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米国では2015年に憎悪グループが増大した事が報告された。致命的な過激派の暴力および米国で活動している過激派組織の数は拡大した。この報告は、憎悪グループが増大する要因は人口動態的、社会的および政治的変化に対する恐れと怒りであることを示唆した。また、複数の大統領候補者の中にはそのような国民の怒りと恐れを誘発する人達がいることが2015年の特徴であると指摘している。米国で過激な憎悪グループの数は歴史的に増減を繰り返し、絶滅することはないが、それはなぜだろうか?

17日の南部貧困法律センター(SPLC)の年間調査報告によると、反政府の愛国者グループ、武装民兵、陰謀説に触発された武装グループを含む憎悪グループは2014年の同じ期間に比較して2015年には14%増加した。憎悪グループは2014年の784から2015年には892に増加し、反政府愛国者グループは2014年の874から998に増加した。昨年複数発生した憎悪および過激グループによる致命的な大量殺戮事件もこれらのカテゴリーに含まれている。例えば、昨年6月にはサウス.キャロライナ州チャールストンの黒人教会を襲撃した白人至上主義者によって9人が殺害された。12月コロラド州コロラド.スプリングスで中絶反対の過激派は連邦政府の家族計画クリニックとして知られるプランズ.ペーレンフッズを襲撃し3人を殺害した。その数日後、カリフォルニア州サンバナディーノでISISに触発されたイスラム教徒過激派のカップルは致命的なテロ攻撃により14人を殺害した。

この報告はSPLCの調査ジャーナルのインテリジェンス.リポートに基づくものである。その主要点は ⑴ 憎悪および反政府愛国者グループの数は昨年成長し、テロや過激な企てが増加した。⑵ ISISによるパリでのテロ攻撃後、反イスラム教徒に対する憎悪ムードが台頭し、その後サンバナディーノでの襲撃、ドナルド.トランプの反イスラム発言が世界的に注目された。⑶ 人種差別グループのリーダーは彼らのイデオロギーを広めるため為、益々情報をオンラインで送信している。⑷ 恐怖と憎悪組織であるモンタナ州の反政府主権市民は幾つか生存している地元のグループを支配するため戦っている。⑸ 元人種差別主義者のメンバーは「幻滅した米国の白人至上主義過激派」を標的にし、その勢いを上げている。

⑹ 昨年、大統領候補者であるトランプは特定の人種グループまたは移民(メキシコ人、イスラム教徒)に対する差別発言を平然と公表した。トランプは、憎悪組織である安全保障政策センター(CSP)の記事である「アメリカのイスラム教徒はISISメンバーのような暴力的なジハード.グループを支持している」との虚偽の情報を引用した。⑺ CSPは今年報告された憎悪グループとして分類されている二つの反イスラム.グループの一つである。別の一つは「アメリカの為に行動する」ことを意味するACT組織である。⑻ 報告された合計892のリストによる憎悪グループはネオナチ(94): 白人民族主義(95): ネオ南軍(35): 人種差別者のスキン.ヘッド :(95)クー.クラックス.クラン又はK.K.K(190): 黒人独立グループ(180): LGBTの人々をターゲットにする憎悪グループ、イスラム教徒や移民の嫌悪グループ、人種差別的な音楽又はホロコーストを否定するプロパガンダを作成する専門グループなどを含む一般的憎悪グループ(203)である。

SPLCは米国で憎悪または嫌悪の感情を平然と表明する政治家及び影で過激な行動を取る個人またはグループが台頭している要因は、アメリカでの近年の社会的および政治的変化に対する恐れと怒りであると指摘している。例えば、少数派人種が増加し、白人が減少している「人口動態的変化」、米国最高裁による「同性結婚の合法化」、「黒人の生命も大事である」との運動、「イスラム教徒のテロリストによる残虐行為、白人、労働者階級アメリカ人の経済的圧力」などである。また、昨年パリおよびサンバナディーノで発生したジハード主義虐殺の反動は「主要な大統領候補者がアメリカのイスラム教徒に向けた甲高い攻撃をきっかけに暴力と憎悪の波紋」が広がったと指摘している。主な「政治家によるこれらのメッセージは、頻繁に右翼マスコミによって増幅され、1968年の政治的混乱以来、比類がないと思われる分極化と怒りの感情を全米で増加させた」と述べている。今年早々、オレゴン州バーンズ近辺で連邦野生生物避難所が武装民兵に占領された事件で、米国過激派の脅威はそれが改善する前に悪化する可能性が示唆されていると指摘した。

SPLC は、米国の憎悪グループの数は過去一時期に減少した事もあったが、2015年に増加したと報告した。組織数は報告されているが、各グループに何人のメンバーが存在するのか詳細な人数は不明である。いずれにしても、米国を含むグローバル的規模で発生したISIS関連のテロリズムに対する複数の大統領候補者による過剰な反応は、人口動態的、社会的、および政治的変化に対する国民の恐怖と怒りを煽動する一因にもなったことを指摘した。政治家の言動は国民、特に過激な反政府、潜在的憎悪者のグループに多大な影響を与えることを示唆している。政治家も感情のある人間である為、彼らが望まない変化に対する恐れや怒りを否定することは不可能であるが、米国のこの傾向は、他のどの国より異質である。その理由は米国の宗教的、人種的、民族的土台は、他の多数の国とは異なるからである。例えば、単一民族で、多数の宗教を習慣的に使いわけ、キリスト教のような国教が存在しない日本のような国で生まれ育った人々には理解しにくい根強い思想や文化が生まれる歴史及び背景があるからである。過激的な憎悪グループの数は米国総人口の一握りに過ぎないが、その特殊なグループは栄枯盛衰を繰り返しながら、永遠に絶滅することはありえない。1865年12月初めて結成された歴史的に最も古い白人至上主義グループK.K.Kが今日も存続している事実が何よりもその事を証明している。

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