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第第三回目の共和党討論会は、CNBCテレビ局の主催により、リベラルの本拠地と言われるコロラド州ボルダーにあるコロラド大学で28日東部時間午後8時15分から開催された。その数時間前、下院議会は今後2年間で支出を800億ドル増加する予算法案に投票し、266対167票で通過した。昨夜の討論会はこの予算法案と無関係ではない経済政策が主な課題であった。マリファナ、移民、銃、教育などの課題も付加的に提起されたが、有権者が最も関心のある税制 、所得格差、社会保障、メディケア改革など主に経済問題に集中した。誤情報が目立ったが、メディアは早速その点を指摘した。

知事としての経験または実績のあるジェブ.ブッシュ(フロリダ州)、クリス.クリスティ(ニュージャージー州)、ジョン.ケイシック(オハイオ州)に比較すると、特に税制の問題ではドナルド. トランプおよびベン.カーソンは体験に即した論争が全くできないという点で明白なハンディが顕著であった。経験のある知事および議員らは、未経験のカーソンやトランプがフロント.ランナーである現実に幾分苛立ちがあり、シャープなトーンで対抗した。特にケイシックは最も攻撃的で、「仕事に応募する場合の自身の弱点について話して下さい」との全員に対する 最初の質問を無視し「私の大きな懸念は、我々はこの仕事をすることができない人を選ぶ危機に瀕しているということです。我々はリードできる誰かを必要としています」と述べ、政治の世界で経験のない候補者が選出されることを恐れている心境を吐露した。

トランプはケイシックに対して、左端に立っていた彼に 「彼はそのような素敵な男だ。私は決して攻撃するつもりはないですよ。しかし、彼の世論調査の支持率は暴落しました。彼がステージの最端に配置されているのはそれが理由です」と皮肉を述べ、「彼は意地悪です」と二回繰り返した。既にカーソンにリードされているため、精彩のない表情であったトランプは、本人のキャンペーン.サイトに税制についての政策を掲載しているにも関わらず、その掲載内容の一部に関して、進行役の一人であった白人女性ベキイ.クイックの質問に答えることができず、メキシコとテキサスの国境に大きな壁を建設する話題にすりかえるという一幕があった。

特に目立ったことは、誤情報を躊躇せず巧みに語る候補者もいるため、事実を知らない視聴者は納得させられるかもしれないと思える場面がしばしばあった。ニューヨーク.タイム(NYT)は幾つかの誤りを指摘した。例えば、経験のある政治家が選出されるべきだと主張したケイシックは黒字を生み出した為、予算調整に成功したとの主張に誇張があると述べ、「彼は自分が1990年代に予算のバランスを成功させたと言ったが、その時点で下院予算委員会の委員長であったことは事実である」と指摘した。NYTによると、ほとんどの経済学者は1990年代の黒字は(1)1991年のG.H.ブッシュ(ジョージW. ブッシュの父)による増税と支出削減、(2)ビル.クリントン大統領による1993年の予算、(3)ドット.コム.バブルのゴールド.ラッシュ経済による3つの要因があったからである。

社会保障の論争があった時、ケイシックは社会保障やメディケアを民営化することを掲げている他の候補者に「目を覚ましなさい。これらは国民が税金として支払っているので、エンタイトルメント(社会福祉の否定的表現)ではない」と叱責し、高齢化していく社会で、彼等の退職年金を削減または民営化することはとんでもない事だと語った。クリスティは「政府はその余剰金を政府が盗み、IOU(『私は貴方に借りがある』の意味で負債の非公式文書を指す)に積まれていても、社会保障の支払いには黒字があるとアメリカ国民に嘘をついている」と述べ、政府が社会保障税の黒字を使っていると批判した。NYTは、クリスティの発言について、社会保障税に黒字があることは事実であると述べている。しかし、「社会保障税は毎年、受給者への支払いよりもはるかに多くのお金を生成している。その黒字を銀行に預けることより、政府は軍事費のような他プログラムに支出している」と説明した。NYTはクリントン大統領がレーガン政権下での赤字を黒字に転換したことを説明していないが、近年、社会保障税の黒字から他のプログラムの為に支出しなかった時期は、クリントンが任期を終える頃、政府に「多額の黒字があった時だけであった」と述べ、IOUは単なる多数の紙ではなく、法律に従い、政府は債券を購入し、支払い期限に現金化していると説明している。故に、「政府がアメリカ国民に嘘をついた」という指摘は事実ではない。

次に、カーリー.フィオリーナは毎回、強烈な嘘をつくことで目立っているが、今回も歪曲した情報を視聴者に伝えた。女性雇用の平等について論議していた時、彼女は、女性に属する雇用の92%はバラク.オバマの最初の任期中に喪失したと語ったが、事実は全く逆である。NYTによると、労働統計局のデーターに基づき、オバマ大統領の最初の任期中、2009年1月には6,690万の女性が雇用された。また、最初の任期終焉時の2013年1月にはわずかながら、6,710万までに上昇した。最初の任期中の女性の雇用パターンは男性の雇用パターンと同様であると述べている。重要な統計について語る時は信憑性のある情報源を利用し、正確に伝えるべきであるが、誤情報を利用する政治家は彼女だけではない。

昨夜の共和党三回目の討論会は、10月13日の民主党の討論会で個人攻撃も共和党に対する批判もなく、政策論争に集中したモラルの高さに影響を受けたと感じさせる側面があった。何かにつけ、必ずオバマ政権または民主党フロント.ランナーのヒラリー.クリントンを批判する傾向は前回の討論会の時より幾分減少した。特に、トランプは今回ライバルを攻撃することを極力さけた。しかし、自身のキャンペーン.サイトが掲載している税制については理解しておらず、彼の政策アドバイザーが書いた内容を勉強していなかったことを示唆した。立候補当初、彼は本気で大統領になる気があるのかと疑問視されていたことを回想させた。また昨夜、大半の候補者は進行役の質問にストレートに答えず、「時間切れです」と中断されると強硬な態度でルールを無視する場面が頻繁にあった。先週ドナルド.トランプとベン.カーソンは主催メディアのCNBCに対して、論争時間を前回の3時間半から2時間に削減しない場合、ボイコットすると交渉したことが伝えられた。従って、かなりの時間が削減された為、1問の解答時間は民主党の討論会に比較するとかなり短かった事情もあり、前回のようなパターンとは若干の違いが見られた。

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