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今朝、米国で最大の都市であるロスアンゼルス(LA)およびニューヨーク市(NYC)の学校区はいずれも 爆弾の脅威があるとの全く同じ脅しメールを受理したが、2つの都市の法務執行当局は全く正反対の決断を下した。同じ電子メールでの脅しに対して、なぜ全く異なる反応と行動が展開されるのか疑問が提起されている。先月パリでの多発テロ攻撃及びカリフォルニア州サンバナディノでのテロ攻撃後、米国ではテロ行為の恐怖が高まっている。2016年の大統領選は国土安全保障およびテロリズムが有権者の最大の関心になったと言われている。

複数の情報筋によると、15日LAと NYCの特定の学校関係者に送られたメールは送信者の名前が判明していない。匿名の同じ人物と思われる同じ内容のメールは海外から送られたものである。しかし、LAはそのメールの脅しをレベル1の危険性があるとして、爆弾は発見されていないが、60万人以上の生徒が通う全ての公立学校を閉鎖した。この状況を知らなかった学生は学校に到着後閉鎖されたことを知り、狼狽しながらキャンパスから離れた。一方、NYC当局は、爆弾の捜索を続けているが、電子メールの脅しに信憑性がないとして、通常どおり開校している。メールのテキストはイスラム教徒に関連性があること及びISISのプロパガンダであることを反映していないと判断された。

15日のロスアンゼルス.タイムスによると、バックパックおよびパッケージをキャンパスに置いたとの「信憑性のある暴力の脅し」を受けた後に全てのロスアンゼルス統一学校区(LAUSD)のキャンパスは閉鎖された。LAUSD は 900の学校に70万以上の生徒が通う全国で二番目に大きな学校区である。LAUSDの監督ラモン.コーティンズは、油断できないと述べ、彼は明日再開校する前に全キャンパス、成人学校及び早期教育センターを捜索するよう警察に要請した。法執行機関の情報源によると、LAUSDに送られた電子メールはドイツのフランクフルトのIPアドレスであることが判明した。

15 日のニューヨーク.タイムスによると、ニューヨーク市警は学校の総点検を実施しているが、脅しを示唆するものは何も発見されていないと公表した。NYCの教育省に15日午前5時頃送られたメールの脅しは、LAUSDに送られたメールとほとんど同じであるが、警察長官ウィリアム.ブラトンは信憑性のある脅威はないと判断した。ブラトンは火曜日午前中NYCの市長ビル.デ.ブラシオと一緒に記者会見を行い、メールの脅しは「デマ」であると表明した。LAは過剰反応し、突然640,000人の生徒が通う公立学校を閉鎖したことを指摘した。ブラシオ市長は、脅しは「一般的で奇異である」と述べた。NYCに送られたメールも市の名称以外、同じくドイツから送信された形跡があり、メールの文書内容は同一のものであることが判明した。「偽の脅しも犯罪である」ため、送付者が誰であるかを捜査中である。法執行機関の関係者は、メールの差出人はイスラム過激派の脅威にリンクしようとしている誰かが書いたものであるように思えるが、記載方法の要素は確実な脅威の信憑性がある事を法執行当局が判断するには十分ではない。例えば、電子メール中の単語「アッラー」は大文字で書かれていない事に加えて、電子メールに記載された攻撃のタイプも非常に不特定であると関係者は述べたという。従って、ニューヨーク当局は安全性を重視しながらも、学校を閉鎖する必要はないと決定した。

同じメールの脅しに対して、LA当局は全ての学校を閉鎖するほど深刻に受け止め、NYCは脅しの信憑性はないと決定し学校を閉鎖していない。どうしてこのように反応が異なるのか疑問が提起されている。元下院民主党議員ジェーン.ハーマンは15日、MSNBCのインタビューで、情報の共有は平行線のみで縦線ではなかったと述べ、連邦法務執行には状況が報告されなかった可能性があることを示唆した。また、これらの大都市は攻撃の標的になりやすいと述べ、イスラム教徒の入国を停止するとの発言は「間違った時」であると指摘した。なぜなら、ISISに対する恐怖を示唆する発言は、逆に弱みにつけこまれる可能性が高くなるため、テロ攻撃のターゲットになりやすい。従って、米国は脅しに屈しない強さと確信を示すことが大事であると語った。

恐らく、サンバナディノのテロ攻撃で14人が死亡した事件後のショックはまだ新鮮であることも一因であり、精神的影響が大きいことを示唆している。二つの都市は連邦政府法務執行当局に決定を委ねることをせず、市の法務執行当局が独自で判断したようである。いずれにしても、最近の連続的なテロ攻撃の脅威は米国民を動揺させ、2016年の大統領選の候補者にとって最も重要な課題はテロリズムになった為、対ISIS戦略は重要な課題であると言われている。

12月2日のサンバナディノの事件後、オバマ大統領は6日夜大統領声明を行い、テロの性質は変わり「新たな段階」を迎えたと述べ、ビザ免除プログラムを確認する事を命令したと語った。論争的な大統領候補者であるドナルド.トランプは、イスラム教徒の入国を一時的に停止することを主張し、国際的な批判を浴びてもこの考えを変えていない。共和党リーダー、特に下院議長のポール.ライアンはオバマ政権のISIS戦略は失敗していると批判した。8日下院議会は、外国テロリストが米国に入国することを防ぐためビザ免除プログラムを強化する法案を407 対19の圧倒的超党派の支持により可決した。上院議会はまだ同様の法案に投票していないが、共和党はプログラムを早急に変更する利点を強調している。婚約者ビザで入国した女性容疑者のタッシュフィーン.マリクは早くから過激化していた可能性があった事も要因であるが、2016年大統領選の課題は外国人、特にイスラム諸国から入国する外国人をどうするかが共和党の強い関心課題になっている。

総体的にテロの恐怖を煽っているは共和党であるが、それはオバマ政権のISIS戦略を批判し、泥沼の戦争に発展する軍隊派遣を強調することで、共和党有権者の支持を得るメリットがある政治ゲームである。14日のNBCニュース及びWSJの合同調査で、大統領指名選挙の最初の共和党有権者の58% 、民主党有権者の26%、総じて40%のアメリカ人は国土安全とテロリズムが最優先課題であると答えた。また、オバマ氏の大統領としての仕事に対する評価は昨年に比較すると、最低43%に減少した為、テロリズムの脅威は直接オバマ大統領の支持率を下げる要因になると指摘した。通常、大統領選の最優先課題は経済であるが、パリおよびサンバナディノ事件後、中心課題は「突然恐怖に変わった」のである。このような調査結果は、国民にテロ脅威及びイスラム教徒の脅威を煽ることも政治ゲームであることを明確に示唆している。なぜなら、最近のサンバナディノでの事件を例外に、9.11後米国で発生した国内テロリズムの類として判定された事件を含め、今年サウス.キャロライナやコロラド州で起きた事件の犯人はイスラム教徒ではなく、ほとんど白人のキリスト教徒であることを無視しているからである。

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