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警察による横暴な事件のニュースが多い昨今、珍しく、優しい警察官による人道的で心温まる話題が報道されている。その警察官はカンザス州で6人の幼い子供を抱えたホームレスの女性がウォルマートで子供のために盗んだ製品の代金を支払い、彼女を刑務所に送ることを避けた。地域社会の人達はこの警察官に触発され、このホームレスに幾らかの寄付金を提供した。この女性は警察官に対する恩義の言葉を感動的に語った。一見当たり前に思える一個人の善意の行為が広く話題になる根本的な要因は一体何なのか?

11日のワシントン.ポスト(W.P)によると、カンザス州のジョンソン郡ローランド.パークにあるウォルマートでホームレスの女性による盗みが発覚した。現場に派遣された地元の警察官マーク.エングラバールは、手錠をかける代わりに会話を始めた。その女性の名はサラ.ロビンソンで13歳のソフィア、12歳のアンジェリナ、5歳のエミリ、4歳のミレイ、双子の幼児の合計6人を抱える母親である。ロビンソンはおむつ、子供達の靴および衣類の何品かを盗み、店内のセキュリティ役員に逮捕された。彼女は2011年に夫が溺死して以来、ホームレスになり、車の中で暮らしていたが、その車も最近盗難に遭遇し、生活に困窮していた。彼女は追いつめられたあげく、子供達を連れてウォルマートに向かった。その警察官は、駐車場に集まって泣いていた子供達の幾人かは素足で、足が汚れていることに気付いた。エングラバールは店内に戻ると、その家族の為にロビンソンが盗もうとした製品を全て購入し、自分の財布から300ドルを支払い、彼女が苦境に直面していた事は明らかであると語った。

ロビンソンは7月6日、ローランド.パークのウォルマートに行った時、彼女は2歳の双子のおむつを切らしていた。彼女は「おむつを使う代わりに子供用便器を使っていたが、子供を入浴させる場所がありません。私は家と全ての所有物を失い、仕事もありません。だから、ウォルマートに行って、洋服、靴、おしめ、ウェット.ペーパーを掴み、ストアを出ようとしましたが、彼等は私を捕らえました。私は落胆しました。何を言うべきか何をすべきかわかりませんでした。恐ろしい事でした。私は刑務所に行くと思っていました」とABCニュースに語った。

By Washington Post

エングラバールは軽犯罪の盗難を明記し、ロビンソンを解放した後、彼女の子供達と店内に戻り、おむつ、赤子用のウェット.ペーパー、および子供服を購入し、女の子供達に好みの靴を選ぶよう指示した。ローランド.パーク広報官のジョン.デモスは「彼女が盗んだおむつ、子供靴、幾つかの服は必需品でした。彼は、彼女にどのような状況であったかを尋ねました。彼女は泣き崩れていました」とABCニュースに語った。また、デモスは「その警察官自身も二人の子供がいます。彼は自分の二人の子供の事を思っていました。彼は、それが正しい行いだと思いました」と述べた。ロビンソンは「彼は私の子供達にこれ以上の事はできないほど良くしてくれました。次の日、私は彼が私達を更に助けたい、私たちが住む場所を得るため援助したいと伝える電話を受けました」と語った。

ABCによると、その後地域社会からロビンソンの家族を援助したいとの申し出が多数あった。広報官のデモスは、どのように役立つかを尋ねるための電話や訪問客が警察署に殺到したと述べたという。警察署が地元の銀行に口座を開設するまで、ロビンソンに代わって寄付を受け付けており、翌日には人々が署に届け、またその家族の為に寄付金を持参する人々のイベントを開催するという。ロビンソンは「私はとても感謝しています。 盗んだことが恥ずかしいです。女の子供達にふさわしい事ではありませんでした」と述べ、日曜日まで滞在する場所はあるが、その後新しい家を見つける必要があると語ったという。ロビンソンは「私はバイリンガルです。私は、英語とスペイン語を話し、コンピュータが得意です。私は私の子供達のための場所がほしいだけです」と述べた。デモスは、地域社会がエングラバールを援助することも申し出ていると述べているが、エングラバールは、自分の事より人々がロビンソンに、または正当な理由のために寄付するよう要請した。ロビンソンは「彼に感謝する十分な言葉は世の中にありません。私と私の女の子供達は永遠に彼に恩義を受けています」と語った。

W.Pによると、カンザス州地元紙のカンザス.シティ.スターは、警察官のエングラバールが今年初め、窒息した乳児の命を救った後に受賞した事を報じた。警察署長ジョン·モリスは「彼は情け深い心を持つ本当に良い男です」と同紙に語った。しかし、エングラバールは「私は考え直すこともありませんでした。ただ、側にいた子供たちに正しいことをしたかっただけです」と同紙に語った。モリスは、先週地元のラジオ局はそのロビンソン家族のために6,000ドルの寄付金を集めたと伝えた。落ち着く家を見つけ、安定した仕事を見つけるまで何らかの資金にはなるが、現実的には6,000ドルの寄付金でロビンソンがまともな屋根の下で、6人の子供を長期的に育てていくことは不可能である。お金を含む物質の提供は一時的な援助に過ぎないが、エングラバールも言っているように、単に正しいことをしただけの善意の行為がどうして劇的に報じられるのか?一般のアメリカ人は、ロビンソンのような家族に本質的に無関心だからなのか?

米国やイギリスなどの資本主義経済社会は、失業保険やユニバーサル.ヘルスケアを含む社会福祉を充分提供している他の先進国に比較して、貧困者やホームレスの数は圧倒的に多い傾向がある。どの国でもこのような人達に対する一般社会の見方には相違があるものの、ホームレスや貧困者が多い国ほど、大多数の人々は無気力になり、貧困は個人の責任であると信じる傾向があると指摘している学者もいる。従って、ホームレスや貧困者の多い国ほど、個人が援助できる能力には限界があるため、積極的に援助する為にはかなりの資金力と情熱を要する。ケンブリッジ大学の社会学者トーマス.マーシャルは、現代の福祉国家は民主主義、福祉、および資本主義のバランスを良く備えている特徴があると述べている。そのような先進国はスエーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランド、フィンランドなどが挙げられる。エングラバールの人間的で親切な行為は地域社会も触発し、感動的な話題に発展している。その一因を逆説的に考えると、米国がこのような北欧諸国と異なり、貧困者やホームレスを生みやすい政治的構造があるからである。その典型的な一例は、時代遅れになった連邦政府の最低賃金の引き上げさえ反対している保守派議員があまりにも多すぎることである。

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