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若者の間で人気のあるミュージック.ビデオも性別と暴力を売り物にしている。このようなビデオ製品が十代の若者の行動、性別、及び性行為に及ぼすマイナス面の要素はあまり問題にされていない。ユーチュ-ブでも鑑賞できるドリームワールド3は現在の顕著な文化として、露骨に女性の肉体を大衆にさらし、一方男性の攻撃的なたくましさを強調している。このようなビデオが若者の実生活に影響を及ぼすと考える学者も少なくない。マイケル.リッチはミュージック.ビデオで描写されている暴力の80%は攻撃的な性格のモデルで魅了する役目を演じ、56.6%の放送音楽ビデオは暴力を描いた内容になっていると述べている。

また、学者等はミュージック. ビデオや映画など主なメディアは若い男女に彼らの容姿や行動がどのようなものでなくてならないかを観念づける可能性は著しく高い為、このようなメディアが若者に与える影響を過小評価できない。又、明らかに型にはまった性別役割の観念を植え付ける可能性があると分析している。

一部の学者はミュージック.ビデオが男性の攻撃性を誘発し、女性の肉体を性的に侮辱する道具になっていると懸念する。ドリームワールド3は実際に2000年6月11日にニューヨークのセントラル.パークで50以上の女性が性的な嫌がらせを受けた事件を描写している。驚くことに、5人に1人の女子大生はレイプ被害の経験があるか、又はレイプされる危険に遭遇した経験がある。アメリカでは性的暴行は2分毎に発生すると報告されているが、性的暴行とこのような質のミュージック.ビデオを頻繁に見ることの直接的関連性は明白にされていない。

しかし、マイケル.リッチは、若者がいつもこのようなビデオばかり見ていると非人間的になり、被害者の苦しみにも無感覚になるのではないだろうかと述べている。 若者は、自己の人間としての価値や行動の基準を無意識に定める過程において、このような攻撃的なミュージック.ビデオも含めて、日常目にするものや彼らをとりまく環境にある程度影響を受ける可能性があるかもしれない。

インターネットが広範に利用されるようになった今日、ニュースをネットで読む人が増えているが、主なニュース.メディアであるCNN、 Foxニュース、ニューヨーク.タイムスを対象に、約170件近いニュース記事を分析した学者は、メディアの世界もそのニュースの伝え方に性差別の風潮があることを明らかにしている。学術誌コミュニケーションにおける女性の研究は、男性に関するニュースの方が女性に関するニュースより多く取り扱われ、社会の動きは男性を基準にし、男性の社会における影響力は女性より大きいことを印象づけることがニュース.メディアの風潮であると指摘している。

例えば、政治に関するニュースの場合、女性が政治に関与する歴史はまだ浅いため、女性候補者の個人的情報は多いが、政策に関する情報は男性に比較して少ない。また、ジャーナリストが女性の候補者について伝える際、使用する用語には偏見があるという。男性の政治家について報道する場合と比較して、女性の政治家について報道する場合には否定的で感情的な動詞が多く使われる傾向があると述べている。例えば、ヒラリー.クリントンが2000年に上院議員の選挙戦に出馬した際のマスコミの報道は彼女の男性対抗者、元ニューヨーク市長ルディ.ジュリアニの選挙戦の報道に比較して、著しい違いがあることが本誌に明記されている。特に、それぞれの候補者について述べた否定的声明文の合計数はおおまかに同等でありながら、ジュリアニ候補について集中した最も共通の否定的記述文は、ほぼ行政的な問題と選挙運動に集中していたが、クリントンについての最も共通の否定的記載内容は、個人攻撃的で彼女の選挙戦出馬そのものを妨害する報道に集中していたと述べている。

政治家に限らず、有名人に関しても、特にスキンダルで注目を浴びた女性に対しては、マスコミはいろんな皮肉に満ちた形容詞を用いて報道する場合もある。例えば、2003年6月に証券取引法違反及び司法妨害の罪で起訴されたマーサ.ステュワートはマスコミに頻繁にディバ(diva)、プリンセス(princess)又はザリーナ(czarina)の描写的表現で言及されている。ちなみにディバは芸の世界で非常に秀でた達人を意味し、ザリーナは外来女性の独裁的支配者を意味する。このような皮肉の背景には女性成功者の失敗に対する歓喜も含めて、伝統的な生き方に反したステュワートに対するマスコミの反抗ではないかと本誌は述べている。

1990年代からステュワートのように伝統的な性別役割の枠にはまらず、様々な方面で活躍し経済的に自立している女性や、従来男性の職業とされていた分野に進出する女性の数は急速に伸びた。一方、従来、看護婦など女性の職業とされていた分野へ男性が参入する率も増えている。しかし、マイアミ大学の教授及び作家であるクリスティン.ウイリアムズによると、従来男性の仕事とされていた非伝統的な職業に就く女性は差別を受ける場合が多いが、小学校の先生、図書士、看護婦など従来女性の仕事とされていた非伝統的な職業に就く男性は、むしろ待遇が良いという。ウイリアムズはこれをグラス.エスカレーターと呼んでいる。経営者が男性の場合、部下は同じく男性の方が社交的に気楽なため、男性の方が昇進しやすい。また、男性は特別な特性と能力を強調される。例えば、肉体的に女性より頑丈なので重いものを動かしたり運んだりするのに役立つ。また、多くの女性は同姓より男性の上司の方を好む傾向があるなど、男性が優位に扱われる理由を説明している。

アメリカも日本や他の国と同じように、男性は強く勇敢で確信的、独立精神旺盛で野望的、しかも論理的で合理的であるが、女性は繊細で愛情豊か、また注意深く、倹約的で辛抱強く、論理的であるより感情的であると歴史的に信じられてきた。このような性質の違いが労働上の役割分担を生じた結果となり性別役割が伝統的に根付いている要因である。

先進国アメリカでも未だに職場において賃金や待遇の面で不公平があり、社会的に女性はセカンド.クラスとして処遇される事実がある。特に、エンターティメントやメディアの世界における性差別は、深刻なアメリカの社会問題として浮き彫りになっている。性別役割に挑戦する構えを見せる教育者や中性的養育法を提案するフェミニストが出現するのも不思議ではない。

 

 

参考文献

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Christine L. Williams. “The Glass Escalator: Hidden Advantages for Men in the Female” Society for the Study of Social Problems. 1992.

Cindy Burke, Sharon R. Mazzarella. “A Slightly New Shade of Lipstick: Gendered Mediation in Internet News Stories”. Women’s Studies in Communication. Fall 2008. Vol. 31.

Jack Glascock. “Gender roles on prime-time network television: demographics and behaviors”. Journal of Broadcasting & Electronic Media.    

Judith E. Owen Blakemore, Craig A. Hill. “The Child Gender Socialization Scale: A Measure to Compare Traditional and Feminist Parents”. Springer Science. December, 2007

Michael Rich, Elizabeth R. Woods, Elizabeth Goodman, Jean Emans, Robert H. DuRant.Aggressors or Victims: Gender and Race in Music Video Violence”. PEDIATRICS Vol. 101 No. 4. April 1998.

Monique L.Ward, Edwina Hansbrough, Eboni Walker. “Contributions of Music Video Exposure to Black Adolescent’s Gender and Sexual Schemas”. Journal of Adolescent Research, Vol. 20 No. 2, Sage Publications March, 2005.

 

 

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