アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

第五回共和党討論会  Photo: By CNN

15日東部時間午後9時からラスベガスで開催されたCNN主催による第五回共和党討論会は外交政策が中心であり、主に安全保障とテロリズムの話題に集中した。メイン.ステージに立った9人の共和党大統領候補者に提供された課題はISIS戦略、米国国家安全保障局(NSA)のデーター収集、イスラム教徒問題など白熱した論議が展開された。中東問題では、過去の政権交代およびシリアの内戦でアサド政権交代に関与することの是非が論議された。不動産王ドナルド.トランプとフロリダ州の元知事ジェブ.ブッシュは感情的口論を展開する場面があった。また、フロリダ州の米国上院議員マルコ.ルビオ、テキサス州の米国上院議員テッド.クルーズ、ケンタッキー州の米国上院議員であるランド.ポールは、NSAのデーター収集プログラムに対する立場の違いを批判し合う場面もあった。

討論の最初に、カリフォルニア州サンバナディノでテロ攻撃が発生した数日後、トランプがイスラム教徒の米国入国を禁止すると発言した事が提起された。主な進行役を務めたCNNのベテラン. キャスターであるウルフ.ブリッツァーは、この計画についてトランプに「世界から孤立することが米国を偉大な国にすることなのか」と尋ねた。トランプは「我々は孤立について語っているのではない。我々は安全保障について言っている。我々は宗教について言っている訳ではない。我々の国は制御不能の状態である」と反論し、自身のイスラム教徒計画を擁護した。この後、しばらくブッシュとの口論が続いた。

ブッシュはトランプのイスラム教徒計画を「真剣な政策ではない」と批判し「彼は無秩序な候補者であり、彼は無秩序な大統領になる」と述べた。ブッシュは「ドナルド、貴方は自分のやり方で、大統領の地位を侮辱できなくなりますよ」と指摘し、「リーダーシップは人々を攻撃することでも、軽蔑することでもありません」と、日頃ライバルを侮辱しているトランプを叱責した。これに対し、トランプは「ジェブは上品な人だが、我々には頑丈さが必要です。ジェブの姿勢で、我々は決して米国を偉大にすることはありません」と反論した。ブッシュは「彼は指揮官にはなりません。我々は国を安全にする必要があります」と述べ、トランプは大統領に選出されないことを示唆する発言で攻撃した。トランプはブッシュの支持率が下がっていることを指摘し、すぐ終わりになると皮肉な表現を吐露し、両氏は子供染みた小競り合いを展開する場面が数回あった。約2週間前、トランプはISISの家族も殺害することを提案した為、 「トランプはISISの家族も殺害することを要求しているが、それはどのように役立つのか」と進行役に聞かれ、彼はISISを倒すため最も効果的な方法は家族を殺すことであると述べた。これに対して、ブッシュは「これは深刻さが不足している例です。気違いじみています。それは意味がありません」と批判した。

トランプのイスラム教徒政策に関する意見を求められたルビオとクルーズはトランプを直接批判することを避け、オバマ大統領と民主党の最前線に立つヒラリー.クリントンは米国を安全にすることに失敗したと批判した。ニュージャージー州知事クリス.クリスティはサンバナディノのテロ攻撃について、サンバナディノがテロリストのターゲットになるなら米国は何処でもターゲットになると指摘し、元連邦検事としてテロリズムに対処した経験からこれだけは言えると述べた。

次に、ルビオ、クルーズ、ポールの三人は国土安全保障の問題でオバマ政権の個人電話情報を収集していたNSAのメタデーター.プログラムについて論争を展開した。「ルビオはなぜ、電話記録の収集を制限する投票にクルーズが賛成したことが間違っていたと思うのですか」と聞かれたため、最もタカ派のルビオはクルーズとポールがこのプログラムを弱体化する法案に賛成票と投じたと批判し「最も必要としている時に、我々はこのメタデーター.プログラムを失った」と述べ、これは「価値のある措置」であったと語った。また、この法律が存在しなければ、米国はテロ攻撃に脆い状態になり、テロリストの情報を入手することは困難であったと主張した。クルーズは新たな別のプログラムはもっと優れ広範である為、米国がテロリズムと戦うことを可能にすると述べ、幾分詳細な数値的情報を提供した。リバタリアンのポールは公民権の自由を危険に晒す要素があったと指摘した。ルビオに対して、スパイ活動の技術的側面だけ強化しても、国境を強化する包括的な移民法のない彼が国の防衛強化を主張することは皮肉であると批判した。

中東問題ではシリアの大統領バッシャール. アサドの政権交代に関して、クルーズはアサドを追放する事を目指すオバマ政権の目標を否定し、「我々がアサドを打倒した場合、ISISがシリアを乗っ取ることになる」と述べた。最近ヨルダンを含む58カ国を訪問したと報告したベン.カーソンはクルーズに同意し、米国の外交政策はまず中東に集中する必要があると述べた。トランプは「中東は完全に不安定にされている」と述べ、過去にジョージW.ブッシュ政権が目指した政権交代は何も得ていないと指摘し、そのような関与に使われるお金は国内で投資される方が良好であると述べた。また「アサドは悪い人間である」が、まずISISを排除しなくてはならないと語った。兄の「ブッシュ大統領がイラクの独裁者サダム.フセインを打倒したことは良い政策だったとまだ思っているか」と聞かれ、ブッシュは「イエス」と答えた。ポールは、フセインが除去された後は混沌状況になったとし、政権交代が機能するかどうか考慮しなくてはならないと指摘した。オハイオ州知事のジョン.ケイシックはシリアの内戦に関与するべきではないと述べた。

昨夜の討論会は、過激なISISおよびテロリストから米国民を如何に保護するかという観点から国土安全保障の課題が中心であり、有権者にとって誰が米国を安全にリードできるのかが注目のポイントであったと思われる。従って、国境の安全に関して、移民および難民問題も提起された。イスラム教徒禁止計画についてはトランプが攻撃の対象になったが、他の共和党候補者も既に差別的な提案をしている。例えば、ルビオは全てのイスラム寺院を閉鎖すると主張し、カーソンはイスラム寺院とイスラム教徒関係の学校をモニターすることを提案した。難民問題についても、複数の共和党候補者は多かれ少なかれ、偏見または差別的な政策を掲げている。例えば、ブッシュとクルーズは宗教検証によりシリアの難民をキリスト教徒のみに制限することを提案している。これは既に、真の民主主義を目指すアメリカらしくないとしてオバマ大統領が批判した。中東では独裁者が国を運営する方が良いのではないかとの疑問も含め、政権交代に関する共和党間の論議は孤立主義と干渉主義を示唆する意見が明白に分かれた。誰よりも多額の選挙資金を使いながらも支持率が低いブッシュは、ライバルを侮辱するか又は極端な発言をする度に支持率が上がるトランプに苛立っていると言われているが、その状況は昨夜のステージに明白に顕われていた。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。