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ロナルド.レーガンは1966年のカリフォルニア州知事選のキャンペーン中、共和党は他の「共和党の悪口を言うことなかれ」と述べた。旧約聖書には十戒と言う戒律があるが、これは11戒と呼ばれ、頻繁に引用されるようになった。共和党は決して他の共和党メンバーを批判してはならないとする戒律を敬い、特に主流派の共和党には暗黙の了解がある。そのような共和党の風潮には全くおかまいなしのドナルド.トランプはベテラン上院議員を侮辱することでその掟を破っただけではなく、共和党を怒らせている。彼の支持率は上がっているが、ある新聞社は大統領候補者として不適格であるとして、厳しい表現でトランプにキャンペーンから引き下がるよう要請する社説を公開した。

トランプの大統領立候補宣言は不法移民に対する侮辱に始まり、彼はキャンペーン中、またはメディアのインタビュー中に、同じ党内の仲間さえ批判または侮辱する発言をしている為、党の恥であると批判されている。最近、選挙の敵ではないにも関わらず、2008年大統領選の共和党候補であったベテラン上院議員ジョン.マケインを侮辱する発言をしたため非難の嵐を浴びている。トランプは18日アイオワでの会合で、「ジョン.マケインは戦争ヒーローではない。彼は捕虜になったので戦争ヒーローだ。私は捕虜にならない人が好きだ」とコメントした。トランプは「戦争ヒーロー」として知られているマケインをからかったとして、多方面から多大な反響を呼び、特に多数の共和党が批判し、複数の共和党大統領候補者はトランプの発言に怒りを表明している。軍人全体を侮辱する表現であると反論している人達もいて、反響は想像以上である。ディリー.ショーのホストで政治風刺家のジョン.ステュワートは20日の番組で、敵に捕まるような兵士は戦争ヒーローではないとの皮肉が込められていると指摘した。

ニューヨークに本社を置くイラクとアフガニスタンの退役軍人組織の創業者で最高経営責任者であるポール.リッコフは20日、「多額のお金を寄付していない限り、ドナルド.トランプは退役軍人の社会貢献活動のリーダーではありません。私たちはニューヨークで融資を受けて設立されました。私は10年間ここにいます。二度とドナルド.トランプには会いたくありません」と怒りを表明した。マケインは20日保守派の番組モーニング.ジョーのインタビューで、トランプは貴方に「謝るべきですか」と聞かれ、「 自分たちの国に奉仕し、犠牲となり、戦争で捕虜の経験をした兵士およびその家族に対して、彼は謝罪する借りがあるかもしれません」と答えた。 マケインは軍人の自殺を予防するため「アメリカ退役軍人クレイ.ハント自殺予防法 」の制定に導いた主な提唱者である。オバマ大統領が2月12日に署名したこの法案は両院いずれも反対票ゼロ(下院: 403対0、上院: 99対0)で通過した稀な超党派の法案であり、如何に現役および退役軍人が重視されているかを示唆している。

マケインを擁護している複数の共和党候補者も「マケインは戦争ヒーローである」と述べ、トランプに反論している。現在トップの座を奪われたジェブ.ブッシュは、先週、アイオワ州のキャンペーンで不動産界の大御所が候補者になって党を分離するような「不和のレトリックは間違っている」と述べ、不法移民を犯罪者扱いしたトランプを批判し「共和党が人々の心に恐怖を与えて勝利することはない」と語った。また、20日にはツイッターに投稿し、「中傷攻撃はもう沢山である。上院議員ジョン.マケインおよび我々全ての退役軍人、特に捕虜は私たちの尊敬と賞賛を得ている」と書いている。また、包括的な移民改正法案の起草者の一人でもあり、マケインと親しい大統領候補者の一人であるリンジィ.グレイアムは21日CNNのインタビューでトランプに対する怒りを表明し 「ジョンについての発言は侮辱だと思います。彼は、我々が党と国の将来を真剣に議論する必要がある時、ジャックアス(バカな人)になっています。これは彼が一線を超え、これはドナルド·トランプの終わりの始まりです。私は本当に立腹しています」と語った。

しかし、特に主流派の共和党に敵対し、自分の信念を無遠慮に語るトランプは保守派のラジオ.トーク番組で話題になっている為、むしろ共和党有権者の支持率が上がっている。最近の複数の世論調査で20%以上を獲得し、ブッシュとの差が拡大している。多数の共和党主流派は共和党を極右に駆り立てるラジオ番組は問題であると指摘し、他の共和党候補者もトランプのコメントに反発を表明した。大統領候補者としてのトランプの発言は致命的な印象が強く、彼の政治生命は「終わりの始まりです」とコメントしたグレイアムの警告が正確であることを示唆する動きがある。

20日のフォックス11によると、アイオワ州の朝刊紙デモイン.レジスターの編集部は20日夜、マケインに対する「戦争ヒーロー」発言、および謝罪を拒否しているトランプの態度を批判し、彼に大統領選キャンペーンから引き下がる事を要請する社説を公開した。その記事は「公職に立候補した人は、選挙日に勝利するかどうかに関係なく、特に一般的に偉大な公共サービスを実行する。それは特に大統領候補者の場合事実である。彼等のほとんどは国に奉仕するための努力において、驚異的な個人および財務的な犠牲が伴う激戦キャンペーンに自分たちの生活の2年を捧げる必要がある 」と指摘した。また、「選出される見込みがあることと資格があることとは同じではない。トランプはオフィスを保持することに不適格なだけでなく、共和党の反対者と同じステージに立つことにも不適格であることを自ら証明している。ドナルド.トランプが彼の国に奉仕する最善の方法は(アリゾナ州上院議員ジョン)マケインに謝罪し、準備が不十分なこのキャンペーンを終えることである」と強烈な表現で批判した。

米国は軍隊および軍人を敬う社会である為、そのようなことにさえ分別と認識に欠ける人物は大統領には適さない。マケインはベトナム戦争で捕虜となり、拷問を受けた経験があるが、トランプは当時のドラフト制度による強制入隊から逃避した人物である。従って、トランプは公の場所でマケインに対して皮肉を言える立場ではない。デモイン.レジスターは、支持率より政治家としての適正が非常に重要であると指摘した。トランプは6月16日に立候補を公表して以来、他人の批判ばかりに集中し、真面目に国の将来についてどのような政策を掲げているのか語った事はない。大統領になることの責務の重さを本人が感じている印象はほとんど受けていない。メディアの抗議は強烈であるが、キャンペーンを辞退することはないと思われる。共和党に閉め出された場合、第三党で出馬する可能性があるかもしれない。

 

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