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7日、ボストン労働評議会に参加したオバマ大統領

オバマ大統領は7日、ボストンで「労働者の日」のスピーチを披露し、病欠有給休暇に関する大統領令に署名することを発表した。その法律はどのような内容であり、どのような意義があるのだろうか? また、米国は幾つかの州で規定はあるものの、連邦政府の病欠有給休暇規定がない国である。従って、この大統領令は少なくとも他の最低限の基準を設定している100以上の先進国と肩を並べることが可能になる。EU諸国で最も病欠有給休暇日が多い国または少ない国はどこか?

オバマ氏が署名を公約している大統領令の要点は3つある。ホワイトハウスの報告によると、(1)約30万人の連邦政府請負業者を対象にしている。基本的には労働の30時間毎に1時間を休暇として取得する事で、年間7日間の有給休暇を得ることが可能になる。2017年から施行される対象労働者は、病気の本人または家族を世話するため病欠有給休暇を利用することが可能になる。また家庭内暴力、性的暴行、及びストーカーの被害により休暇を必要とする場合にも適用される。(2)2012年に下院議会で紹介され、今年1月オバマ氏が議会に制定を提案した「健康家族法」を再度促すことも大統領令署名の目的である。この行政行動は数百万人の労働者に同様の基本的な病欠有給休暇を与えるため、15人以上の従業員を雇用する全ての企業が年間7日間の有給休暇を労働者に提供することを再度要請するためである。更に(3)公平な報酬を受ける権利を強化するためである。現在40%の子供の主な稼ぎ手は母親であるが、同じ労働に対して女性の収入は78%であり、男性所帯の家族に比較すると所得が少ない状況である。従って、労働省は今週、補償を議論することを選択した従業員や求職者に対して、連邦請負業者による差別を禁止する為、最終規則を発行する予定である。

昨年11月、マサチューセッツ州の有権者は、国民投票で毎年40時間まで病欠有給休暇を認可し、今年7月に有効化した。新たな功績を誇る同州のボストンで7日に開催された ボストン労働評議会の朝食に参加し、労働組合関係者を含む750人以上の支持者にリラックスした雰囲気で「現在貴方の両親は、病気の子供と一緒に家に滞在するか、または収入を失うかどうかを選択しなくてはならない」と語り、現在の労働者の状況は厳しい事を強調した。オバマ氏は過去に数回、先進国で妊娠休暇や病欠で有給休暇がない国は米国だけであると繰り返し述べていた。規制緩和、富裕層(大企業)への減税を強調する一方で、最低賃金や有給休暇など、労働者の生活の向上に関する政策には反対している共和党に対して、「ただ、空を見上げて、ニューヨークの高層から何か繁栄の雨が降ってくるのを待つことだと考えているような経済は機能しません」と皮肉を込めたニュアンスで語った。

先進国の病欠有給休暇はどのような現状であるのか興味深い。2010年に公表されたWHOの最新報告書によると、欧州連合EUの15カ国で、2000年に病気および事故により、少なくとも1日の有給休暇があったことを報告した雇用主は14.5%であった。ギリシャは最も少なく、4.8日、次にオランダは5.5日であり、EUの中で最も有給休暇が多かった国はスロバキアで27.6日、次にスエーデンが22日であった。総体的に健康状況は類似しており、同等の社会的医療保険計画があるデンマークは8.3日、スエーデンが22日、フランスは8日、ドイツは16.5日と隣国間で著しい違いがある。これは出産および障害などを含む重複休暇の規制や、病欠による有給休暇そのものの規定などに著しい違いがあるためである。その他の国ではオーストリア12.6日、チェコ23.6日、フインランド8.5日、ハンガリー14.7日、ルクセンブルク10.5日、ポルトガル10.6日、イギリス7.8日、米国の雇用主が報告した日数は5日である。少なくとも世界140カ国以上は、長期または短期の病欠による有給休暇を提供し、約100カ国は最大1ヶ月 を保証している。約130カ国は年間で1週間以上の休暇を提供している。

現在、連邦政府には病欠有給休暇を規定する法律は存在しない為、オバマ氏の大統領令は、少なくとも130カ国に足並みを揃えることが可能な基準であることを示唆している。最低賃金および病欠の有給休暇を支持することで、労働者援助を強調する民主党の政策は2016年大統領選の民主党候補者に多大なプラスになると思われる。なぜなら、現在米国労働市場の約40%、または民間部門の約4,500万人の労働者は病欠の有給休暇がない状況であり、全国的に85%以上の国民が支持していると言われている。この大統領令の批判者は、請負業者に負担を欠けると批判しているが、オバマ政権は職場での病気に関連するコスト削減につながり、労働者の離職率も減少するため、経済的負担にはならないと主張している。共和党が支配する議会で、制定に至らなかった有給休暇および健康家族法などを推進することは、最後の任期期間に直面している大統領および大多数の労働者にとって画期的な行政行動である。

 

 

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