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2015年12月19日第三回民主党討論会

ABCニュース主催による第三回目の民主党大統領候補者の討論会は、昨夜東部時間午後8時からニューハンプシャーで開催された。元国務長官ヒラリー.クリントン、バーモント州の米国上院議員バーニー.サンダース、元メリーランド州知事マーティン.オマリーの三人は白熱する論争を展開した。主な外交政策の優先課題は安全保障問題、テロリズム、および過激派イスラム国(ISIS、 ISLI)に対する戦略であった。イスラム教徒の入国禁止、大統領としてどのようにテロリストを探すのか、ISISとの戦いとアサド政権交代のどちらを優先すべきか、混沌たるシリアでの飛行禁止空域の是非など様々な問題が提起された。クリントンはシリア大統領バッシャール.アサドの政権交代について、サンダースおよびオマリーと著しく立場が異なり、サンダースの厳しい非難に直面したことが印象的であった。

一時的にイスラム教徒の入国を禁止することで過激派ジハード.グループの家族を殺害することを正当化したドナルド.トランプの提案は「一線を超えた」として、世界的に多大な否定的反応があり、他の大統領候補者および共和党議員はほぼ全面的にこの提案に反対した。しかし、クリントンは米国民、主に共和党支持者の36%がトランプの提案を支持していることをどう思うかと聞かれ、共和党、特にトランプの否定的な表現は米国および世界中のイスラム教徒が悪人であるようなメッセージを送っていると述べ「彼はISIS最高のリクルーターになっています」と批判した。これは、もっと過激なISIS戦士を募集する手段として、トランプが語っているビデオをISISが利用していることを意味している。そのビデオ.プロパガンダは共和党候補者の最前線に立つトランプがイスラムおよびイスラム教徒を侮辱しているためISISに利用される都合の良い材料になっていることをクリントンは指摘している。従って、トランプの提案は「テロリズムに対する戦いを弱体化し、イスラム教に対する戦争であり、過激化を促進している」と批判した。更に、前大統領のジョージW.ブッシュはイスラム社会に手を差し伸べたことを賛美し、トランプとの違いを強調した。国内外の安全保障および外交政策に豊富な経験のあるクリントンはテロリストを探す方法について、世界とのネットワーク、ハイテク.コンピュータ会社との情報共有、イスラム共同社会との綿密な繋がりの3つの枠組みを提供した。

クリントンは基本的にオバマ政権のシリア政策を支持している。ISISを破壊し、シリアでのアサド政権に対して、アサドを辞職に追い込むことを支持しており、国連安全保障理事会がシリアの政治的移行について決議しているため、世界が共にそれを実施すると述べた。しかし、サンダース及びオマリーはいずれもISISと戦うことを優先すると述べたが、アサド大統領を打倒する必要はないと主張した。サンダースは、ISISとの戦いを米国は優先するべきであると述べ、2002年にイラク戦争に投票したクリントンに対し、「国務長官は意図しない結果を認識せず、政権交代に攻勢的過ぎる。アサドを除去することは明日でもできるが、独裁者を打倒した場合、政治的空洞ができる為、それはISISに受益を与えることになる」として、政権交代を推進しているヒラリーを批判した。 サンダースは、米国は世界の警察ではないと述べ、イラク戦争で独裁者のサダム.フセインを打倒した結果、混沌に陥ったイラクはISISが搾取する要因になったことを示唆し、クリントンを非難した。オマリーは、米国はアサドの辞職を奨励するべきではないと主張した。基本的にサンダースとオマリーはISISとの戦いに集中するべきであると述べた。この点でヒラリーはサンダース及びオマリーとシリアのアサド大統領に対する政策が著しく異なることを明白にした。しかし、クリントンは複雑な情勢のシリアで全てを一度に行なうことは不可能であると語った。

共和党候補者の討論会でも頻繁に論議されているが、政権交代に加えて、飛行禁止空域(NFZ)の課題が提起された。シリア紛争の泥濘化はもはや内戦と呼ばれるような甘い状況ではない。最初シリア全土でアサド政権に反対する抗議から始まったシリア内戦は、当初シリア軍(アサド政権派)と反政府軍との紛争が主であったが、現在、過激派ISISおよびクルド勢力との戦いも同時進行している。現在、ロシアとイランはシリア軍に加勢し、米国を中心にイギリス、フランス、カナダ、オーストラリア、トルコ、サウジアラビア、カタール、ヨルダン、モロッコなどの多国籍軍はシリア領内でISISをターゲットにした空爆を展開している。そのような状況下でシリアの民間人は最も危険な状況に晒されている為、クリントンは戦争で荒廃した国の特定の部分を安定化させるため、シリアの飛行禁止区域を設定すると公約しており「 我々は既に空域を争っていないので、私は飛行禁止空域を提唱しています」と述べ、陸地のシリア人の自由な流れを援助するのに役立つと主張した。

シリアの民間人が危険に晒されている状況は莫大な難民のヨーロッパ移動が示唆している通りである。ISISはシリアのラッカで、公共施設や寺院など複数の建物を本拠地、捕獲された犠牲者の拘留所、およびISIS戦士休息所として利用していると言われている。また、ISISは一定の場所に長く滞在せず素早く動き市民と混在しているため、空爆は困難な場合がある。空からのターゲットがどれほど精密であるかを理解することは一般的には困難である為、大多数の共和党および彼等の支持者は本格的なBOG派遣を提案している。サンダースは、ISISを打破するためには米国だけが多くの軍隊を派遣することより、連合国およびイスラム諸国を含む国際社会の協力による強い作戦が重要であると主張している。クリントンは米国の軍隊派遣はISISの思うつぼになると指摘した。この重要な戦略に関し、民主党はほぼ同意し一致している点で、民主党候補者の討論会は多数すぎる共和党候補者の討論会と明白な違いがある。

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