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多様な民族で構成されているアメリカの教育システムは複雑である。開かれた教育の門の中では、学校間及び民族間の格差が激しく、近代のアメリカ教育の最大の目標はその格差を埋めることであり、それに向けた生徒及び教師両方の葛藤が繰り返されている。特に近年の教育の向上は連邦政府が目指す最も重要な政策のひとつである。子供にとって質の高い教師、及び質の高い教育とは何か?

高校の教師、カール. フィシはグロバリゼーションの情報化時代の今日、技術の世界は驚異的に早いスピードで進んでいることを教えたユーチューブを紹介した。その中に、任天堂は2002年には技術研究開発に1億4千万円を投資したが、アメリカ政府が教育における研究と改革に費やした費用はその半分以下であると述べている。2008年のオンライン. クラスでこのビデオを見た生徒の共通した反応は、アメリカ政府の教育に対する取り組みは世界のどの国よりも遅れているという批判であった。このようなコメントの背景には学生自身が、アメリカの教育の問題点をよく熟知していることを示唆しているが、連邦政府は他の先進国に比較して教育への投資が少ないと判断する事は必ずしも正しいとは言えない。

2001年にブッシュ政権下で「一人も取り残された生徒を出さない」(No Child Left Behind)のスローガンによる教育改革法が打ち出された後、連邦政府の教育への投資額は事実上増えている。2002年だけでも小中学校教育にかけた費用は265億ドルで、このうちで10億ドルは読む能力を向上させるためのプログラムに費やされたとの報告がある。ブリタニカのライターであるマァリィ. トマスは、この法の下に、連邦政府は歴史上かってないほどの教育に対する野心と経費を膨らませ、ブッシュ政権下で教育への出費は40%増大したと述べた。それにも関わらず、生徒の数学や読む能力に関するレベルの低さは歴史的に懸念されている。

また、高校期間に大学進学の準備ができていない生徒が多いせいか、総体的に英語の読み書きは特に、エッセイ試験を苦手とする生徒が多く、英文法やスペルの間違いの多さには唖然とさせられる。成人になっても書くことは苦手な人が多いと聞く。完璧な英語を書くのはネイティブではなく、むしろ外国から移転した生徒または留学生である良く言われる。おそらく、ネイティブは生まれたときから、音として自然に英語を学び、文法も自然に耳から感覚的に学ぶが、英語を第二国語として学ぶ日本や他の国の学校教育は、文法や読み書きに力を入れるという点が大きな違いかもしれない。加えて、近年の日本の英語教育は自然な英語を話すアメリカ人を教師として採用するケースが増え、学生は自然な英語の発音を学ぶ機会もあるようだ。

また、日本とアメリカの教育基準を比較した場合、日本の場合は中学までが義務教育であるがアメリカの場合はK-12 と呼ばれ、幼稚園などの初等教育期間と小学校から高校までの中等教育期間がアメリカの義務教育になっている。日本の場合、短期間の義務教育でより幅広い科目を消化しなければならないため、義務教育の水準は高いように感じるふしがある。事実、数年前まで日本の科学や数学の水準の高さは世界のトップを維持していた実績がある。世界経済先進国のアメリカが教育水準の面では他国に劣るその根本原因を大まかに分けると、他民族間による能力の違い、及び教師の資格、宗教に影響を受けた科学否定傾向の問題があげられる。

アメリカの義務教育制度は、公立学校と私立学校、宗教団体が設立した学校、及び個人の家庭で学ぶホーム.スクールに分けられる。ホーム. スクールの動機は辺鄙な地域に住んでいる事、両親の宗教的又は教育に対する信念に基づくケースが多い。現在80~90%の学生が公立に通っているが、公立と私立学校には様々な差があると論じられている。例えば、私立には金持ちの子供が通い、平均的な家庭の生徒は公立に通うという認識がある。私立の方が公立より十分な予算があり、値段の高い教材を学校側が提供でき、技術的援助も高い。私立学校は全て授業に必要な経費を問題なく負担できるが、公立の場合、教師自身が個人の給料から予算を捻出し、クラスのプロジェクトに使用する教材を購入する場合もある。更に、私立の場合、クラスの生徒数が少ないため、教師が一人の生徒に集中する効率が高くなる。公立の場合、クラスの生徒数が多い為、クラスについていけない生徒に時間をかける余裕はほとんどない。

また、教師の資格についても、公立より私立の方が教師の教育歴は優れていると言われている。生徒を選択するという面においても、私立の場合、学校は態度に問題のある生徒は簡単に追放することができるが、公立では一時停学させる程度に終わるケースが多い。一般的に、公立の学校教育には様々な問題がある。

この推定を裏づける1999年に発表された資料の統計によると、アメリカ全土で20%の小学生が読む学習に問題がある。少なくとも、20%の小学生は人に頼らず、学年に必要なレベルの読書が楽しいと思えるほど、流暢に読みこなすことができない。全国教育進度査定(NAEP)によると、 このような生徒の60~70%はアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、及び家庭環境及び生まれた環境が英語を母国語としない生徒である。全国で読み書きの能力の乏しい生徒の1/3は両親や家族に大卒者がいるという意外な報告もある。又、アメリカの25%の成人はある職業に就く際、基本的な読書能力に欠けるなどのデーターもある。

学業の低い都市の学校に通う貧しい少数民族の家庭の子供たちの読書能力の低さは甚だ著しく受け入れ難いと専門家は語る。特に、貧困家庭のアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、及び英語能力にハンディのある生徒の読書能力の低さは中産階級の白人の学生に比較した場合、大きな差がある。しかし、1/3は教育に恵まれた家族背景があるという上記の統計でも分かるように家庭環境のみが読書能力の低さに関係があるとは言えないようだ。カリフォルニアの調査によると、大学卒の両親を持つ学生の49%は読書能力が全国教育進度査定基準を下回ることが報告されている。

こうした観点から専門家は、訓練された教師陣の配置や効率的な指導要領の強化をふくめた教育体制の改善があれば教育環境に恵まれない子供たちでも、恵まれている生徒と同じように読書能力は向上すると述べている。アメリカの教育改革は1980年代から様々な実験が試みられ、生徒の学業に著しい進歩が見られるようになっている。1990年初期には企業の指導者が公立学校の教育改革実践を補助するため非営利組織を設立し、政府も教育こそがアメリカ経済の発展と個人の成功の根本的要素であると強調したため、全ての人に教育の門が開かれた。

NCLB法は2001年に議会で通過し、2002年1月にブッシュ大統領が署名している。この法は連邦政府が初等教育及び中等教育の生徒全員の学業をあげるため政府がその補助金を出し、州がその責任を負うことを規定した。公立の生徒は数学と読書能力を高め、学業をあげるため、年1回の試験を受け、学力水準に近づけるため、採点を上げることが義務づけられる。また、教師の資格も厳しくなり、目標を達成できない学校は、補助金の取り消し、職員の交代、及び最悪の場合は学校閉鎖になる結果が伴う。

この法のシステムには、マスコミでも賛否両論の論争が続いている。2008年4月に教育長官が署名し、各州の教育委員会の責任者に送られた手紙には、NCLB 法による教育への取り組みが強化され、無料で個人指導を受けられるシステムが利用できるようになったため、貧しい家庭や小数民族の家庭の生徒の成績が大幅に伸びた事が明記されている。また、この法の目的は、読書能力や数学の向上に努力している学校には補助金を支給するため、全ての生徒は2014年までには成績向上に取り組まなければならないと述べている。(続)

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