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両院は今後10年間の予算法案を論議し始めた。下院は17日、概略的な予算法案を公表したが、既に党内でも亀裂が生じている。これにはオバマケアの全面的な撤廃、及びウォール街の金融規制法の一部撤廃、メディケアおよびメディケイドの削減、軍事費の増大などが含まれ、多数派となった共和党の党派色が濃厚であるため論争的である。

連邦政府の支出に対する予算の取り組みに関しては、多数派の共和党にとって事実上主導権をフルに発揮できる機会であるが、既に上院共和党のベテラン議員が異論を公言している。この予算法案は4月15日までに通過する必要があるため、下院議会は論議を開始し、今日草案を公表した。両院で通過しなかった場合、下院議長のジョン.ベイナーおよび上院多数派リーダーのミッチ.マコーネルにとっては多大な敗北になる。しかし、早くからその敗北の可能性を示唆する複数の要因がある。下院の予算法案にはオバマケアを撤廃することが含まれている。しかし、先日オバマ大統領は、以前医療保険がなかった1,600万人以上の国民がオバマケア下で加入したと公表したばかりである。

共和党はオバマケアと交換する別の具体的な選択案を提示していないが、2001年頃から台頭した Patient-centered care(PCC)の概念を利用した健康システムに変える意向があると思われる。PCCは患者が積極的に医療システムに関与する設計になっていて「実際に医療の質を向上させると同時にコストを削減できる」為、オバマケアの概念と同じであると言われている。また、医師と患者の関係の質、および患者の臨床結果に関する満足度を改善する事を目指している。しかし、診断テスト、処方箋、入院、照会の利用を減少することで経費を削減するシステムである。いずれにしてもオバマケアの撤廃が再度主張されているが、オバマケアに加入した1,600万人の国民が納得するその代替え案はなく、撤廃後の具体案はほとんど公表されていない為、非常に問題である。

オバマケアを撤廃した場合、その任意的な拡大条項であるメディケイドをどうすかという問題もある。NPRが公表した保健社会福祉省の最新の統計によると、2010年には、メディケイドの加入者は5,390万人、メディケアは4,730万人であった。現在、連邦および州政府はメディケイドの費用を負担している。裕福な州は50%を負担しているが、貧しい州では連邦政府が2/3を支払い、その残りは州が負担している。共和党は以前から、豊かな州の納税者のコストは、貧しい州に流れるため、不公平なシステムであると主張している。共和党は、連邦政府の予算を削減する為には現行法のシステムを排除し、州の投資信託の財源を通して、州政府がメディケイドを管理するシステムに変更したいようである。共和党は予算計画の際、毎回連邦政府のメディケイド予算削減を提案しているが成功していない。更に、歴史的な公的医療保険であるメディケアについては、2012年から共和党が公表していた民営化を再度提起している。これは過去に数回提起された同じ発想であり、将来の高齢加入者に一定金額のクーポンを発行することで、国民が直接医療保険会社から保険を購入する民間医療法システムを目指している。

更に、この予算法案には最も重要な金融規制法であるドッド.フランク法も一部撤廃する計画が含まれている。銀行は破産するには大きすぎるとして、金融機関の債権者を救済していた保険公社の権限を停止する提案が含まれている。ドッド.フランク法全体の撤廃は提起されていないが、共和党は銀行が嫌う複雑で難解なこの法律を徐々に撤廃する意向があるため、予算法案にその一部を追加したことは前回と同様である。また、連邦住宅抵当公庫であるファニー.メイおよびフレディ.マックを民営化することも含まれている。

更に共和党は、世界的な脅威であるISISおよびテロリストと対抗するため、ペンタゴンの軍事費を増大させたい考えである。軍事費の増加は大統領の予算より大幅に多いと言われているが、上院共和党のベテラン議員であるアリゾナ州のジョン.マケインは、核問題を協議しているイラン及びオバマ政権との協定を阻止するため新人議員のトム.コットンが起草し、47名の上院議員が署名した後イランに送った手紙について、複数の国際法専門家が法的ミスを指摘した後、「最善の方法ではなかった」と述べ、署名したことを後悔する発言をした。今年から新議会で共和党が多数派になったため、共和党が全ての委員会の委員長に就任している。現在、上院軍事委員会の委員長であるマケインは予算に関して、既に国内プログラムが縮小されている現状で法定上限を越える軍事費を調達すること、及び国内プログラムの資金を軍事費に移すようなアプローチを認めないと警告した。

総体的に大多数の民主党は下院の予算法案に反対しているが、軍事費に関しては既に共和党の有力者が異論を表明している。共和党は大統領の予算案は負債の増大に繋がり、負債が増大すると利息やインフレーション率が増加し、投資や雇用拡大に影響を与えると主張している。従って、軍事の大幅な増加は、特に低所得者と中産階級を援助する国内プログラムが大幅に削減される為、必ず一般の国民につけがまわる結果になる。オバマケアは6月の米国最高裁の判定次第で、議会は再度この医療保険法を改正する可能性もあるため、共和党は再度撤廃を主張できるムードがある。しかし、党派的な予算案について、民主党はバランスの取れた予算案であるとは見ていない為、両院で通過することは困難であると思われるが、大統領が署名する可能性もない為、非常に論争的である。

 

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