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米国最高裁は昨日、テキサス州で2013年に制定された最も抑圧的な中絶禁止法を非合法であると判定し、この州の法律を却下した。当時、考案された中絶禁止法案の投票を疎外するため長時間フィリバスターを続けた女性議員の努力は3年後に報われた。テキサスと同様の法律を制定していた州の法律にも影響がある為、宗教的理由に基づくプロライフの活動家を除く全てのプロチョイス(中絶権利擁護)を重視する女性にとって1992年以来の大勝利である。テキサス州に対する最高裁の画期的な判決は何を意味している?

2015年6月29日、最高裁は2013年7月に制定されたテキサス州の中絶禁止法の施行を一時停止していた。27日、最高裁は同州の二つの条項が含まれる中絶禁止法案を過度または「不当な負担」を強いるとして却下した。昨年と同様、穏健派共和党のアンソニー.ケネディ判事はリベラル派の4人に同意した為、1992年以来最も画期的な5対3の判定となった。当時の知事リック.ペリーが署名した法案は主に二つの条項で構成されている。その一つは中絶を行なう医療関係者は地元の病院から許可を得るか又は中絶クリニックの医師は患者をその病院で中絶させる「病院の特権」規定を定めていた。二つ目は中絶を行なうクリニックは「手術センターの基準」に適合する事を求めていた。これは建物の構造的な改築が必要になるため、総体的コストは莫大であり、ほとんどの中絶クリニックは閉鎖に追い込まれていた。

女性の健康を保護する為であると主張し、中絶を困難にしていたテキサス州の法律は論争的であった。2013年7月1日、女性の権利を保護するため同州の女性上院議員ウエンディ.ディビスは、州上院議会で特定の中絶禁止法案に反対し13時間劇的なフィリバスターを実施した。彼女のフィリバスターは一時的な勝利を得たものの、同州議会は「病院の特権」及び「手術センターの基準」の二つの論争的な法案を制定した。昨日、最高裁がこれらのいずれも非合憲であると判定した直後、ディビスはMSNBCニュースのインタビューで「非常に安堵しました」と語った。 ペリーの後継者であるテキサス州現役知事グレッグ.アボットは法案の目的について、女性の最大の健康および安全基準を明確にしながら「無垢な生命」を保護する為であると語った。しかし、この法律が女性の健康の保護または向上に役立ったとの証拠は認識されていない。

1973年、米国最高裁はロー対ウェイドの歴史的判定でプロチョイスを保護する決定を下したが、各州は独自の法案を制定することが可能である。従って、主に宗教の権利を主張する保守州で中絶を禁止する法案を制定しているが、27日の最高裁の判定はテキサス州と同様の法律を制定している州にも影響を与える可能性がある。カイザー.ファミリー財団は昨日ツイッターに2つの文書を投稿した。その一つは、中絶クリニックは「手術センターの基準」に適合することを要求する法律を24州が制定したと述べている。別のツイートでは11州が「病院の特権」規定を要求した法律を制定していると報告した。最高裁の劇的な判定はこの両方の規定を却下した為、特にルイジアナ、ミシシッピー、ウィスコンシンなどを含む多数の州はかなり影響を受けると予測されている。テキサス州では約3年間閉鎖していたクリニックの一部は再開業の準備を開始したと報告されている。

最高裁の主要な判定は、政治家が中絶クリニックに対して非現実的な要求をすることで永遠にクリニックを閉鎖することは不可能であることを示唆した。テキサス州の目的は宗教的動機に基づく反中絶の主張である。24州はクリニックを閉鎖に追い込む結果になった建物の構造的変化を要求していた為、「女性の健康」を保護するためであるとの主張が表面的なものであり、実際には完全に中絶を廃止することを目的にしていた事を示唆している。宗教の権利を主張し、個人の選択を抑圧する狂気じみたプロライフ活動家の影響は、時には暴力的または過激であることを思わせる幾つかの事例が知られている。

最も重要な注目点として、1992年ペンシルベニア州の複数の法規定の合憲性に挑戦したプランズ.ペーレンフッズ対ケーシーの判例で、最高裁は中絶の憲法上の権利を再確認し、1973年のロー対ウェイド判決の意義を再度明確にした。この判定で、州は胎児生存能力(子宮外で生命を維持することが可能となる)時点前の中絶を禁止することはできない事、および母親の生命や健康維持を促進する中絶を禁止することは出来ないと判定した。27日の最高裁の判定はこの1992年の判定とのバランスを保持したものであり、道義的に無理な条件に基づく法案を制定する州に対する挑戦でもある。つまり、中絶クリニックを不法に弾圧していたテキサス州の法律に厳然たる判定を下した最高裁は、歴史的に続いている論争的な中絶問題に関して、基本的に43年前のロー対ウェイド判決の原理を見失っていない事を示唆した為、著しく画期的である。

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