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テキサス州の滞在地で死亡した最高裁判事アントニン.スカリアの空席を埋めるオバマ大統領の新判事指名についての論争が熾烈になっている。現在残っている大統領選の共和党候補者は 6人であるが、ほぼ全員オバマ氏による指名に反対し、基本的に上院議会の多数派リーダーであるミッチ.マコーネルの決定を支持している。しかし、ホワイトハウスは如何なる妨害があろうと、大統領は数週間以内にスカリア判事の後継者を指名する意志があると表明している。共和党の熾烈な反対の理由と火花を散らす論争の主要点は何か?

ニューハンプシャーで開催された9日の予備戦後、クリス.クリスティ及びカーリー.フィォリーナはキャンペーンから辞退を宣言したため、現在残っている候補者はドナルド.トランプ、テッド.クルーズ、マルコ.ルビオ、ジェブ.ブッシュ、ジョン.ケイシック、ベン.カーソンの6人である。13日CBSの主催により、サウス.キャロライナ州グリーンヴィルで開催された共和党討論会では、スカリア判事の後継者指名についての質問が提起された。 6人はいずれも基本的にオバマ大統領の指名と確定に反対する意向を表明した為、マコーネルの決定を支持したことになる。トランプは「我々が好きであろうと嫌いであろうと、オバマは指名するのでマコーネルが手続きを遅らせるべきだ」と主張した。クルーズは、最高裁は既に中絶および宗教の自由など重要な判例を却下した為、裁判所は原則的に憲法に忠実な判事を選定する必要があると主張し「私が大統領に選出された場合、そうします」と語った。ケイシック及びブッシュは次の大統領が後継者を選ぶべきであるとのほぼ同じ意見を表明した。ルビオは、スカリアは歴史上偉大な保守派の判事だったと述べ、公聴会の開催を望んでいないことを示唆した。ブッシュは15日NBCのインタビューで「私は上院議員ではないので、ミッチ.マコーネル次第です。選挙年に指名するべきではありません」と述べ、再度マコーネルの決定を尊重する姿勢を明白にした。

一方ホワイトハウスは14日、上院議会が休暇から戻る22日以降、大統領は空白を埋める義務を果たす為、指名する予定であると公表し、上院は憲法上の責任を考慮することを期待すると述べた。既に、2名の上院議員は公式にマコーネルの決定を支持する声明を発表した。しかし、全ての共和党上院議員がオバマ大統領の後継者指名に反対している訳ではない。事実オバマ氏の就任中、 2人の最高裁判事が確定した。 2009年 5月に指名を受け8月から最高裁に就任したリベラル判事ソニア.ソトマイヨァ、及び2010 年 5 月に指名され 8月から最高裁判事として奉仕しているエレナ.ケーガンはいずれもオバマ氏の最初の任期中に任命された。穏健派の上院議員、特に無党派州の共和党議員は上院としての憲法上の義務を果たすことが彼らの仕事であると述べている。その代弁者は数ヶ月前まで共和党候補者の一人であったリンジィ.グレイアムであり、党派に関係なく大統領の判事指名に上院は義務を果たすべきであると述べている。

多数の共和党がオバマ氏の指名を妨害しようと決意しているその理由は幾つかある。例えば、⑴ 最高裁は終身奉仕制である為、政治的利害に基づき党派的紛争に発展することは必然である。⑵ スカリア判事は約30年間厳格な保守派の基盤を構築した歴史がある為、共和党にとってそれを失うことは悲痛である。⑶ 最高裁は長年共和党多数派であった為、リベラル判事が多数派になることを受け入れられない。⑷ 保守派の有権者および寄付者に対する義理があることなどが上げられる。従って、共和党は表面的な理由として、大統領選の年には最高裁を指名しない歴史があると主張しているが、それは事実ではない。実際には大統領選の年に任命された最高裁判事は複数存在する。最近の例として、現役保守派アンソニー.ケネディは1987年11月共和党大統領のロナルド.レーガンに指名され1988年2月に最高裁判事に就任した。1988 年はジェブ.ブッシュの父であるG.ハーバート.ウォーカ.ブッシュが当選した年であり、選挙年であると言える。ケネディ判事はレーガンと同様穏健派の保守派であるが、時には無党派の役割を果たし、リベラル派4人の判事の意見に参加する場合もある。

最高裁判事の歴史がどうであれ、スカリア判事の空席を巡る紛争は恐らく今後最も緊迫する状況になるかもしれない。多数の共和党は、上院がオバマ氏の判事指名に協力した場合、保守派の有権者は失望し、11月の総選挙で反撃する可能性もあるため、新たに選出された大統領が指名するべきだと主張している。一方、上院司法委員会上層部のパトリック.リーヒィは、共和党リーダーが公聴会の開催を拒否した場合、上院が支配権を失うことは必然であると述べている。また、複数の民主党議員は、上院共和党が憲法上の責任を放棄した場合、無党派州の有権者に批判される要因になるため、共和党が上院で多数派を維持したいのであれば、マコーネルは考え直すべきであると主張している。ハーバード大学法学部の元教授であったエリザベス.ウォーレンは憲法、憲法と常に言っている共和党が、その憲法の義務を放棄することは中身のない表面的なものであることを証明する事になり、単なる「無駄話」であると鋭く批判した。

いずれにしても、党派的紛争を避ける賢い方法は大統領が特定の判事を指名した後、上院は公聴会と投票のプロセスを実施し、反対している議員は全て投票で拒否する正当な方法を選択することである。なぜなら、クルーズは既にフィリバスター(議事妨害)を遂行すると宣言しているため民主党が60票を獲得することはさほど簡単ではない。党派の分裂を益々深める事態を懸念する穏健派は、オバマ氏が右寄りの判事で総体的に上院議会に支持される記録のある判事を選択することを提案している。そのリストに挙っている判事は多数存在すると言われている。いずれにしても頑な態度で指名を阻止する妨害は「過激な前代未聞の行動」として上院議会の評判を傷つける結果になりかねない為、マコーネルは特に無党派州で大統領選の影響が出ることも考慮するべきであると指摘されている。共和党候補者の誰かが11月に選出されるという保証がない現実下で、大統領選が終了するまで待ち、新大統領にスカリア判事の後継者を指名させると主張している多数の共和党は、ヒラリー.クリントンまたはバーニー.サンダースが当選した場合を想定していないようである。クリントンが就任し、シカゴ大学法学部で憲法の元教授であったバラク.オバマを指名するという皮肉な状況になることも冗談ではすまなくなるかもしれない。

 

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