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移民法の論議が目立っている最近、米国最大の農産物生産を誇るカリフォルニア(CA)州は、緊迫した事情がある為、米国議会による包括的な移民法の制定をこれ以上待てないと主張している。従って、米国に不法滞在している移民に農業での労働許可を与える法案を提起したが、その法案は一時的に労働許可を与える現存の連邦法とは異なっている。この法案に対する関係者の反響および制定の見通しはどうなのか? 近年、農作物の国内生産性が著しく減少し、外国生産の農作物が圧倒的に増加したことが報告されているが、その原因は何か? それが移民改正法の失敗とどのような関連性があるのか?

12日のロスアンゼルス.タイムスによると、米国に不法滞在している移民に農業分野での労働許可を与える計画は、3年前に提起されたが、移民権利グループ及び州の強力な組合は連邦政府の包括的な移民法がもっと安定しているとして、制定を待つよう要請し、州独自に制定することを反対した。しかし、2013年米国下院議会は崩壊した移民法に取り組むことを放棄したため、 同州の法案を起草した民主党州議員ルイス·アレホは、3年待ったが「これ以上待てない」と述べた。現在、同州では農業労働者が不足しているため、法案は同州の農家に支持されていて、6月に州議会に回覧され、現在「今後の見通し不明な上院で保留されている」状況である。

アレホの法案は、ジョージW.ブッシュ政権下で制定された期限付きの契約制による「ゲスト労働者プログラム」とは幾分異なっている。その要点は(1)提案されたプログラムの権限を米国国土安全保障省と米国司法省から求めるグループを設定する。(2)ブッシュ政権下では一時的及び季節的な外国人労働者の為に新たなビザ(H-2A)を発行していたが、この法案はその煩雑性を削減し、無許可で農業に従事している不法滞在者に労働許可を与える。(3)労働者および親族メンバー(認定機関に在籍している配偶者と18歳以下の子供) は国外追放の脅威に晒されることなくCA州に滞在することが可能である。(4)労働者は少なくとも18歳以上で、州の農業労働最小時間の規定に従い、管理コストを補うための手数料を支払う必要がある。(5)重罪及び3つ以上の軽罪歴がある個人には適用されない。

CA州が連邦議会の移民改正の取り組みをこれ以上待てない理由は(1)特定の米国議会メンバーは50州がそれぞれ異なる移民法制定を許可することに躊躇している。(2)米国議会に解決方法がなければ、州が独自に制定することを阻止する理由もない。(3)総体的に米国生まれの米国市民は農業に従事する意志がない為、事実上農業労働者が不足している為、不法移民に依存する以外に選択肢がない。(4)同州には、労働が緊急に必要な不法移民が大勢いるが、彼らには安全性の脅威はない。

しかし、この法案に反対している州議員は(1)移民法は連邦議会の政策であると主張している。(2)現存の政策が労働の必要性に適合していると述べている。(3)大企業はH-2Aビザの発行を面倒だとは思わないので、利用するべきであるとして、ブッシュ政権下の「ゲスト労働者プログラム」を支持している。これらの反対意見はこの法案が通過するかどうか不明な要因であるが、2012年に最初法案が提起された時、反対していた組合および移民権組織は、今回ほとんど反対しておらず現在無言であるか、または支持を表明するグループもある。数百のレタス業界を含む4,500人の農場労働者を代表する米国食品商業労働者は前回論議に関与しなかったが、今回法案を支持する手紙を最近アレホに送った。このような反響に加えて、一部の卓越した専門家はCA州の法案が通過した場合、提案されているプログラムは認可されると予測している。

CA州で農業労働者が不足している深刻な状況は既に1年以上前から判明している。同州は全米で最も不法移民の数が多い州であり、一部の地域では50%の農業労働者は不法移民である。2014年3月29日のニューヨーク.タイムスによると、カリフォルニア大学デービス校の農業経済学者は、CA州には全米で最も多い推定250万人の不法移民が滞在していて、同州のセントラル.バレーでは農業労働者のほぼ全員は移民であり、そのうち約50%は不法滞在者であると推定している。しかし、多数の農家および農業経営者は、不法労働者を使う現在のシステムを維持できない状況であると述べている。その理由は(1)1990年代に到着した労働力は高齢化している為、重労働に適合しなくなり、(2)国境でのセキュリティ強化は新たな移民の到着を阻害し、麻痺した移民政策で苦労させられている。更に(3)移民改正法を熱心に支持する地域はCA州の他には存在しないことなどを挙げている。

不法移民に合法的地位を与え、究極的には市民権の道を開く2013年の包括的な移民改正法を議会が制定しなかった結果、様々な問題が発生している。数年間農業労働者の給与を記録しているCA大学デービス校によると、昨年労働者の供給が減少した為、農業経営者は労働不足の懸念が高まり、同地域では平均時給を約1ドル上昇した。従って、農業所有者は安定した労働供給を得るため農業ビザの取得を要請していた。米国議会にロービー活動を実施している複数のグループは(1)1990年代後期以来、米国で消費されている外国生産による農産物は80%上昇し、(2)新鮮な果物などの需要は上昇しているが、農業労働人口が不足している為、国内生産はそのペースに追いつかない状態であり、(3)昨年の報告書は農家の収入が年間14億ドル減少したことを明白にした。従って、農業の労働者不足は農家にとって(4)生産性を上げることが著しく不可能な状態になっていることを指摘した。

CA州は全米のアメリカ人が消費する70%から95%の野菜、果物、ナッツ類を生産している。農産物の生産性の低下は旱魃の影響も一部あるが、その主な原因は労働力不足である。労働力減少の一因は効率性の高い機械の導入も一因であるが、長年不法移民が農業に従事していた構造が様々な要因で変化している。近年強制送還の脅しや国境での不法入国者の逮捕などの強化に伴い「最も価値のある労働者」と言われている圧倒的に農業に従事する不法移民の数は著しく減少したことなどが要因である。ドナルド.トランプは米国には犯罪者ばかり入国すると主張し、キャンペーンの戦略として不法移民に敵対するスタンスをアピールしている。しかしCA州の農業地域では歴史的に不法移民が貢献している為、農業関係者は、彼等の存在が農業経済を支援してきた為、安全性の脅しはほとんど皆無であると述べ、むしろ移民改正法に取り組まなかった結果、米国の農業が損失を受けていることを指摘している。

 

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