アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

米国最高裁は EPAが規定する空気清浄化基準に関する判例の他に、昨日2つの論争的な裁判にも関与した。ひとつはテキサス州の中絶に関する法律を一時的に保留することで、同州の中絶クリニックが開業を維持できるよう対処した。また、オクラホマ州の死刑執行方法に関する裁判で、死刑はまだ合憲であるという観点から、論争的な注射液の使用を認可する判定を下した。これら二つの判例はなぜ論争的なのか?

最高裁は29日、5対4でテキサス州の中絶を制限する法律の施行を一時的にブロックした。同州で2013年に制定されたこの法律は、中絶施設を手術センターとして建設することを要求し、中絶クリニックの医師は、中絶のため地元の病院に入院する患者を認可することを要求している。2012年には同州で40以上存在した中絶クリニックは、この法律の制定後閉鎖に追い込まれ、現在半分以上減少したと言われている。これに加えて、女性医療グループは公衆衛生の利点が全くなく、中絶を希望する女性は不法および無免許の施設で中絶を受ける事を余儀なくされている為、著しい負担があるとの苦情を訴えた。また、テキサス州の新しい法律は7月1日に有効化するため、法律の施行を阻止しない場合、現在存在している18のクリニックは更に減少すると主張した。従って、中絶クリニックの閉鎖を目的として制定されたこの法律の施行を阻止するよう最高裁に要請した。

最高裁はこの要請に応じて、この法律を一時的に保留することで(1)救済を求めた女性医療グループがこの判例の聴聞会を秋から年末までに実施するよう公式に請願するまで、この法律に妨害されることなく、同州の中絶クリニックが開業できるよう対処した。(2)最高裁の決定は、第5巡回米国控訴裁判所が中絶に関するテキサス州の新たな法律を支持した為、その裁判所の判定を聴聞するかどうかを決定するまでの緊急措置である。(3)女性医療グループを援助することを決定した5人の判事は、4人のリベラル派の判事に加えて、穏健派のアンソニー.ケネディが参加した。

Glossip v. Grossの裁判で最高裁は29日、オクラホマ州の死刑方法を合憲であると判定した。3人の受刑囚を代表する原告側はミダゾラム( Midazolam)と呼ばれる麻酔導入剤の使用によるインジェクションは手術の際に必要な意識喪失状態に達しなかったと証言し、ミダゾラムの利用は「残酷で異常な処刑であり、米国憲法修正第八条に違反する」と主張した。5対4の意見対立があったこの判定において、多数派の判事は承知されている他の薬剤に比較してミダゾラム は「残酷で異常」であることを証明しなかったと主張し、オクラホマ州のミダゾラムを利用した死刑方法は合憲であると判定した。

多数派意見を代表したサミュエル.アリートは「我々の決定は死刑が合憲であるとの認識に基づき確定するものであり、それを執行する憲法的手段が存在するはずであるとの必要性に従っている。また、幾つかの痛みのリスクは全ての死刑方法に内在している為、我々は、憲法は全ての痛みのリスクを避けることを要求していないと信じる。結局、ほとんどの人間は痛みのない死を希望するが、多くの人々にはそのような幸運はない。憲法修正第八条が痛みの全てのリスクを本質的に排除する要求を保持していることは効果的に死刑を禁止することになるだろう」と述べている。一方、反対意見を代表したスティーブン.ブライヤーはルース.ギングズバーグおよび他のリベラル派の女性判事に参加し、「死刑および死刑それ事態が残酷」であるとし、死刑は憲法修正第八条に違反している可能性がかなり高い」と述べた。また、ミダゾラム.インジェクションは「残酷で異常な処刑である」と批判した。

29日に最高裁が対処した上記2つの判例はいずれも論争的である。テキサスは女性の中絶に圧力をかけることで有名な州である。2013年、女性議員ウェンディ.デイヴィスはテキサス州の女性の権利を守るため、妊娠20週後の中絶を禁止する上院法案の投票で13時間のフィリバスター(議事妨害)を実施し、一時的に法案の通過を阻止した。この法律の規定の一部は妊娠20週後の中絶を禁止し、流産を誘発する薬剤の使用を制限する結果になっている。昨日最高裁が介入していなかった場合、第5巡回米国控訴裁判所はテキサスの法律を支持したため18カ所のクリニックは建物や運用基準を満たす必要があるため強制的に閉鎖されることになる。コストおよび面倒な手続きなど、非常に負担がかかるこの法律は中絶クリニックを廃業させることが狙いであると批判されている。

昨年4月29日、最新の致死注射であるミダゾラムを含む複数の薬物を利用した死刑執行で、即時に意識を失わず 50分以上苦しんだクレイトン.ロケットのニュースが報道された為、この特殊なインジェクションを利用した死刑方法は論争的な問題として、改めて死刑そのものを見直す機会を与えた。 この死刑方法は、オクラホマを含めて非常に限られた州で利用されている。死刑を執行している同州は、幾つかの痛みや苦しみの少ない死刑方法がある事が科学的に証明されているにも関わらず、約1年前ロケットに対して、あえて残酷な死刑方法を選択したと指摘されている。ニューヨーク.タイムス によると、この判例の反対派判事の一人であるソニア.ソトマイヨァは、ミダゾラムは「新しいテストされていない薬」であり、「請願書は、オクラホマ州の現在の議定書は、その化学品で生きたまま焼かれることに等しい 野蛮な死刑方法であると主張している」とし、「残酷で異常であった可能性が高い」と述べている。死刑反対の活動家は死刑執行に利用されるこの薬品の供給を拒否するよう薬品会社に圧力をかけている。

現在、全米で死刑執行はかなり減少している風潮である為、オクラホマの死刑方法は非人道的であるとして論争的である。これに伴い、国民の死刑支持率も減少している。4 月16日に公表されたピュー.リサーチ.センターの世論調査に寄ると、米国民の死刑支持率は過去40年間でかなり減少した。1980年および1990年代は70%台であり、1995年には78%が死刑を支持していた。更に、2011年に62%だった支持率は 2015年には6%ポイント減少し56%に低下した。今後益々死刑を支持する国民は減少すると予測されている。

 

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。