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13日金曜日午後9時頃パリで発生した同時多発テロ事件を捜査しているパリの検察当局は、当地時間14日の午後10時半頃、129人が死亡し352人(99人は危篤)が負傷したことを報告した。15日には死者数が幾分増加したことが報告されている。フランス大統領フランソワ.オランドは、事件直後「戦争の行為」であるとして緊急事態宣言を公表した。この宣言に加えて、複数のイスラム国(ISIS、ISIL)による犯行であることが判明した為、米国で緊張が高まっている。ドローン攻撃による対ISIS戦略を先導した米国ではなく、なぜフランスがイスラム過激派の標的になりやすいのだろうか? なぜフランス大統領の宣言は米国にとって重大な問題になるのか?

金曜日夜、レストラン、コンサート劇場、サッカー.スタジアムを含め、少なくとも6カ所で発生した テロ攻撃は完全武装によるイスラム.ジハードの責任であると言われている。レストランの外にいた生存者のアジア系アメリカ人は午後8時から10時の間に銃声を聞き、多数の人々が逃げ回っている様子を目撃したとMSNBCニュースのインタビューで語った。数時間後、公共交通システムは人々を安全な場所に輸送するためフリー.サービスを始めたと報じられた。パリ時間14日の深夜までには幾分具体的な情報が判明した。14日のニューヨーク.タイムス(NYT) によると、攻撃犯人はテロリスト軍、ジハード主義の軍隊、ダイエッシ (イラクおよびシリアのアラビア語の頭文字で英語のISISと同じ意味を持つ)の3つのISISチーム で構成され、そのうちの一人はシリアからヨーロッパに移動している難民に紛れ込み、シリアのパスポートを保持していた。パリの検察官フランソワ.モリンは、攻撃者は全員重厚な兵器と自爆ベストで武装していたと述べた。

NYTによると、テロリストの一人がパリ北部郊外のサッカー.スタジアムの門外で自爆弾を爆発させた 金曜日午後9時20分に彼らの攻撃が始まり、警察当局がバタクラン.コンサート.ホールに踏み込んだ土曜日午前0時20分に攻撃は終ったという。テロリストの1名は射殺され死亡し、他2人は自爆ベストを起動させ死亡した。ホール内でロック.バンドを聞いていた89人はテロリストに殺害された。スタジアムで死亡した25歳の男性はシリアのパスポートを所持し、10月3日にレロスのエーゲ海島で登録されていたことをギリシャ当局が報告した。コンサート.ホールで死亡した別の加害者29歳は犯罪歴があり、パリから約20マイル南にあるエブリィの市民であり、イスラム過激派のイデオロギーに関与していた。

15日のロイターによると、死者は129人から132人に上昇した。パリの捜査当局は、ベルギーに在住している兄弟2人に援助された可能性がある犯人一人を追跡する国際捜査を開始した。15日当局は、パリに大虐殺をもたらした攻撃者の2人はフランス国民でありベルギーの近隣に住んでいたと述べている。ベルギー当局は、攻撃者が使用した疑いのあるベルギー登録の2台の車がパリで発見された後、ブリュッセルで7人を逮捕したと伝えた。グループのうち、逃亡した犯人は1人だけであると推測されている。また、パリの南西部の都市に住んでいた29歳のイスマエル.オマール.モステファイは、唯一氏名が確認された犯人の一人であり、自爆用のベストが爆発した時、切断された彼の指の指紋から身元が判明した。フランス大統領オランドの非常事態宣言後、15日の日曜日も博物館や劇場などの公的場所は閉鎖され、警察は繁華街や地下鉄など をパトロールしていている。パリの人々は、実際に自国で自爆テロが発生した事に深いショックを受けているという。フランス当局は、8人が事件に関与したとISISが言っていると述べ、金曜夜の攻撃者7人の死体を発見したと伝えた。その中の6人は自爆テロで死亡し、1名は警察に射殺された。従って、現在逃亡した可能性がある1名を捜索中である。

米国の軍事専門家は、事前に良く準備された計画的な犯行であり、驚異的な国際的残虐行為であるこの事件の攻撃者は中東の過激派であり、軍隊での経験があり、冷静な態度で残酷に人々を殺害したと述べている。また、米国に対する確実な攻撃の脅威はないと報告されている。国務省は14日、フランスに在住または滞在中の米国市民は近年ターゲットにされていないが、旅行者は注意するようアドバイスした。パリでは1月に風刺週刊新聞社のチャーリー.エブド(英語: チャーリー、フランス語:シャーリー )がテロ攻撃を受けたが、どうしてフランスがターゲットにされているのか?

考えられる主な理由は ①フランスは米国のISIS戦略に参加している同盟国であり、 積極的にドローンによる空爆を展開している為、その報復行為であると思われる。フランスに限らず、米国の欧州同盟国はターゲットになる可能性がある。また ② 地理的に大国である米国に比較するとフランスは規模が小さく、米国の国境はカナダとメキシコだけであるが、フランスの国境はスイス、ドイツ、イタリア、スペインであり、ヨーロッパからのアクセスが簡単である。③ 米国は9.11の同時多発以来、テロリストがターゲットになりやすいニューヨーク及びワシントンの主な区域での警備は著しく 強化されている。加えて、④ 米国情報システムはフランスより高度である為、傍聴されやすいことも挙げられる。最後に ⑤ 現在シリアからの亡命者がヨーロッパに移動している為、この流れに沿ってフランスやドイツなどヨーロッパ諸国はテロリストが移動しやすくなっている。事実、攻撃者の一人はシリアからヨーロッパに移動している難民に紛れ込んでいたことが判明している。

このような理由に基づき、フランスを含むヨーロッパは安全性が脅かされることになるが、オランド大統領は「戦争の行為」と宣言した為、ワシントンの政治家は対ISIS戦略の論議を再燃させている。ISISに対する戦いを主導した米国は、米比相互防衛条約に基づき、北大西洋条約機構(NATO)下で同盟国の一つが攻撃された場合、他全ての同盟国はその攻撃を受けた国を防衛する義務があるため、フランスを援助する必然性がある。逆説的に解釈した場合、直接ISISと戦うためフランスは自国の兵士を派遣することで、米国の軍事力に依存し、米国に援助を求めることが可能になる。14日アイオワ州のデ.モインで開催された民主党候補者の第二回目の討論会では、開幕のほぼ最初の段階で、フランスの同時多発テロ事件を受け、攻撃者がISISであった事から、対ISIS戦略についての論議が展開された。このような論争で、唯一テロリスト問題に対抗した経験があるヒラリー.クリントンは明確なテロ政策を掲げている。

クリントンはオバマ大統領の戦略より遥かにタカ派であり「徐々に弱体化し、最終的に破壊する」戦略とは異なり、最初から破壊するべきだと主張している。2002年のイラク戦争には賛成票を投じたが、いわゆるブーツ.オン.ザ.グランド(BOG)と表現されている大規模な兵士を派遣する事に関しては「最後の手段」であると述べている。クリントンはフランス及び世界の同盟国と並んで立ち、テロリズム及び暴力的な過激主義と戦い勝利すると述べた。共和党米国上院の古参議員ジョン.マケイン(アリゾナ)は、ISISは米国の直接的脅威であることは確実であり「もし、オバマ政権がもっと真剣な戦いを展開しない場合、米国民は多大なつけを支払う事になる」と述べた。また、テロリストが難民と一緒に旅行している事実があったことに直面し、難民の受け入れについても疑問が提起された。 9月20日オバマ政権は、2016年中に10,000人のシリア難民受け入れを公表し、徐々に拡大する計画を表明している。共和党はこの計画に反対している。しかし、元メリーランド州の知事マーティン.オマリーは、民主党候補者の中で最も寛大な65,000人の受け入れを提案している。

最近の米国のISIS戦略は、ISISをターゲットにしたドローンによる空爆を頻繁に実施し、数日前には首斬処刑を担当している「ジハド.ジョン」を殺害した可能性がある。また兵士は既に陸地に派遣されているが、最近オバマ政権は少数の兵士を派遣したばかりである。イラクやシリアにBOGを派遣することで、もっと素早くISIS戦士を倒すことがマケインや主な共和党の主張である。ISISは、今月初期には220人以上が搭乗していたロシアの旅客機を爆破し、数日前には40人以上が死亡した自爆テロで南ベイルートを攻撃し、13日夜複数の場所でフランスを攻撃している。ISISの攻撃の勢いは激しくなっている為、ISIS政策を変える必要があるのかどうかが主な論議であり、ワシントンで緊張が高まっている。

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