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先月ヒラリー.クリントンは、ドナルド.トランプがイスラム国(ISIS、ISIL )最大のリクルーターになっていると述べ、トランプのイスラム教徒入国禁止発言はジハード戦士募集のビデオによるプロパガンダで利用されていると強烈に批判した。当時、そのようなビデオは公開されていなかった為、トランプはヒラリー.クリントンが嘘つきであるとして、彼女を攻撃し始めた。しかし、ISISの親組織アルカイダはトランプの映像を含む、アフリカン.アメリカン(黒人)をターゲットにしたジハード戦士を募集するためのビデオを公開した事が新年早々明白になった。そのビデオは米国が歴史的に人種差別の国であることを強調した。

シャバブと呼ばれるアルカイダ.グループは、ジハデストの募集にトランプのイスラム教徒差別発言を利用するためビデオを公開した。ニューヨーク.タイムスによると、アルカイダとISISは過激派のイスラム教徒をリクルートする事を競っているライバルである。一連のビデオの一部として公開されたビデオは、ソマリアでの紛争で死亡したミネソタおよびカナダ出身のアメリカ系ソマリア人に捧げる 51分間の収録内容である。ジハード主義プロパガンダを研究しているサイト.インテリジェンス.グループが認証したビデオは黒人社会をターゲットにしていると分析されている。黒人に対する警察の残虐行為、人種差別などを含めて黒人に「歴史的正義」をアピールし、国内外でジハードに従事することを奨励している。その他の内容はマルコムX、身元不明の白人至上主義者、白人警察官、警察の残虐行為に抗議している黒人、及び刑務所の黒人によるスピーチが録画され、ビデオには「再びアメリカを偉大にする」とのキャンペーン.スローガンであるポスターの前面に描写されたトランプの映像が含まれている。

更に、2011年アメリカの無人機による空爆攻撃で死亡したアルカイダ関連の米国人アンワル.アウラキが話している映像は、米国が「イスラムの悪性的憎悪によって支配されている」と述べ、「貴方の地平線に集まった不吉な雲がある」とアメリカのイスラム教徒に警告している。また、アメリカは奴隷制度、人種分離、リンチ、K.K.Kの歴史があり、将来は「宗教的差別と集中収容所の土地になる」と彼の生存中に録画された映像で語っている。アウラキはこの51分のビデオに数回登場し「西洋は最終的にイスラム教徒市民に対抗するようになる」と予告し、カメラに向かって指を差し、「貴方は米国を去るかまたは戦うかのいずれかである」と宣言した。米国を「去ってイスラム教徒の中で生きるか、またはアッラーの大義の為に戦って義務を果たしたニダル.ハサンと他の例に従う」かいずれかの二つの選択しかないことを強調した。

ニダル.マリク.ハサンは2009年11月、死者13人 及び30人以上が負傷したテキサス州フォート.フッドで銃乱射による単独攻撃を展開した米国陸軍精神科医であった。この攻撃前、アウラキが説教していたバージニア州のモスク(イスラム教礼拝堂)に出席し、ハサンは彼とメッセージを交換した。ISISはアルカイダから分離したことは既に知られているが、ISISはシリア紛争での戦略の違いを理由に親組織であるアルカイダから独立したグループである。現在アルカイダとISISは、いずれも過激派のイスラム教徒の募集および彼等に影響を与えることで競争を続け、その競争は「世界で壮大な暴力行為」を成就してきた。分析者は「パリ及びマリでの最近のテロ攻撃は、一部一つのグループが他のグループを凌ぐための欲望に駆られている為である」と説明している。

恐らくクリントンは元国務長官として、諜報部からの情報を直接または間接的に入手することが可能であり、ビデオが存在することを知っていた為、12月19日三回目の民主党討論会でトランプのイスラム教徒差別発言を警告したとの印象がある。今回公開されたビデオはその連載録画の一部である。2011年に死亡しているアウラキはビデオで米国奴隷の歴史や黒人に対する警察の虐待および差別を強調した。またトランプの映像を追加し、イスラム教徒に対する大統領候補者の差別発言も米国を攻撃するプロパガンダとして利用されている。これはイスラム系黒人またはイスラム系アメリカ人を意識したビデオである。明らかに、人種差別傾向のある米国社会で影響を受けやすい少数派は、アルカイダおよびISISのターゲットになりやすいことを示唆している。従って、トランプのイスラム教徒差別発言は過激派のジハード拡大を競争しているアルカイダとISISの格好の餌になると警告したクリントンの発言はほぼ的確である。

しかし、イスラム教徒が関与した銃乱射事件およびテロ攻撃は2001年 9 月 11日の同時多発以来 、被害者の規模に関係なく85回以上発生しているリストを公表している無名のサイトもある。その信憑性は不明であるが、イスラム教徒が襲撃に関与するテロ事件が少なくとも年に数回発生した場合、イスラム教徒に対する警戒や恐怖が芽生える風潮があることを否定できない。その脅威を煽るトランプの支持率が上がることは、それが米国社会の一側面に潜んでいることを証明している。キリスト教社会でありながら、多様民族で構成される米国社会には宗教および人種的に異質なグループに対する偏見や差別があることも歴然とした社会的傾向である。

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