アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

過去に不法移民を追放したアラバマ州は、不法移民全員の強制送還を移民政策として紹介しているドナルド.トランプの移民政策を多かれ少なかれ支持している 。アラバマは2011年に不法移民に対する最も厳しい法律を制定した州である。これは恐らく、トランプが先週公表した不法移民の強制送還よりもっと残酷な法律かもしれない。不法移民の労働力を失った場合、どのような否定的結果が生じるかを実際に経験したのはアラバマ州である。

2011年6月9日、同州の知事ロバート.ベントレーはアラバマの納税者及び市民保護法と呼ぶHB56 法案に署名した。この法律は、不法移民に様々な制限を課すことで自発的な帰国を促すことを目的としていた。その法律は(1)不法移民が家の購入およびその他の契約を行使する事を禁止する(2)雇用主が不法移民を雇用することを禁止する(3)信号またはその他の交通で 運転者または歩行者の身元及び移民状況を調べる為、警察官が停止することを認可する(4)新入学生に対し、市民権があるかどうか法的状況について質問する権利を学校区教育関係者に認可した。この法律の制定後、ほとんどの不法移民はアラバマ州から姿を消した。ほぼ全ての不法移民は突然、州外に出たかまたは自発的にメキシコに帰国した為、一部の業者は多大な経済的損失を被った。その後、アラバマを去った不法移民はほとんど戻ってくることはなかったと言われている。これはビジネス経営者に多大な打撃を与えた。当時、アリゾナ、インディアナ、サウス.キャロライナ、ユタ州など、幾つかの州も類似の移民法を制定していたが、アラバマ州の不法移民に対する取り扱いは最も厳しいと言われている。

アラバマ州のアルバートビルでは、農業関連のビジネス、特に鶏処理工場はほとんど不法移民が従事していた。 屠殺した鶏を切ってパック詰めする仕事を引き受ける労働者は不法移民以外にいなかったからである。一般的に白人はきつい、汚い、危険3Kの仕事をやりたがらないと言われているが、この都市では、芝刈りや建物の外装壁のペイントなどの仕事に白人は従事せず、多数の黒人も募集しない為、そのような業界には圧倒的に不法移民が占拠していた。例え白人を採用しても長続きせず、すぐ仕事が出来る人は少ないため、新しい労働者を訓練するコスト、鶏加工会社の離職率は、この法律の制定後に極度に上昇した。また、灼熱下の畑で果物や野菜を摘んでいるのはほとんど不法移民であるが、大きな農家は新しい労働者を訓練するため多額の支出に直面した。また、 圧倒的にメキシコ系の移民が顧客であった個人ストアは極度に売り上げが減少した。アルバートビルのウェイン.ファーム.プラントの責任者は、この法律が制定された後、新たな労働者を訓練し、生産損失を補うため500万ドルを出費したという。ある労働者は、労働許可を保持した合法的労働者であったが、彼は不法移民の配偶者と離れることより、アラバマから移転することを選択した。ウェインの関係者は、「この法律はラテン系の全地域社会に萎縮効果」を与えたことを指摘した。

HB58法案制定後、法律の影響を直接受けた多数の経営者は、去った不法移民労働者の穴埋めをする充分な労働者を探すことが出来なかった。従って、アラバマ州の法律に対する訴訟を含む多数の法的チャレンジに直面した。つまり、不法移民を追い出す政策は機能しなかった為、2012年4月に改正版が紹介された。移民法は連邦政府の法律である為、州の法律が連邦政府の法律を超過するべきではない為、アラバマ州の法律はオバマ政権の司法省が改正を求めた。2012年8月20日、米国巡回控訴裁判所はHB56条項の一部を無効にした。

アラバマ州が自発的強制送還を促進する法案を制定した後、様々な問題が表面化した1年後の2012年 6月、オバマ大統領は、子供の頃不法移民の両親に連れてこられた数百万人の書類のない若い世代に滞在および労働許可を与える為、児童到着の遅延行動(DACA)と呼ぶ法律の大統領令に署名した。当時この大統領令はアラバマ州の議員達と直接衝突があったが、DACAに反対した最初の州はアリゾナである。その後、テキサスおよびネブラスカも反対を表明した。ミシガン州は運転免許証および州のI.Dカードを発行しないと公表した。現在、アラバマ州は、基本的に外国人を歓迎するが、労働許可を保持した人々だけであり、求職活動をしているアメリカ市民を優先的に雇用することをアピールしている。

アラバマ州は不法移民の自発的追放措置が機能しなかったことを経験した州であるが、最近、全ての不法移民の強制送還を主張しているトランプの移民政策を支持する州になっている。また、生得市民権を無効にすることを目指すトランプが大統領になった場合、不法移民の数は現在の2倍以上になる為、全不法移民を強制送還した場合、国民の税金負担は相当な金額になると予測されている。加えて、不法移民が引き受ける仕事の性質、アラバマ州の失敗の例などを考慮すると、主流派の共和党および民主党がトランプの移民政策は非現実的であると批判している根拠が明白である。

 

 

 

 

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。