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建国以来、初めて黒人大統領が誕生したことは米史上最も著しく画期的な出来事である。オバマ大統領は2008年3月の選挙キャンペーン中、人種問題について演説を行い、アフリカ系アメリカ人の地域社会には多くの不平等が今日も存在すると語った。過去の奴隷制度と冷酷なジム.クロウ法のもとに早期の世代が苦しんだ不平等性は、今日起きている人種問題の直接的原因であることを我々は念頭に置く必要があると語った。更に、オバマ氏は人類の平等を目指しての戦いはまだ終わっていないと述べた。オバマ氏が大統領に選出されても、彼の就任中に人種差別が完全になくなることは不可能である事を示唆した演説であった。

カリフォルニアは最も多様な民族で構成されている州であり、最もリベラルな州であるという印象がある。しかし、いまだに人種差別や偏見が存在し、黒人に対する人種差別や偏見に基づく事件が多発している。陪審制度に黒人を除外し、白人だけで構成されていた事実や、警察官が虚偽の報告を行い、証拠を偽造し、罪の無い黒人を逮捕または誘拐した事件は最近のメデイアに報道されている。数年前、北カリフォルニアのある高校で黒人数人の生徒が複数の職員に「サルと呼ばれ差別された」と苦情を訴えた事件があった。また、アジア系アメリカ人も人種偏見の被害者になる場合が多々ある。カリフォルニアの首都サクラメントで、アジア系の女性だけを狙ったバックひったくり事件があった。

様々な人種が存在するカリフォルニア州での人種差別や偏見の特徴のひとつに、同一人種のグループ化がある。特に若者の間で別のグループと対抗するという傾向が見られる。現代のキャンパスにもグループで行動する学生達もいる。たとえば、白人だけの女子学生の中には、黒人の女子学生と行動を共にしないグループも存在する。また、ヒスパニック系の学生は、アジア系の学生に異常なまでの対抗意識を示し、アジア系の学生を受け付けない少数派も存在する。

あるアジア系のクラスメートは、人種差別の根本的原因は経済競争にあると話していたことを思いだす。確かに、真面目で勤勉家が多いアジア系アメリカ人は総体的に成功し、経済及び社会的に他の人種をリードしている事実は記録が示すとおりである。例えば、1997年の中間所得を示した統計によると、アジア系アメリカ人は$45,249、白人$38,972、ヒスパニック系アメリカ人は$26,628で、アフリカ系アメリカ人が$25,050となっている。当然、時代によって多少の変遷はあるが、15年前のこの数値はアジア系アメリカ人が白人を含む他のどの人種より、経済的に勝っている事を明白にしている。

英語のオンライン.クラスを受講した際、マクドナルドで言葉を失うというタイトルのエッセイが配布された。そのエッセイの冒頭には、著者自身が中産階級の白人系アメリカ人である事、最近アメリカの人種差別の現状を意識するようになった事、マクドナルドで目撃した明らかな人種差別のいきさつなどが語られていた。ある日、マクドナルドで著者の前に並んでいた年老の白人男性は著者に同意を促すように、「今のアメリカ人はベトナム人だけだな」と不機嫌なトーンで話しかけたという内容だった。その老人は相手が同意することを期待しているかのように著者の顔を覗きこんだ。返事に困った著者は、明るく「イエス」と答えただけという内容のものであった。非常に空腹で、食べることしか考えていなかった著者は、その時初めてカウンターの向こう側にいる労働者はすべて黒いストレートの髪、どちらかというと色黒のアジア系アメリカ人ばかりだということに気付いたと書いていた。著者は、この老人にアジア系アメリカ人はベトナム人だけではなく、カンボジア、韓国、中国人系など多種国籍のアジア系アメリカ人がいること、また、このような人たちの貢献が我々の国を助けているのだから感謝すべきだと言いたかったと述べ、エッセイの最後に将来同じような場面に遭遇した場合、もっと効果的に人種差別と戦う対処法を学びたいと述べていた。

このエッセイの重要なポイントは、一般のアメリカ人はアジア人を見た場合、民族衣装を着ていないかぎり人種を区別できないということである。見ず知らずの他人にとっては、アジア系アメリカ人が日本人なのか、中国人なのか、それとも、韓国人なのか区別出来ないということを言いたかったのだろう。しかも、大半のアメリカ人は、アジア系の移民は発展途上国から来た貧しく、英語も話さない人間ばかりだと思いがちなので、誇り高い高度先進国日本から移民した日本人はプライドを傷つけられる場合もある。しかし、近年のアジア系合法移民は、教育背景、収入、異人種間の融合性、仕事の倫理観、英語力などが他の人種のグループよりはるかに優れているとの認識は、米国社会で浸透しつつある。

人種差別や偏見を研究する学者は、アジア系アメリカ人の地域社会で歴史的に根付いた人種差別と偏見について興味深い見解を述べている。例えば、偏見は常に型にはまった卑劣な忌避及び差別思想が法律に結びついており、少数民族を不利な立場に追いやる。第二次世界大戦当時、日系アメリカ人や日本人移民に対する強制収容、およびアジア系アメリカ人を白人の地域社会から、組織的及び社会的に除外した歴史がその例である。その結果、アジア系アメリカ人は病院、保険会社、社会同好会などを築くことによって自らの資源に頼らざるをえなくなり、結果的に分離した民族組織と地域社会が生まれた。(続)

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