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幾つかの理由により、近年メキシコからの不法移民は著しく減少し、米国に入国する率より帰国している不法入国者が増えている意外な現状が報告された。テキサス州の国境では年間で20万以上の不法移民が逮捕されている統計があるため、国境警備は万全な体制であることを示唆している。しかし、世界的な難民危機に直面している現在、米国への亡命を求めるシリアを含む中東からの難民が中央アメリカからメキシコを経由し、国境付近で逮捕されている複数のエピソードが報告された。この状況は幾人かの熱心な不法移民および難民拒否者を発奮させ、ヨーロッパ諸国から閉め出される危機に直面しているシリア難民を、更に米国からも追放する政治ゲームに利用される可能性を与えた。

19日に公表されたピュー.リサーチ.センターの調査によると、2009年から2014年までの期間に 米国に不法入国するメキシコ人の数は1990年代以来最も減少し、むしろ帰国する数が増えている。2014年メキシコの人口統計学全国調査(ENADID)によると、米国で生まれた子供を含む100万人のメキシコ人及び彼等の家族は、この期間に米国からメキシコに帰国した。同期間の米国国勢調査のデータは、米国に入国するためメキシコを去ったメキシコ国民の数は推定87万人である。メキシコ人による米国入国への流れは、彼等が実際に帰国している統計数より少ないことを明白にしている。2014年にメキシコに帰国した約60%は少なくとも5年間米国に在住していたことを自己報告した。

最も多数派の不法移民の人種はメキシコからのヒスパニック系である。その歴史は1960年代に始まり、2015年の今日までその流れは耐えることはないが、2000年代初期にピークに達した後、2014年にはその流れが著しく低下したことを示している。

1970年代 2000年までに 2007年までには 2014年には
100万人以下 940万人に増大 1,280万人に急増 1,170万人に減少

この動向は、以下に示す幾つかの要因がある。

⑴ 熾烈な強制送還はジョージW.ブッシュ政権下で2005年から開始され、引き続きオバマ政権は2009年から毎年30万人の不法移民を強制送還した。その勢いは2013年まで続いていた為、2014年のENADIDによる調査と矛盾がない。⑵ 2007年頃から始まった米国の大不況により、不法移民は安定した仕事を探すことが不可能になった為、雇用機会が減少したことが最大の要因である。⑶ オバマ政権の強制送還に加えて、国境警備は強化された為、 メキシコと米国の国境で不法移民が逮捕された数は2014年だけで230,000であり、1971年以来の水準に急落した。⑷ 多数の家族のメンバーが強制送還された為、米国で生まれた子供であっても家族と再度結合することが主な帰国の理由である。その結果、2007年には42%のメキシコ成人は米国に住んでいる家族とのコンタクトを維持していると答えたが、2015年にはその状況は35%に減少した。⑸ 強制送還による理由で帰国したメキシコ人はわずか14%である。強制送還を犯罪者に集中したとするオバマ政権の主張にほとんど矛盾がないことを示唆している。

不法入国するメキシコからの移民の数は減少している為、難民は受け入れやすい状況になっているが、米国の約50%の州は難民を閉め出すことを願っている。メキシコ経由で米国の国境にたどり着く難民が逮捕される複数のケースが報告されている。19日のニューヨーク.タイムスによると、今週メキシコの国境を通り抜け、米国に入国することを企てたシリア、パキスタン、アフガニスタンからの3グループが逮捕された。これはロシア旅客機の爆破、ベイルートでの自爆テロ、先週発生したフランスでの多発テロ攻撃などISISの自爆テロの恐怖が拡大している時 である為、米国の指導者は暴力的なジハドの脅威を煽動している。一方、連邦当局は逮捕したグループは過激な暴力の歴史や疑わしき傾向はなく、そのグループの一つは、国境で自発的に逮捕されたと報告した。米国税関国境警備局は、国境パトロールの警備員が16日、5人のパキスタン人と1人のアフガニスタン人が南ツーソンの国境を不法に越えた後、彼等を逮捕したことを19日に確認した。その男性らは、アリゾナ州の国有林に近いサンタ.クルーズ郡の小さな町ソノイタで2人の密輸業者と一緒に摘発され、連邦拘留所に拘束されている。警備員は多数の法執行機関や国家安全保障関連のデータベースにアクセスし、6人の身元をチェックした結果、彼らの懐疑的な情報はないとの声明文を公表した。しかし、当局は現在も調査中である。

また、17日には8人のシリア人が逮捕された。このグループは男性2名、女性2名、子供4人の二所帯の家族グループである。移民税関捜査局は、彼等はテキサス州ラレードの国境で警備員に自らを引き渡し、米国での亡命を要請したと報告した。彼等は拘留センターに送られ、亡命の資格があるかどうかを調査するため数年間待たなくてはならない通常の裁判プロセスを受けることが可能である。また、ホンダラス当局は、偽造または盗難の可能性があるギリシャのパスポートを持参し、テグシガルパ空港に到着した5名のシリア人を逮捕した。ホンダラス当局は、主にラテン.アメリカの複数の国を通って、迂回ルートで米国に向かう途中であった事を彼等の供述で知ったと伝えた。米国およびホンダラス当局はいずれも、彼らがテロリストであるという証拠はないと伝えている。

しかし、法務執行当局の報告を信じないことで、難民受け入れを頑固に否定する政治家は多数存在する。溢れるメキシコからの不法移民の流れを阻止する為、国境に「巨大な美しい壁」を建設することを主張している共和党大統領候補者のドナルド.トランプは国境で逮捕されたシリア人の家族はISISではないかどうかを疑問視するメッセージを19日 ツイッターに投稿し、「だからそう言ったでしょう」と反応した。難民拒否を最初に宣言したテキサス州知事のグレッグ.アボットも「シリア難民に警戒しなくてはならないのはこのためです」とツイッターに投稿したという。アボットは「シリア人が米国でテロリスト活動に従事するため、ホンダラスを経由して米国に向かう途中でホンダラスの職員に発見された」と未確定の情報を伝え、恐怖を煽っている。

今週、驚きのエピソードが連続的に発生した為、中東からの過激なテロリストは「十分確率された密輸ルート」であるラテン.アメリカからメキシコを経由し、米国のテキサス南部の国境を越える可能性性があるため、更に強固な国境警備が必要であると主張している。実際、国境は数千の警備隊が交代で日夜警備に当たっている。また法務執行当局は、今週国境で逮捕された難民らがテロリストであるとする証拠はないと公表しているにも関わらず、事実を歪曲した情報を伝えている。移住民政策研究所のキャスリーン.ニューランドの研究によると9.11 同時多発テロ後の 14年間で、米国には784,000人の難民が移住したが、テロ活動と関与し逮捕された難民は3件である。そのうち2件は米国内での攻撃を計画していなかった事に加えて、3件目はほとんどテロ容疑の信憑性がなかった。ニューランドは、難民が米国をターゲットにテロ攻撃を企てたケースはほぼ存在していないことを示唆し、連邦政府の難民プログラムは安全保障の脅威にはならないにも関わらず、多数の政治家は難民がこの国で救済されるチャンスを阻んでいると指摘した。 従って、他国で起きた最近のテロ攻撃と難民を結ぶつけ、全ての難民を否定することは非現実的で無謀である。そのような政治家は有権者に恐怖を煽ることで、不法移民および難民を拒否する自身の政策を正当化し、強固な反移民および反難民政策をアピールすることで容易に支持を得ることを可能にする。国民は、意義のある人道的救済に背を向けるこのような政治ゲームに乗せられてはならない。

 

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