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タバコ農業での児童労働の禁止運動は既に5年以上続いているが、相変わらず十代の子供達は危険なタバコ農業の労働に従事している。人権ウォッチ(HRW)は2013年に直接タバコ畑でインタビューした児童労働者の搾取の実態を2014年5月に報告した。今年もノース.キャロライナで多数の子供達および専門家とインタビューし、政府及びタバコ産業は未だに子供達を保護する措置を講じていない実態を報告した。昨年の報告から一年以上が経過した現在、特に健康上の問題において殆ど進歩はないため、HRWはニコチンが子供達の脳の健康に及ぼす影響を指摘し、危険な労働環境から子供達を保護する事を要請した。タバコ農業での児童労働状況は一部を除きほとんど改善がないようである。国際法及び米国の児童労働法はどうなっているのだろうか?

HRWは7月ノース.キャロライナ東部のタバコ農業で労働している26人の子供達、彼等の両親、農業労働専門家、思春期の健康専門家、タバコ生産者にインタビューを行い、その結果を9日報告した。現在タバコ畑で労働する子供達は16歳以上である。昨年報告があった5月、10歳以下の幼い子供達も多数労働していた驚きの実態が暴露されたが、幾つかのタバコ会社は16歳以下の児童労働者を雇用することを禁止した。2014年、米国で二番目に大きなたばこ製造会社であるアルトリア.グループ及びレイノルズ.アメリカンはタバコ農場で16歳以下の児童雇用を禁止すると発表した。その後、タバコ生産者の2つの組織が同様の声明を発表した。これは唯一の進歩であり「最初の良好なステップである」が、16歳および17歳の児童はまだタバコの購入が禁止されている年代であるため、特にニコチン中毒症が問題である。

インタビューに応じたほぼ全ての十代の労働者はタバコ畑で労働中、ニコチン、有毒な農薬、極端な太陽熱に晒され、吐き気、嘔吐、頭痛、目眩などの急性ニコチン中毒症状に苦しんでいた。子供達は殺虫剤がスプレーされる畑の近辺で労働しているだけでなく、スプレーされたばかりの畑に入り労働しなくてはならない。またほぼ全ての子供はそのような危険な労働条件下で、一日11時間から12時間勤務していた。更に、適切な保護用具が提供されておらず、場所によってトイレのアクセスが不可能な場合もあり、手を洗う場所が無かった。幾つかのタバコ会社は特に危険な分野で18歳以下の子供の雇用を禁止したが、基本的に 18歳以下の児童労働者を保護する為、タバコ農業の危険性に対応する安全性のトレーニング又は健康教育を含めて、安全衛生措置はほとんど提供されていない現状である。

HRWは、米国の労働法下で子供が学校以外の時間帯に労働する場合、親の許可があればタバコ農場のサイズに関係なく、雇用主は無制限の労働時間で12歳の児童を合法的に雇用することが可能であると伝えている。また、小さなタバコ農家や家族が運営する農場で作業する子供の最低年齢の制限はない。従って、長時間ニコチンに晒される危険な労働環境下でタバコ栽培に従事する「 十代の脳はまだ発展段階であるため、特に仕事の有害な影響を受けやすい」と述べている。また「計画、問題解決、およびインパルス制御に使用される脳の一部である前頭前野は思春期及び20代前半に引き続き発展する。特に、前頭前野はニコチンの刺激を受けやすい。皮膚を通してニコチンを吸収する長期的な影響は不明であるが、青少年期のニコチン曝露は精神障害、記憶力、注意力、インパルス制御、その後の人生の認知に関連性がある。小児期の農薬暴露は、癌、生殖器健康の問題、うつ病、人生の後半に直面する他の健康問題にリンクしている」と説明している。

米国労働省によると、連邦政府の児童労働法は1938年に制定された公正労働基準法(FLSA)下で、児童労働者の安全、健康、および教育の機会に危険性がないことを明確にしている。1938年のFLSAは労働市場に参加する14〜17歳の青少年を保護する条項が含まれている。米国労働省は児童労働会報101及び102を通して、誰がFLSA 労働者条項に規定されているか、誰が免除されているか、最低年齢、賃金基準、18歳未満の若年労働者の採用が不可能な危険な職業についての情報に加えて、若者、両親、雇用者がこの法律を遵守するために必要なすべての情報を提供している。また、米国は身体的および精神的な健康、安全性または道徳性にリスクのある仕事を含む緊急事項として、18歳未満の特定種類の労働を禁止している国際労働機関(ILO)の児童労働条約にも批准している。

労働省が発行している児童労働会報102は特に農業に従事する未成年労働者について規定している。それによると、全ての農業分野での児童労働者の最低年齢は16歳である。また、時給による最低賃金も定めている。雇用主は20歳以下の労働者に最初90日の期間中、最低時給$4.25を支払うことが義務づけられている。特定のフルタイムの学生、パートタイムの学生、実習生、障害を持つ労働者には労働省が発行した特別な証明書下で、最低賃金以下の支払いが許可されている。農業労働者の残業時間に関してはFLSA下で規定されていない。また、トラクターなど機械を取り扱う作業およびダイナマイト、黒色火薬、増感アンモニウム、硝酸塩、ブラスト.キャップ、及びプライマー.コードなど危険な薬物および器具を取り扱うほぼ全ての農業労働に16歳以下の児童を従事させることを禁止している。しかし、家族が経営する農業で働く子供は除外の対象になっている。また、トラクターまたは機械作動に関する連邦トレーニング.プログラムを完了し、許可書を取得した14歳および15歳の子供は、そのような農業の危険分野で労働することが可能である。連邦政府には児童労働に関する多数の複雑な規定があり、それらの法律に違反した雇用主は罰金が課せられる。子供が違反したと考慮された場合、雇用主は一人の児童労働者の違反に対し$11,000の罰金を支払う必要がある。

HRWは 米国で農場からタバコを購入する大企業8社の首脳部と会い、各社の児童労働政策を強化することを促した。この報告書の共同著者であるマーガレット.ウォースは「米国政府及びタバコ会社はタバコ農業の危険な労働から18歳以下の全ての子供を保護するべきである」と書いている。HRWは、国際法である児童の権利に関する条約に米国は署名したが批准していない為、健康上の危険性と経済的搾取から子供を保護し、タバコ農業で従事する子供達が直面する特定の問題に対処するべきであると訴えている。国際及び米国の児童労働法は存在するが、個々の状況に応じた詳細な規定は不足傾向である事に加えて、タバコ産業は成人労働者および近代的な機械を導入しても利益は十分あるはずであるがコストの安い児童労働に依存している。搾取されやすい児童労働の現状と貧困がもたらす別の社会的問題を浮き彫りにしている。貧困は最悪の労働環境下で児童労働者が搾取されている最大の隠れた要因である。

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