アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

テッド.クルーズは今年に入り複数の世論調査で、2月最初の投票が行なわれるアイオワでの支持率がドナルド.トランプをリードしている。それも一部の理由であるが、トランプを含む他の共和党候補者および共和党はクルーズの米国市民権の疑問を提起し始めた。憲法を起草した建国の父は「自然に生まれた市民」が大統領および副大統領に選出されると規定したが、この表現の定義を明白にしていない。また、市民権に関するクルーズの複雑な生い立ちに幾つかの疑問が提起されているため、クルーズは米国の大統領として奉仕する資格があるかという疑問が提起されている。彼の市民権の疑問に挑戦しているライバルはトランプだけでなく、民主党も注目している為、引き続きクルーズのプレッシャーの要因になっている。

クルーズは米国市民であるアメリカ人女性とカナダ移民との間に生まれたことで知られている。米国の憲法は両親のいずれかが米国市民である場合、その両親から生まれた子供は「自然に生まれた市民」として米国人である事を規定している。しかし、米国市民である彼の母親はカナダの市民権を得た可能性があり、カナダ生まれのクルーズは最近まで二重資格を保持していた為、彼の市民権に疑いが提起されている。彼女の母エレノアはクルーズが生まれる前にカナダに移住し、クルーズは1970年12月22日カナダのカルガリーで生まれた。エレノアは米国で生まれ、ライス大学の学生だった時、1950年代後半に米国に入国したキューバ移民である彼の父ラファエルに出会った。クルーズの両親は米国で結婚後ある時点で別れたが、ラファエルは新興宗教に興味を持ち、クルーズは両親と再度一緒に暮らすようになった。

クルーズはヒューストン第二バプティスト高校を卒業後プリンストン大学に通い、討論能力で受賞歴がある。また、宗教的保守派として知られているロバート.ジョージ教授との出会いに深い影響を受けた。1992年プリンストン大学卒業後、ハーバード大学法学部で教育を続けた後、当時の最高裁判事ウィリアム.リンクィストを含む数人の判事の法律事務員として働いた。2012年ティーパーティ活動家に支持され、米国上院議員として選出された。2013年10月オバマケアの融資停止運動を展開し、政府閉鎖の主導者として全国的に知られるようになった。クルーズは昨年3月23日、2016年大統領選の立候補を宣言した最初の共和党候補者である。

彼の母はクルーズが生まれる数年前にカナダに移住しているため、1970年代初期にはカナダの市民として投票する資格があったと伝えられている。つまり、彼の母はカナダに移住した際、カナダの市民権の申請を行いカナダの市民権を受理した為、その時米国市民権を放棄したかどうかが疑問視されている。米国は通常、特別の例外を除き二重国籍の保持は認められていないが、クルーズは長い間カナダと米国の二重国籍を保持していた為、2014年にカナダの国籍を放棄した事を公表した。カナダの国籍を放棄すると、自動的に米国市民権の保持のみになるが、なぜ長期的に二重国籍保持していたのか、なぜこの事務処理に時間がかかったのか疑問視されている。また、クルーズを米国市民として保持する為には、クルーズの母親はあまりにも長く米国を離れすぎたのではないかとの疑問も提起されている。

建国の父らは米国憲法を起草する際「自然に生まれた市民」の意味を詳細に定義しなかった為、現在もこれが何を意味しているのか、明確に理解している専門家はいないと言われている。クルーズの米国市民権が疑問視されている現在、最高裁が明白にする時であると指摘する声が高まっている。米国には両親のどちらかがアメリカ市民であった場合、その間に生まれた子供は米国の市民権を取得するが、この市民権には2つのタイプがある。一つは「自然に生まれた市民」と、もう一つは帰化市民である。クルーズの場合、詳細に公表されていない幾つかの複雑な家族歴があるため、最高裁に解釈を求める声が高くなっている。

また、クルーズは複数の最新世論調査でいずれもトランプの支持率を超過した。8日に公表されたフォックス.ニュースの世論調査でアイオワでの支持率はトランプの23%に対して、クルーズは27%を獲得した。また、10日に公表されたマリス世論調査でも、アイオワ州でトランプの24%に対して28%である。アイオワでトランプより評価が高くなっているクルーズは、今後もトップ.ランナーをトランプと競う可能性がある。従って、トランプを含む共和党候補者や他の共和党は彼が最高裁の判定を求めることを奨励している。一ヶ月前、フロリダ州の米国民主党下院議員アラン.グレイソンはクルーズが共和党の指名を獲得した場合、市民権の疑惑で告訴すると宣言した。アリゾナ州の米国上院古参議員であるジョン.マケイン及びケンタッキー州の米国上院議員で大統領候補者のランド.ポールは、いずれも正確な法的解釈が必要であると指摘している。

クルーズの市民権問題で法的に挑戦する可能性がある人物はトランプかもしれないが、最高裁に聴聞を要請することは困難である。何故なら、原告側は個人的な損害を受けている必要がある。元下院議長ジョン.ベイナーは、歴史的に大統領令の行使頻度がかなり低いオバマ大統領が頻繁に大統領令を行使するとして告訴したことがある。しかし、個人的損害を受けていない事に加えて、政治的課題を法廷で争うことは滅多にないとして過去に却下された事例がある。従って、多くの政敵がクルーズの市民権を疑っているだけの理由で、最高裁はその要請を受ける可能性はほとんどない。実際に告訴可能な状況は、クルーズが大統領に就任した後、彼の政権が推進する政策により、一部または多数の国民が被害を被った場合、国民はその時初めて彼を告訴することが可能である。例えば、クルーズは大統領の最初の仕事として、オバマケアを撤廃すると主張しているが、そのような事態が発生した場合、数千人の国民が医療保険を失うため、彼が米国市民であるかどうかの疑惑に加えて、医療保険を失う損害の為、彼を告訴するという非常に皮肉な事態になる事もあり得る。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。