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インディアナ州のミドルタウンと呼ばれるマンシーで世界的な自動車部品メーカーのボルグワーナー社は1960年代のピーク時5,000以上の労働者が強力な全米自動車労働組合下で繁栄していた。マンシーを含むデラウェア郡は米国の白人労働者階級の男性が極端に衰退した都市である。70,000の人口であるこの都市は10,000以上の工場の仕事が海外に流れ、労働組合の衰退により、1970年以降に産業の空洞化が進んだ。現在引退している自動車工場の労働者グループは主に労働者階級の白人男性であり、過去20年間で多大な経済損失を経験している。マンシーの労働階級白人男性は、皮肉にも海外で製品を生産しているビジネスマンである大統領候補者ドナルド.トランプの経済政策を圧倒的に支持している。それはなぜだろうか?

30日に公表されたロイターの取材報告によると、2016年の大統領選で彼らは再び、民主党候補者のポピュリストであるバーニー.サンダース及び共和党候補者のトランプが労働者階級にアピールする経済政策を聞いた。過去の候補者は多数の公約を果たすことはなかったが、労働者階級に経済政策をアピールしたトランプ及びサンダースに投票した。予備選でマンシーを含むデラウェア郡では共和党有権者の52%はトランプに投票し、民主党はサンダースに投票した。彼らはヒラリーの夫であったビル.クリントンが署名した北米自由貿易協定(NAFTA)に多大な影響を受けた人達であるため、特にクリントンを支持しなかった。彼らはマンシーの経済衰退はNAFTAのせいであると信じている。この都市の共和党有権者は11月にトランプに投票する予定であり、その選択を変える様子はない。共和党全国大会でトランプはアメリカの都市で増加している犯罪、経済の崩壊など「悲観的な世界観」のスピーチを披露し、大半の米国人は「誇張であるとして拒否した」がマンシーの人々にとってそれは非現実的ではなかった。

2000年に大学学位より低い白人男性は、デラウェア郡に在住している全白人男性の約3/4を占めていた。 2014年までにその割合は、約5%ポイント低下したが、グループの人口割合は比較的安定しているものの、フルタイムの仕事に就労している白人男性の年間収入は大幅に減少した。2000年にフルタイムで働いていた白人男性の47%は$ 50,000以下(2015年のドル値)の底辺3番目の所得者であった。2014年までには彼らの60%が底辺の3番目の所得者になった。一方、フルタイムの仕事で $ 50,000 から$ 100,000の所得があった白人男性の割合は43%から32%に低下した。また、$ 100,000以上の所得者の割合は11%から8%に下落した。彼らは、米国が総体的に経済成長しグローバル化していたとしても、以前よりもっと底辺で益々貧しくなり、孤立していることを感じるようになった。

この期間に全米1,800の郡のうち所得が減少している白人男性が増加している。この傾向は特にミシガン州、オハイオ州、インディアナ州で顕著である。人々が政治的信念をどのように採用するかを研究しているニューヨーク大学スターン. スクールの社会心理学者ジョナサン.ハイトは「トランプは久しぶりに労働者階級の白人男性のために話をしている最初の候補者です」と述べた。2008年、共和党大統領候補であったジョン.マケイン及び2012年にオバマ大統領に敗北したミット.ロムニーはこれらの選挙区で手を差し伸べることはなかった為、労働者階級の白人男性は疎外感を抱いていた。

産業空洞化の荒廃に焦点を当てた研究に取り組んでいるボール.ステイト大学の歴史の教授ジェームズ.コノリーはマンシーの労働者階級白人男性は力を失ったと感じていると述べた。彼らの大きな部品工場が繁栄している時代には 「労働組合は止まない力」があり、良い給料を得ていただけでなく、彼らの声はほぼ全てであった。しかし、労働組合の衰退により、労働者階級の人々は「彼らの声が奪われていると感じています」と語った。また、製造業を研究している経済学者マイケル.ヒックスは、労働組合の憤慨と政治エリートに対する入れ混ざった感情が完全なドアをトランプに開いた事を示唆し、「メキシコ人及び貪欲な工場の所有者であろうと、貴方の問題を大きな勢力に向けて非難することはいつも簡単です。しかし、このような人々は愚かではありません。彼らは仕事が戻ってこないことを知っています」と述べた。彼らにとって最大の懸念は彼らの子供たちの将来のことであると指摘した。地元の人々の不満の一つは、経済の統計的尺度は彼らが周りで見ている事を反映していないことである。マンシーの失業率は5.7%で、全国率の4.9%またはインディアナ州の4.6%より遥かに高い。かつて繁栄した白人労働者階級の南側地域では現在2,000以上の廃墟化した家屋が点在している。これらの一部は化学物質によって汚染されているため占有することはできないという。

この取材報告は、トランプ支持者の一部がトランプの外交政策の危険性を懸念していること、移民及び人種問題が最も重要な選挙課題ではないこと、不法行為は米国の雇用市場に影響を及ぼしているため、不法移民の強制送還やイスラム教徒の入国禁止を主張しているトランプのメッセージは人種差別ではないと思っていること、トランプは彼らの経済を改善すると信じていることを明白にした。皮肉な事にトランプ製品はすべて海外で生産されているが、トランプはほとんど一貫して、キャンペーンでアウトソーシングする企業には課税し、海外からの仕事を戻すと公約し、雇用拡大を強調している。マンシーの労働階級白人男性は過去20年以上課されたNAFTAの貿易協定から「意図的にこの国に取り残された」と感じている事を伝えた。

又、この報告は労働者階級の衰退は労働組合の弱体化と相関関係があることを明白にしている。超党派のシンクタンクである経済政策研究所(EPI )によると、NAFTAは米国の企業が海外に生産を移動し、米国での販売を可能にする原則を確立した。その結果、第二次世界大戦の終結以来、労働組合が中産階級を押し上げた米国労働者の交渉力を削減し、賃金の停滞及び富と政治権力の所得を押し上げる結果になった。NAFTAは4つの主要な方法で米国の労働者に影響を与えた。⑴ 生産をメキシコに移動した為、約70万の雇用損失を引き起こした。NAFTAにより職を失った労働者の大半は、永久的な所得の損失を被った。⑵ NAFTAは、強制的に低賃金と給付を労働者に受けさせる米国の雇用主の能力を強化した。NAFTAにより、企業は税額控除やその他の補助金を要求するため地方政府を簡単に脅迫できるようになった。 ⑶ メキシコの農業や中小企業部門は破壊的な影響を受け、劇的に多数のメキシコの不法移民が米国の労働市場に流入する結果になり、更に米国の賃金を下げる主要因になった。⑷ 最も重要な点として、NAFTAは利益が資本と労働費に流れるグローバル経済の規則の為の型板であった。NAFTAのオリジナルの経済政策は共和党大統領ロナルド.レーガンが1979年に提案し、10年後ジョージH.W.ブッシュによってメキシコ及びカナダと交渉された。民主党がコントロールしていた議会で通過することはなかったが、1993年1月に就任したビル.クリントンはウォール街の経済顧問に囲まれ、議会が通過を押し通した為1993年12月8日に署名した。これは両党がレーガンの「反動的な経済イデオロギー」を受け入れた事を示唆した。トランプをリードしているヒラリーの弱点の一つは、オハイオやミシガン州の一部地域でもこの政治史のインパクトがあることである。

 

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