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中米の政治的混沌および暴力犯罪の恐怖から逃亡し、米国に不法入国する同伴者のいない子供達の数は2014年にはピークに達した。そのような子供達は公正な裁判を受ける機会を与えられたが、クリスマス前、移民税関執行(ICE)と国土安全保障省(DHS)は裁判を通して長期および永続的滞在を認可されなかった子供および家族の強制送還に踏み切る計画を公表した。この発表を受けて、教会は強制送還の対象者の為にドアを開放する方針があることを公表した。中米の紛争から逃れて入国する難民に避難所を提供する政治的および宗教的キャンペーンの歴史的背景を無視することはできない。

オバマ政権は、国境で逮捕した不法移民者を即時強制送還することはない為、拘留センターに拘留させる割合は圧倒的に増加したと言われている。米国一部の都市では、自国のホームレスや食糧不足の家族さえ満足に救済していない現状であるため、現行の政治体制下で、難民を無制限に受け入れることは現実的には不可能である。そのような状況下で、オバマ政権は中米から不法入国した家族を来年1月から送還すると発表した。その後、全米10以上の都市で、長老派教会や他幾つかの宗教リーダーは不法移民の受け入れを公表した。これは歴史的な避難所運動のリバイバルであると言われている。

第二次世界大戦以降の近代史において、冷戦時代という歴史的背景があった1980年代、前代未聞の難民による移動が始まった。最初に宗教団体による避難所運動が開始され、全米多数の教会は中米からの難民に非難所や食物を提供した。39代民主党大統領であったジミー.カーターは任期最後の時期1980年3月、以前制定された移民国籍法および難民法を改正した難民法に署名し、1981年4月に施行された。これは急速に増える難民の現実的問題に対処するため一般的移民法を改正した最初の包括的な難民政策の法律である。1980年、中米、特にグアタマラ、エルサルバドル、ニカラグアで内戦の脅威と経済荒廃が要因による大規模な難民の移動が始まった。この難民法は米国の政治亡命者の適応資格を拡大することを目的とした人道的法律であり、また国連条約や難民の地位に関する国際基準に準拠する法律であった。

独裁者が腐敗した軍事指導者に支持されていたグアタマラ及びエルサルバドルでは長年内戦が続いた。ニカラグアでは、1960 年代から1970年代にソモサ一族の独裁政治に反対する紛争、1978年から1979年まではサンダニスタ民族解放戦線(FSLN)が先導する独裁者を追放するサンダニスタ革命運動があった。また、1981年から1990年まではFSLN対コントラとのコントラ戦争があり、多くの市民は内戦のため家を放棄し、国外に逃亡した。中米からの莫大な量の難民移動問題は論争的であり、1981年1月40代大統領として就任したロナルド.レーガンは、中米の内戦は冷戦時代の脅威であると判断した。レーガン政権の保守派議会メンバー、国務省、移民帰化サービス(INS)及び連邦捜査局(FBI)に対して、リバラル派の議員、宗教活動家、人権団体、難民グループとの間でこれらの国からの難民受け入れに関する意見が対立した。この時代は冷戦のピークであり、レーガン政権は1980年に最も熾烈な共産党包囲を外交政策の最優先課題として掲げていた為、中米からの難民に反対した。この論争的な問題に関して公的討論が実施され、前例のない圧倒的数のアメリカ人は宗教団体を通して積極的に討論に参加した。

1980年から1990年までに約100万人の難民がメキシコの国境を超える為移動したと言われている。これらの不法入国による難民はニューヨーク、ワシントンD.C、サンフランシスコ、ロスアンゼルス、シカゴのような大都会では検波されなかった。レーガン政権は人権を無視しているこれらの中米国政府の援助を禁止し、これらの国の難民受け入れを拒否した。従って、INSおよびFBI 当局はこれらの国からの政治亡命申請を弱体化する活動に専念した。窮状にある中米の難民状況は1980年代初期に世間に注目されるようになり、法曹界および宗教組織は、レーガン政権の事実上の亡命否定政策に反対する活動を展開した。議会の幾人かのメンバーは、政治亡命者の受け入れを提案し、中米からの不法移民に対する強制送還を阻止するための法案を制定する努力をしたが、通過することはなかった。そのような1980年代及び1990年代の時代背景に台頭したのがプロテスタントおよびカトリック教会のグループや宗教組織ネットワークによる避難所運動であり、米国政府が亡命を否定していた中米の難民を援助する超教派の努力が展開された。

この時代の歴史的一部に焦点をあてた場合、この時が歴史上初めての本格的な避難所運動と言えるかもしれない。宗教団体は既に100年以上前から難民、移民、ホームレスに食物、ベッド及び衛生管理などを提供している。また、難民問題は恒久的な問題であり、避難所運動はほぼ毎年どこかで展開されている為、特に珍しいことではない。24 日ICEとDHSは裁判所が長期および永続的滞在を認可しなかったエルサルバドル及びホンダラスからの子供および家族の強制送還計画を発表し、2014年9月末までに同年約235,000人を強制送還したと公表した。26日共和党大統領候補者の最前線に立つドナルド.トランプはオバマ政権の計画を賞賛した。移民保護団体や一部の民主党はこの決定を批判しているが、この発表に反応した宗教団体は避難所を提供すると公表した為、30年前の避難所運動が再現したと言われている。特に暴力や殺人が横行し、生命の危険が懸念される治安の悪い国に送り返すことは残酷であるとして、多数の教会が手を差し伸べた為強制送還を免れる人々も存在するが、全米で幾つの教会がこの運動に参加し、何人の難民を救えるのか正確な数値は不明である。

 

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