していた上院で通過する可能性はなかった。

共和党が投票を諦めた一因は政治的なものである。2016年の大統領選のマイナス要素を懸念したことが主な要因である。2014年の中間選挙の投票参加率は40%以下であったと言われている為、選挙結果は必ずしも国民の意志を反映していないが、2016年の大統領選は60%以上になると予測されている。従って、共和党に不利になることが懸念されたからである。特に多くの女性議員がPCUCPAに反対した理由は、全てのレイプの被害者が考慮されていない法案であるため、影響を受ける若い女性有権者の支持を失う懸念があった。 反対した議員らは、レイプ被害を警察に報告した女性を除く全ての出産年齢の女性に適応する法案は、レイプ被害者に残酷であると懸念した。なぜなら、レイプ被害の報告は稀である為、一般の女性には受け入れられない内容であるとして、数日前からこの法案に対する懸念が女性議員の間で拡大したと言われている。

中絶禁止に関する今日の投票の動きは、ロー対ウェイド判決から42周記念日の1月22日のタイミングをねらっただけの演出に過ぎないと思われる。その理由は(1)最高裁は米国憲改正法第十四条で中絶の権利を保証し、24週間以後の中絶の場合を禁止すると定めているため、20週間に変更し、投票で通過すれば法律として成立するというような簡単な問題ではない。また(2)一定の宗教団体とティーパーティにアピールしただけの性質のものである。なぜなら、疾病対策予防センターの最新の報告によると2011年の米国の中絶率は1.39%であり、中絶率は非常に低い。これに加えて(3)中絶の問題は最も関心が低く、一般の国民は議会が経済の課題を優先して取り組むことを望んでいる為、緊急に投票する必要はない。(4)中絶禁止産業の商魂は非常にたくましい為、中絶禁止を重視する議員は、一部ビジネス団体の支持を得ることが可能である。車のナンバー.プレート、ティーシャツ、野球帽、装飾品、マグ.カップ、バッジ、書籍など、中絶禁止をアピールする多種の製品が市場に溢れている。

今日の下院の動きはシンボリックであるが、共和党はPCUCPAを完全に破棄した訳ではなく、いずれかの機会に再投票することも考慮している為、「女性に対する戦争」は今後も続くことを示唆している。意外な事実は、下院共和党は保守派を増員した為、問題なく投票し簡単に通過するとの予測に反して、思いがけない党内の分裂に直面したことである。オバマ大統領は拒否権行使を警告している為、制定は最初から困難であるが、全ての保守派の法案が保守多数派の議会で必ずしも簡単に成立するとは限らないことを示唆した初めての例である。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。