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ISISによるテロ攻撃は激化しているため軍隊派遣の声がワシントンの内外から高まっている。しかし、対ISIS戦略は「機能している」と述べ、オバマ大統領は戦略を変える方針がないことを明白にしている。13日多発テロ攻撃を受けたフランスの要請に応じて、その戦略をもっと改善し強化させると公約したが、ブーツ.オン.ザ.グランド( 地面で戦う兵士)又はBOGを派遣する要求に応じない為、著しい抑圧が高まっている。多数の議員、特に共和党によるBOG派遣の要求は過去の教訓を無視した短絡的な主張であり、大統領が現在の戦略に固執する理由は幾つかの人道的および合理的側面があることを示唆している。

オバマ政権は特殊部隊のみに限られたBOGを最近派遣し、ドローンを利用した空爆作戦は既に1年以上が経過した。このドローンと呼ばれる空爆作戦だけで、勢力と過激性を増加しているISISには対抗できないとの圧倒的な意見があるにも関わらず、その戦略を変える意志は毛頭ない。13日パリでの多発テロ攻撃後も基本的に同じ戦略を変える方針はなく、単に強化することを強調しているだけである。オバマ氏は24日フランス大統領フランソワ.オランドとの記者会見で米国および同盟国は既に8,000回の空爆を実施し、イラクとシリアの領土からISILを押し戻していると述べた。フランスと共にもっとこの作戦を強化すること、および情報を共有すること、国内および海外のテロリストの流れを防ぐため付加的な努力をすると述べたが、特に具体的な事は語っていない。

オバマ大統領がBOGの派遣を強固に拒否している理由は何か?個人的には、ブッシュ政権と同じミスを繰り返したくない信念があるのではないかと感じる。ホワイトハウスの報道官ジァシュ.アーネストは5月の記者会見でBOGの強硬路線を主張する意見があることに対して現在の政策を擁護した。ABCニュースの記者に語った情報によると、アーネストは「大統領は大規模な米軍派遣を検討する立場ではなりません。また、戦略の変化を求めている人に対して、それを具体的に提示することを奨励します」と語った。現在の戦略を変えることより、オバマ氏および安全保障チームは、シリア北西部の都市アイン.アル及びティクリートのような場所で成功した戦略を米国が挫折を経験している地域に適用する方法を模索している。アーネストは、「シリアの地元勢力が自力で ISILに戦うことができるまで我々は地元の力を構築することが可能ですが、これは引き続き困難な課題であることは承知の通りです。また、これは一夜で解決する問題ではなく、むしろ長期的な献身を必要とします」と述べた。

またパリでのテロ攻撃後、オバマ氏は「我々は適切な戦略を持っています」と述べ、それが正しい戦略であることを理解していると言明した。16日のニューヨーク.タイムスによると「政治的に機能する、あるいは米国が強い国に見える、または私がタフに見えるというような抽象的な理由による行動を私は取らない」と述べた。オバマ氏は問題を解決する努力をする前に、大量の兵士を派遣した2003年のイラク侵略は間違いであったと判断しているため、同じことを繰り返さないとの信念を抱いている。例えば、オバマ氏は「以前も見られた繰り返しを再度見ることになる。テロリスト.グループに勝利する為には、私たちがこれらの国で恒久的に占領する準備がない限り、地域住民が過激主義のイデオロギーを拒否する必要がある」と述べた。

大統領は人命および経済的損失の教訓を懸念している。BOGを派遣する場合、先例にない支持不可能な莫大な数の兵士を派遣することになると述べた。例えば「シリアに50,000部隊を派遣すると仮定した場合、イエメンに起因するテロ攻撃が発生した時、そこにもっと多くの軍隊を派遣しますか?多分リビアに?または北アフリカ、あるいは東南アジアのどこかにテロリストのネットワークがある場合はどうですか?」と語り、その国で発生するテロ作戦に米国の軍隊をいちいち派遣していたら限界がないことを示唆した。また、ISILの戦略は特別優れている訳ではなく、死ぬことに抵抗のない自爆テロを利用している彼等のイデオロギーが問題であることを指摘した。更にオバマ氏は、手足を失い麻痺し、ワシントン近辺の軍病院に入院している25歳の身体障害者に数ヵ月ごとに会っていることを語り、これらの幾人かは自分が戦地に派遣した兵士であると述べた。

過去の戦争による人命および経済的損失は莫大であるが、その重大な教訓を無視するべきではない。2001年9月11日の同時多発テロ後、当時の大統領ジョージW.ブッシュはアフガニスタン戦争を宣言し、その戦争はすぐパキスタンに拡大し、2003年にはイラク侵略が始まった。これらの戦争のコストを調査し、4月に更新されたブラウンン大学 ワッツソン研究所によると、この調査プロジェクトは経済学者、人類学者、政治学者、法学者、人権活動家、医師を含む合計37人の専門家が共同作業で実施したものである。彼らの調査によると、これら3つの戦争で、請負業の軍隊、ジャーナリスト、人道支援者、民間人を含む死亡数は370,000人であり、民間人の死亡だけでも210,000人である。最も民間人の死亡者が多かったのはアフガニスタンであり、次にイラクである。米国兵士の死亡は6,800人であるが、報告されていない数値を追加すると少なくとも推定6,900人である。2014年3月31日までに身体障害者として退役軍人省に登録された数値は970,000件である。また、この3カ国での戦争で家を離れることを余儀なくされ難民になった数は760万人である。加えて、米国政府はイラクとアフガニスタンの復興努力に170億ドルを融資したが、その費用はこの両国でほとんど軍事および警察を強化する目的に利用された。将来の退役軍人の医療及び障害費の見積もりを含むイラク戦争の連邦政府コストは約2.2兆ドルである。イラク、アフガニスタン、パキスタンでの戦争のコストは約4.4兆ドルである。しかし、2054年までの借入金の利息を含むと総体的コストの推定は8兆ドルになる。

オバマ氏は退役軍人の身体障害者との出会いを通して、多数の戦士を現場に送ることで身体障害に苦しむ退役軍人をこれ以上増加させたくないという人道的な苦痛の思いを語っている。また、戦争のコストは人命および経済の観点から莫大であることを過去の教訓から学んでいる。従って、莫大な数の兵士を派遣することのみ主張することは、負債と赤字を削減することを主張している一部の共和党にとっては非合理的であり、矛盾があることを示唆している。難民の受け入れを拒否している政治家は、特に兵士を派遣する戦争を奨励するべきではない。また、狂気的なイデオロギーを掲げるISISを短期的に安全に打倒する合理的な戦略はなく、BOG派遣が即時の解決法であるとの保証はない為、地元勢力の構築を含めて、もっと強力な同盟国の連携に基づく外交的政策を強調している。

 

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