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東部時間午前10 時05分に始まった議会合同セッションで法王フランシスは、約70分間のスピーチを行い、世界的な社会および政治的不穏、米国の移民社会、難民の人道的危機、世界的な死刑廃止の傾向、貧困、環境破壊、良い政治的リーダー、致命的な武器販売について語った。これらの課題について、人間としての良識と判断を議会に求め、米国の議会は責任があり、それが出来ると鼓舞した。78歳の法王はスペイン語訛りの強い英語で、恐らくこれが初めての機会であったと思われる長い英語を一言一語全魂こめるように語った。度々エモーショナルな表情を見せた人物は下院議長のジョン.ベイナーである。

法王フランシスは、スピーチの冒頭に議会だけではなく、議会のメンバーを通して、米国全ての人に語りたいと述べた。また、この機会を利用し、より良い生活を構築するため、日々家族を養い、貯金し、努力している「何千人もの男女と対話したいと思います」と語った。また、 世界は「社会及び政治的に不穏」な時代であることを懸念していると語り、神と宗教の名の下でさえ暴力的紛争、憎悪と残忍な残虐行為が横行していると述べ「個々の妄想やイデオロギー的過激主義の形態から免れることが可能な宗教は存在しない」と述べ、宗教、イデオロギー、又は経済体制下ではびこる暴力に対抗する必要があり、「特にあらゆる種類の原理主義」に注意しなくてはならないと警告した。同時に「宗教の自由、知的自由、個人の自由を保護する」バランスが重要であり、単に善悪だけで判断する「単純な還元主義」からも保護しなくてはならないと述べた。

また、法王は「今世紀、将来の夢を築くため数千万の人々がこの地に移住した。この大陸の人々である我々は外国人を恐れていない、なぜなら我々のほとんどはむかし外国人だったからです」と述べ、「移民の子息として言いますが、貴方たちも移民の子孫です。不運にも、我々以前から長くここにいる人々は必ずしも尊敬されていません」と語った。そのような人々や彼等の国々に対して「アメリカの民主主義の中心部から、私の最高の尊敬と感謝を再確認したい」と述べ、米国は元来移民の国であることを強調した。

難民問題についても触れ、世界は第二次世界大戦以来の大規模な難民危機に直面していると述べ、愛する家族の為、より良好な人生の機会を求めている数千万の人々が移動していることについて語り、「自分の子供達に対して同じ事を望んでいるのではないか」と指摘した。また、難民救済の対応について、「常に公正で人道的な方法で対応するためには、友愛的であればいいのです」とし「貴方が他人に求めるように他人にも同じように扱いなさい」と指摘した。また、「同情と思いやりで扱ってほしいように他人にも同じように対処しましょう。我々が機会を求めるなら、他人にも同じ機会を提供しましょう。成長を援助してほしければ相手の向上も援助しましょう。自分がセキュリティを必要とするなら他人にもセキュリティを与えましょう。自分の命を尊厳するなら相手の命も尊厳しましょう」と語り、「黄金律は全ての発達の段階で人間の生命を保護し防衛する我々の責任を思い起こさせます」と語った。

法王は、この信念は早い時から様々なレベルで死刑の世界的廃止を提唱することに結びついたと語り、「すべての生命は神聖である」ため、すべての人間は奪うことが出来ない尊厳があり、社会は唯一の犯罪で有罪判決を受けた者にリハビリの機会を与えることでその恩恵を受けることができ、この方法が最善であると確信しています。最近、ここ米国では私の弟である司教は、死刑廃止のための要求を更新しました」と述べた。

また、世界のあらゆる所で極端な貧困から人々を引き上げてきたことについて触れ、「貴方達は私の信念を共有していると分かっていますが、まだまだやるべき事があります」と指摘し、「危機と経済的苦難の時代に世界的連帯の精神が失われてはなりません」と述べた。更に「同時に、貧困の悪循環に閉じ込められている私たちの周りのすべての人々を心の中に留めておくことを勧めます。彼らは希望を与えられる必要があり過ぎます。貧困と飢餓との闘いは絶えず、特にその原因に多くの面で戦わなければなりません。過去にそうであったように、今日多くのアメリカ人が問題に対処するため取り組んでいる事を知っています」と語った。

更に法王は環境問題を提起し、「私たちのステップを再指示し、人間の活動による環境悪化の最も深刻な影響を回避するため勇気と責任ある努力を要求します」と宣言した。また「変えることが出来ると確信しています。また、米国とこの議会は重要な役目があることに疑問はありません。『ケアの文化』を導入することを目指す勇気ある行動と戦略、および貧困と闘い、除外された人々の尊厳を回復し、同時に自然を保護するための統合的アプローチを取る時が来ています」と指摘し、気候変動への取り組みを強く要請した。米国の優れた学術研究機関が重要な貢献を可能にすると確信していると述べた。

スピーチの最後に、良い政治のリーダーについて語り、「良い指導者は開放性と実用主義の精神で瞬間を捕らえる開いた心で全てに関心を持つ人です。良い指導者はスペースを所持していることより、むしろプロセスを開始することを選択します」と述べた。最後に危険な武器の販売を禁止することを提唱し、「致命的な武器が個人や社会に計り知れない苦しみを与えることを計画する人に売られている理由は単にお金です。我々はすべて分かっているように多くの場合、罪のない者の血に降り注ぐお金の為です」と述べ、世界中の多くの武力紛争を終了するためにも、「この恥ずべき武器貿易を停止する義務」があると語った。

法王が移民の話題に触れた時、昨日のパレード中のエピソードを思い起こした。突然車道に顕われた6~7歳の赤いドレスを着た女子をシークレット.サービスが止めようとしたが、法王は彼女が彼に近づくことを許可したため、護衛の一人はその女子を抱きかかえて法王に会わせた。彼女は法王に抱きつき、法王はやさしく抱擁した。車道に下ろされた彼女は慌てて、プレゼントと思われる黄色の衣類と白の封筒を法王に手渡した後にその場を去った。メディアに注目された彼女は、その後のインタビューで、親が強制送還される運命に脅えている不法移民の子供であることが判明した。法王は、その女子が渡した手紙に何が書かれていたかを語ることはなかったが、法王の思いは移民の子孫であることを強調した彼のスピーチが示唆している。

下院議長ベイナーは敬虔なカトリック信者であると言われている。過去数十年間で3人の、ローマ法王を議会に招待したが、初めてその招待を受理した教皇はフランシス法王であった。スピーチの前にも個人的に会い、常に法王の片側に居たベイナーは数回ハンカチで涙を押さえるなど、彼にとって最も感動的な日になった。議事堂の西側庭に入場を許可された50,000人はスピーチ後、リンカーン.メモリアルが正面に見える角度のバルコニーから法王の挨拶を受けた。スピーチのあらゆる箇所で聖書の一部を引用したフランシスは、法王としての社会的責任は全ての男女を援助する為、可能な方法でブリッジを構築することが自分の義務であると語った。 極端な原理主義を戒め、移民、難民、庶民の人生の尊厳を強調し、黄金律を引用し、指導者としてのあり方を議会メンバーに説いたフランシス教皇は高度な精神の持ち主であることを思わせた。2015年9月24日、前代未聞の米国議会での法王政治スピーチは貴重な歴史の1ページを綴った。

 

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