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イスラエルの首相ベンジャミン.ネタニヤフは2日から米国を訪問している。2日はワシントンの国連本部で開催された2015年米国イスラエル公共問題委員会政策会議に参加し、3日午前中はキャピトル.ヒルの議事堂で上院および下院議員を前に、イラン核兵器の脅威について約40分のスピーチを披露した。そのスピーチの反応又は問題点は何か? 彼が米国議会でスピーチを披露した理由は何か?なぜ多数の民主党はネタニヤフのスピーチをボイコットしたのか?

3日のスピーチで、ネタニヤフはオバマ政権がイランとの核交渉に合意すれば、「潜在的な核の悪夢」は時間の問題であると警告した。米国がイランと現在交渉中の条件を受け入れると、イランが核兵器を開発することを防ぐことは不可能であると主張し、イラン政権は以前と同様、「過激であるため信頼できない」ので「世界の大国との合意」であっても、イランが「爆弾を利用する道」を阻止することはできないと警告した。イランは核兵器を開発する為、オバマ政権のイラン政策はイスラエルにとって脅威であると批判し、これは「非常に悪い取引(交渉協定)である。イランはいずれ核兵器を取得する為、我々にはそのような取引がない方が良い」と述べ 、イランとの核合意は核兵器開発の道に繋がると断言した。

この主旨は約40分のスピーチで数回強調され、「イランの態度が変わるまで」イラン制裁を維持することを望む多数の共和党を鼓舞する印象を与えた。また、ネタニヤフは二階の正面に座っていた86歳のホロコースト生存者エリ·ヴィーゼルを紹介し、「歴史の教訓を学んだことを約束することができると願っている。私ができることは世界の指導者たちに過去の過ちを繰り返さないよう促すことだけである」とヴィーゼルに語りかけた。総体的に、参加した議会メンバー、特に共和党議員の拍手を受ける場面も多々あったが、ネタニヤフのスピーチは米国イスラエル間の友好を更に深めることに役立ったかどうか疑問視されている。

P5+1と呼ばれる国連安保理事会である米国、イギリス、フランス、ロシア、中国およびドイツは、既にイランが制限されたウラン濃縮技術を維持できる暫定的な合意に達している。これらの国がイランの核プログラムを交渉しているので、「悪い取引」と呼び、オバマ政権を批判したのは不適切である。昨日、米国国家安全保障顧問スーザン·ライスはこの公約を解消することはできないと述べた。ネタニヤフは、表向きは民間核プログラムを開発すると主張しているが、イランは実際には核兵器を開発するという疑いを持っていることを明白にした。米国および幾つかの同盟国も多少なりともそのような懸念を抱いていると言われている。従って、オバマ政権はイラン大統領のハサン.ロウハーニーと交渉を重ねてきた。ロウハーニーは当然ながらこの疑いを明白に否定している。

下院少数派リーダーのナンシー.ペロシは「米国の知性に対して侮辱された事が悲しく、イランの脅威に対する我々の知識および 我々が核拡散を防止するための広範な公約に対して見下した発言が悲しい」と自身のHPに掲載した。また、「ネタニヤフ首相は今日、我々がすべてに同意している内容を再度表現した。イランが核武装することは我々両国に受け入れられない事である。我々は全員、すべての悪い取引は取引がないことよりも悪いと言っている。核兵器の拡散を停止することが私たちの外交政策と国家安全保障の基盤である。オバマ大統領は一貫して、『イランが核武装を防止するための全てのオプションはテーブル上にある』と言っている」と指摘した。

なぜネタニヤフは米国議会でオバマ政権のイラクに対する外交政策を批判するスピーチを披露したのか?オバマおよびネタニヤフ両氏は数年間 、イランの核問題について意見が異なる状況が続いている為、「イランの脅威を制限する方法について深い不一致があることを反映している」と言われている。イスラエルの情報大臣ユバール·シュタイニッツは先月、イスラエルの目標は早急に「イランの核脅威を除去すること」であり、時間をかけて「確認し、検査することではないと我々は思っていた」と語ったという。しかし、ネタニヤフは何ひとつ画期的な別の案を提供しなかったとの指摘は共通している。オバマ大統領も 「首相は実行可能な選択肢を提供しなかった 」と述べ、特に何も斬新性のあるスピーチではなかったとコメントした。また、米国とイスラエルの主な懸念が何であるかを明白にするべきであるとし、大統領に就任する前からイランが核兵器を得ることを防ぐことが第一の目標であると語った。又、オバマ氏は『米国とイスラエルは壊れない関係である』と首相が述べた事については「完全に同意する」と付け加えた。

多数の民主党議員は議事堂で開催されたネタニヤフのスピーチをボイコットした。民主党のボイコットは、最初の約20名程度から最終的に59人に拡大したと言われている。なぜなら、ホワイトハウスおよびオバマ政権に何の相談もなく、下院議長ジョン.ベイナー及び彼の複数の仲間による秘密の招待であった為である。また、ネタニヤフは、この招待の機会を2週間後に差し迫ったイスラエルの総選挙のキャンペーンに利用し、イスラエルがイランに厳しい制裁を促している事実を米国民にもアピールするねらいがあった。従って、右翼派ネタニヤフのスピーチは一種の党派的なアプローチであることが予期されていた為、多数の民主党に拒否される結果になった。ネタニヤフは米国のユダヤ人を代表するスピーチを披露する意図もあり、ホロコースト生存者に激励の言葉を表明したが、大半の米国ユダヤ人が支持しているオバマ政権のイラン政策を批判した為、逆効果になった可能性がある。

 

 

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