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NRA の支持を受けたトランプ

画期的な銃法改正の投票は20日午後5時半から行なわれたが、昨夜の投票結果は全て失敗に終った。2008年の最高裁の判定は、憲法修正第二条が広範な銃規制法を妨げることはない事を示唆しているにも関わらず、特に共和党上院議員らは民主党の提案による意義のある常識的な銃法を拒否した。従って、米国上院議会は引き続きテロリストが銃を合法的に入手し、将来の潜在的な大量殺戮の可能性を黙認することを示唆する結果となった。この投票の背後に強力な銃ロビー組織である全米ライフル協会(NRA)の著しい影響力がある。この現実は米国の恥であるが、なぜ彼らは人命より銃を保護するのか?

米国最高裁は2008年6月26日のコロンビア地区対ヘラーの裁判に関する判定で、憲法修正法第二条の保護の権利は無限ではないと判定した。つまり、どのような銃器でもどのような目的でも銃器を携帯し保持することに制限がないとは言っていないと述べている。従って、犯罪者および精神疾患者による銃器保持の禁止、および学校や政府関連の建物で所持することを禁止すること、及び銃器の販売に条件を課すことは憲法修正法第二条に違反するものではないと述べている。全米で10未満の州が厳しい銃規制を制定している事実が何よりもこれを裏付けている。また、多数州の下級裁判所は州政府が制定している広範な銃規制を支持している。2008年に銃規制は合法的であるとする推定的原理に基づき、米国最高裁は20日州の判定を維持する方針で、憲法を都合良く解釈し、彼等の州で制定する銃規制を不法であると主張した銃保持権利者らの訴状を却下した。

昨夜上院で全ての法案が通過しなかった為、下院議会でも草案していた独自の法案は静かに葬られる可能性もあるが、今後11月の総選挙まで両党はこの法案の失敗を攻撃または防衛する論争を展開するはずである。85%以上の国民はバックグランド.チェック及びウォッチ.リストに関連する銃改正法を支持している為、民主党は議席を失うことはないが、民主党の重要な法案に反対票を投じた大半の共和党は民主党からの攻撃の対象になる。上院民主党のエリザベス.ウォーレンは今日、上院共和党は「ISISに銃を販売することを決定した」とツイートした。 4人の起草者による4法案に対する投票結果は下記の通りである。

提案者 関連法案 賛成票 反対票
マフィー(民) バックグランド.チェック 44 56
フェインスタイン(民) ウォッチ.リスト&司法省 47 53
コーニン(共) ウォッチ.リスト&警告 53 47
グラスリー(共) 精神疾患 53 47

米国で銃の暴力は増加しているにも関わらず、上院議員特に共和党は今後の国内テロ対策に何もしないことを選択した。現在、共和党穏健派のスーザン.コリンは両党のグループと共に妥協案に取り組んでいるが、昨夜の結果は、その妥協案がテーブルに上がるかどうかさえ不明になった。このような状況の背後に強力な銃ロビー組織であるNRAの多大な影響力がある。2010年くらいまで、NRAは両党の候補者に選挙資金を寄付していたが、現在共和党のみであり、むしろ民主党をターゲットにしている。2010年には下院議会65人の民主党候補者に35万ドルを寄付した。2014年までには民主党に対するほぼ全ての寄付は消滅し、わずか12人の民主党のキャンペーンに38,000ドルを提供しただけである。その後民主党を放棄し、現在共和党候補者の選挙だけを援助している。2010年から2016年までの間にNRAは民主党を打破するための努力において3,340万ドルを使用した。ヒラリー.クリントンはNRAからは選挙寄付を受けていない為、NRAに対抗する時であると宣言するほど、恐れていない。NRAは既にクリントンに対抗する為23,000ドルを使った。

現在、多数の共和党はこの強力な銃ロビー組織に依存している為、彼等は銃を保護する義理がある。なぜなら「NRAは現在共和党の組織」であり、2014年の中間選挙では民主党には一切寄付しなかったが、共和党には1,280万ドルを寄付した。大統領選まで約5ヶ月となった現在、NRAは16日、ケンタッキー州ルイビルで開催された年次大会で、共和党の最も著名な人物と「密接な絆」があることを明白にした。最近、NRAの支持と寄付を受けたドナルド.トランプ、上院共和党リーダーのミッチ.マコーネル、下院議長ポール.ライアン、最近まで大統領選の共和党候補者であったマルコ.ルビオ、ランド.ポールなど共和党の最も顕著な議員はその大会でのスピーカーであったが、民主党の議員は含まれていなかった。政治資金に関する大手シンクタンクのキャンペーン.ファイナンス研究所CEOのマイケル.マルビンは「NRAは今、共和党全国党連立の核として動作している」と述べ、以前「力点を維持するため両党に寄付してきたが、本質的に民主党をゼロにしました」と語った。

昨夜の投票でも、共和党はNRAの強力な圧力を受けていた。特に再選に直面する議員らは賛成票に投じることで、NRAの仕返しを恐れたからである。上院議会HPの投票セクションには姓氏名を除く性別名で誰が賛成票または反対票に投じたかを明記している為、隠すことは不可能である。彼らは、NRAに対する恐れから人命を保護する事より銃の生産増加を維持することを選択した。憲法修正第二条の主張は表面的なものであり、ほぼ不誠実な口実である。しかし、国民の意向よりこの銃ロビーを保護することを選択した議員らは総選挙でそれなりのつけを払うことになるはずである。驚くことに、銃規制の支持は圧倒的多数の米国人が支持している。20日に公表されたCNNの世論調査によると、92%の国民は拡大したバックグランド.チェックを支持し、87%は犯罪者および精神疾患者の銃購入禁止を支持し、85%は連邦政府のウォッチ.リスト上の人物の銃購入禁止を支持している。また、90%の共和党はテロリスト.ウォッチ.リストまたは飛行禁止の人々が銃にアクセスすることを防ぐことを支持し、これは85%の民主党より高い。通過には60票が必要であった昨夜の投票結果は予測された通り、米国民の希望を反映することはなかった。常識的な銃規制法案の制定は両院で民主党が多数派にならない限り、達成不可能であることを示唆した。ホワイトハウスは今日「銃の暴力に麻痺することはできない」とコメントしたが、現在民主党は誰ひとり NRAに義理はないことが何よりの救いである。

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