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高校生男子が男性らしさを強調し、彼らが“男らしくない”と思う生徒に対する冗談や侮辱、それが原因となる暴力の背景にはアメリカ社会における性別教育とメディアの影響が反映している場合もある。テレビ番組やミュージック.ビデオなどのエンターテインメントの世界、及びマスメディアの傾向を鋭く観察すると、女性の社会的地位は向上しつつあるものの、自由の国アメリカも例学なく影に隠れた男尊女卑の思想に基づく性別役割を強調する習慣が今でも定着していることに気付く。

子供には一層この性別役割の教育が強調される。それを象徴している子供の世界にトイザラス(the Toys ‘Я’ Us)という有名な玩具のストアーがある。トイザラスは男女性別役割の違いを明白に教えている点でアメリカ社会を反映する数少ない場所のひとつである。このストアーで売る製品は、男子の玩具売り場、女子の玩具売り場、男女区別のない玩具売り場、家族全員の製品の4つのカテゴリーに分類されている。ストアーの男子用の玩具売り場は、壁や通路がブルーのマークやペンキで色分けされている。スーパーヒロー、ロボット、兵士、建築用具セット、大工用具、車やトラック、スポーツ用具などすべて、青、緑、黒などの色で包装されている。反対に女子用の玩具売り場は、人形、メイクアップ、台所用品、ダイニング.セット、ミシン、掃除機、アイロン用具、手芸品など、ピンクで塗りつくされた通路や壁にピンクやパープルの包装の玩具が並べられている。男女を区別しない玩具は数少ないが自転車、スクーター、自動車、楽器、ゴルフなどの野外スポーツのおもちゃが並んでいる。家族用のコーナーも比較的製品は少なく、男女が共に遊ぶボード.ゲームなどが売られている。

注目すべき点は、男子用と女子用の玩具を比較するとわかるように、大工や建築用具、車、機械など外での肉体労働を伴う仕事は男性が行うべきであり、料理や選択など家内での仕事は女性が行うものと典型的な性別役割を強調していることである。また、色わけは男女を区別する最も重要な方法である。性別に関係のない製品でも、黒、紺、青、緑色は男子用、ピンク、明るい紫、明るい黄色は女子用として識別されている。

玩具を通してアメリカ社会を観察すると、いかに男女役割が重要であるかが理解できる。基本的に子供たちは玩具で遊びながら社会生活を学ぶのである。仮にこのような玩具が性と性別による典型的な役割を強化させる為のものであるなら、このような玩具を与えることによって、子供たちが現在及び将来どのように行動すべきかを教育しているのである。その結果、自分の子のおしめも変えられない、またシャツにアイロンさえかけられない男性、あるいは簡単な修理ができない、電球さえ取り替えられない女性が存在するということになる。

男女の区別を明白にしない音楽など、教育をベースにした玩具や、両方に人気のあるゴルフなどの玩具が出回るようになったことは多少、時代の変化を反映しているかもしれないが、玩具から学ぶ性別役割の本質はあまり時代とともに変化することはなく、むしろ、玩具の種類が増えたことによって性別役割が強調されているような印象さえある。

玩具は子供たちにとって自分の周りの世界を知ると同時に無意識に性別による社会性を学ぶ重要な教材である。トイザラスに子供を連れてくる親を注目すると、男子に人形を買い与える親はいない。このような事実を知れば、フェミニストが提唱した性別役割を無くするため実験的に行われている子供の中性教育を定着させるのはかなり難しいことがうなずける。ウイリアム少年のように人形をほしがる男子はほとんどいないというのが現実である。このことは、大々的な研究に基づいた多数の学術文献が明白にしている。大半の両親は伝統的な性別役割を認めており、特に男子に対しては、自分たちの子供が反性別的特性を持つような子には成長してほしくないと希望している。従って、男子に家事を訓練することは、従来男子の仕事を女子に訓練するより難しいと複数の専門家は述べている。

性別的社会性の評価として、玩具店は男子と女子は肉体的、精神的、及び社会的に違う機能を維持していることを学ぶ典型的な媒体であると言える。トイザラスは単に、玩具を売るだけではなく、大きな絵や写真を使いこの点を強調する。白人の女子が台所で料理し男子は食べている絵が展示されていた。女子玩具売り場では、女性の責任は家事であり、男子の玩具売り場では、男性の筋骨を誇張する典型的な性別役割分担の概念が生き生きと存在している。

このようなテーマを題材にした研究論文を読むとテレビや音楽ビデオの世界でも、男女間の性差別を浮き彫りにしている。イリノイ州立大学の教授、ジャック. グラスコックは、ゴールデンアワーに放送されるテレビ番組における男女の性別役割の特徴は、女性の社会進出に伴い1970年以降変化しつつあるが、家庭における男女の役割の違い、肉体的特徴の違い、男女特有の行動の違い、及び性別的不平等感など多岐にわたり、いまだにその著しい違いを強調していると述べている。この記事の内容でもっとも驚いた一面は、コメディで主役を演じる女性は大抵言葉が攻撃的で辛らつである役柄が多く、男性は肉体的に攻撃的な役柄が多いという。テレビでみる女性の社会的地位は、秘書、教師、看護婦、ウエイトレスであるのに対し、男性は弁護士、経営者、医者、及び専門家であるとグラスコックは述べている。男女間の社会的地位はいつも男性が重要な位置にあり、女性は補佐的な立場を描写している。おそらく、テレビの世界はアメリカの現実を反映しているのではないだろうか。テレビの世界における男女間の職業のギャップは1970年以降、徐々に減少してきているとグラスコックは述べているが、テレビ番組で演じる男性は常に計画をたて、命令を出すリーダーとして描写されている。一方、女性は他人を思いやる愛情面に最も関心を寄せるなどの感性の違いを指摘している。女性の攻撃的な側面ときめ細かな繊細さとを合わせ持つダイナミックな役柄がテレビ視聴者の関心を引くと専門家は述べている。

多様な人種で構成されているアメリカ社会であるが、気になる点はテレビの世界の人種偏差である。グラスコックによると、最近の報告では女性の主役を演じるのは85%がヨーロッパ系のアメリカ人、つまり圧倒的に白人であり、9%がアフリカ系アメリカ人、3.1%がヒスパニック系であり、ゴールデンアワーに放送されるテレビ番組に登場する女性の少数民族派はかなり少ないことを示唆している。また、テレビで描写する問題のひとつに男女の肉体的違いを強調する点がある。若い女性はセクシーでほとんどが赤系又はブロンド系の長い髪を保持し、彼女らは典型的な女性らしさを描写している。年齢の範囲は、女性俳優の場合18歳から34歳までが最も多く、男性の俳優は30年前より若くなっている傾向があり、19歳から34歳くらいまでが良くスポットを浴びている。(続)

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