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上院議会は21日、オバマ大統領の優先課題である環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する貿易促進権限(TPA)法案に手続き投票を行い圧倒的な票差で通過した。論争的なこの法案の最終的な成立までは様々な障壁が予測されるが、この通過は何を意味しているのか? また、一般的な米国市民および大多数の民主党議員はTPPを支持していないと言われているが、その理由は何か?

21日に2回目の手続き投票が行なわれたTPA法案はTPPに直接関連性がある。投票に際して、上院議会では今週数回フィリバスター(議事妨害)があった為、通過は非常に困難な状況である。今回、投票前に10人以上の両党の代表者は交渉を行い、午前中に手続き投票を実施した。62対38票で通過した法案は米国、日本、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、シンガポールなど12カ国が参加するTPPに関するTPAを成立させるための段階的な処置である。賛成票に投じた共和党は49人、民主党は13人である。オバマ氏が長い間押し進めてきた経済課題であるTPPに関する最終的な投票の準備が整ったことは、国際貿易に関して交渉する大統領の権限を促進することを意味する。

しかし、このTPA法案は幾つかの改革や修正を行なう為、今後一連の投票が行なわれる予定である。例えば、1930年代に連邦政府が設立した米国輸出入銀行(EIB)は、製品を輸出入する企業に融資することで援助している為、2006年から5年毎の認可に基づいて権限が与えられている。しかし、今年6月末には期限が切れる為、議会の行動なしには無効になる。従って、その認可を延長するための投票が必要である。

TPPの支持者は保守派に多いが、リベラル派にはさほど人気がないことがこのTPA法案の最終投票が遅れている要因である。下院議会では特に大多数の民主党がオバマ氏の意向に反しTPPに反対している為、最終的に通過する可能性があるかどうかは不明である。特に、ハーバード大学法学部の元教授で民主党上院議員であるエリザベス.ウォーレンは、国際市場において取引企業が彼等の製品の輸出価格を安くする為、為替レートを意図的に操作する事や規制に挑戦する事は参加国の投資に悪影響があるとの懸念を表明し、これらの行為を阻止する為の改正を提案している。しかし、上院多数派リーダーのミッチ.マコーネルはなるべく改正条項を加えない事を希望している。

この貿易法案に対する一般的な米国市民が抱くイメージは、1990年代初期、ビル.クリントン政権下で、ナフタと呼ばれる一連の北米自由貿易協定(NAFTA)が推進された結果、仕事は海外にアウトソーシングされ、賃金が低迷した経済状況とオーバラップすることである。従って、一般の労働者には利点が少ないが、主に企業を潤すのがTPPの二次的結果であるとの推測もある。また、大多数の民主党はTPPを支持していない。労働者を保護する米国労働総同盟.産業別組合会議(AFL-CIO)の報道官は、この投票に賛成票を投じた13人の民主党上院議員を批判し、下院議会では通過しないだろうと予測した。EIBはビジネス利益が優先される傾向がある大企業をバックアップするシステムであるとの意見もあり、EIBの認可を延長するための投票に反対している議員も少なくない。

要するに、21日に上院で通過した手続き投票は、これまでの論争的な討議を終え、TPA法案の本格的な投票をする為の処置である。過去に数回投票を行なう努力をしたが、いずれもフィリバスターに直面した。大統領として最後の任期を迎えたオバマ氏にとってTPPは重要な課題である為、多数の民主党と数回協議を行なったと言われている。従って、両院で最終的な投票が成立した場合、オバマ氏の勝利である。上院では来週あたり早急にTPA法案の最終投票を行い、6月上旬までには EIBの認可更新、および一連の改正に関する法案の投票を行なう予定であるが、下院議会での具体的なスケジュールは不明である。

 

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