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昨年9月25日元下院議長のジョン.ベイナーは辞職を公表し、約10日後ポール.ライアンはベイナーの後継者となった。約1年後、11月の選挙が終わった移行時期に、ライアンは下院議長職を失うとの噂があり、辞職に追い込まれる可能性がある。派閥があり硬直化傾向の共和党内を統一できないことが最大の理由ではない。あるいは、彼の予算案が成功していないこともその主要因ではない。なぜ、ライアンは議長職を失う可能性があるのか?

ライアンは下院議長就任後、元共和党予算委員会の委員長として、党の統一に努力をしながら、予算調整などにも関与していた。しかし、実際には彼の予算案は特に米国民には人気がなかった。例えば、ライアンは社会保障を民営化し、メディケアをクーポン.システムに変えることを提唱しているが、これは高齢者の受益を減少させ、医療費が高くなる点で最も不人気な財政政策である。2015年7月のカイザー.ファミリーの研究では、米国民の83%が社会保障は政府の重要なプログラムであると見ている。また、メディケアの現状維持は党派を超えて一般的に支持されている。メディケアは「非常に重要である」と答えた民主党は89%、共和党は69%、無党派は72%である。ライアンのクーポン.システムには大半の国民が反対しているが、ライアンの財政政策は辞職強制の最要因ではない。

また、複雑な派閥のある党を統一することは至難の技であり、ほぼ全ての個人が成就可能な任務ではないため、それも主な理由ではない。下院議会の共和党を主流派(エスタブリッシュメントと呼ばれる支配層)、保守派、及び超保守派の3つに分類することが可能である。例えば、財政保守派は必ずしも宗教保守派とは限らないため、中絶及び同性結婚に反対していない場合もある。逆に、宗教保守派を含む明白な社会保守派路線の共和党が必ずしも強固な財政保守派であるとは限らない。そのような主流派の例に、聖書を政策の柱とし、富裕層に大幅な減税をする一方で、高齢者の処方箋を補うためメディケアを拡大したジョージW.ブッシュを挙げることができる。一般的な財政保守派は政府規模、負債、及び政府支出の制限を重視し、中絶や同性結婚などの社会的問題にはさほど強い関心を向けない。恐らく、コーク兄弟はこのタイプに属する。共和党内がこのいずれかであった2010年以前には機能不全の問題はさほど顕著ではなかった。

2009年、超保守派のティーパーティ運動が台頭し、2010年から彼らの代表者を議会に送ることに成功した。現在、下院議会にはティーパーティを代表する42人の下院フリードム.コーカス(H.F.C)のメンバーが存在する。H.F.Cは財政及び社会政策のいずれにも超保守派である。彼らは憲法に基づく自由と繁栄、及び宗教特にキリスト教の価値を強調し、中絶及び同性結婚にも強く反対している超保守派している。また、政策の制限、企業の減税、及び予算のバランスを提言している財政面でも超保守派である。2013年、彼らはオバマケアの融資停止を主張し、政府閉鎖を遂行した。上院議会で政府閉鎖を促進したティーパーティ議員はテッド.クルーズであり、彼は上院を分裂させたことで知られている。

H.F.Cは2015年、ベイナーを辞職に追い込んだ。ライアンはベイナーの推薦を受けて、2015年10月20日彼の後継者としての推薦を受けることを公表し、H.F.Cを含む235人に支持され10月29日下院議長に就任した。今年7月、ドナルド.トランプはほぼ全てのメディアの予測に反して共和党大統領の指名を受けた。党の威厳を強調する下院議長ライアンは、しばしばトランプの発言に対抗しなければならない状況に直面した。しかし、最近までトランプを中心に党内が団結することを呼びかけていたが、7日に公表された女性に対する性的暴力を自慢したトランプの会話が収録されたテープの暴露は決定的な要因になった。そのテープ公開後、ライアンはトランプのキャンペーンを「擁護しない」と宣言した。

ライアンがトランプを放棄したことを最も攻撃している下院メンバーはH.F.Cである。彼らは、トランプの南部国境に壁を建設し、不法移民を強制送還し、イスラム教徒移民の入国を停止するトランプの政策に同意している。トランプの全ての政策に同意していないが、この超保守派はトランプをホワイトハウスに送り出すことを目指している。下院議会の主流派はトランプを支持していないが、一般的な保守派の多くはH.F.Cと同じ立場である。特に、H.F.Cはライアンを議長として忠実ではないと見ているため、ベイナーを追放した時と同様、ライアンを閉め出す意図があるようだ。8月頃から、その動きはあったが、H.F.Cの主要メンバーの一人であるノース.キャロライナ出身の共和党米国下院議員マイク.メドウズは先週、11月の選挙後ライアンの後継者に関する協議を行い、投票を実施する可能性があることを公表した。

下院議長を入れ替える場合、下院議会は435名で構成されているため218の投票が必要になる。共和党は246人であるが、選挙後はかなり変化する可能性もある。なぜなら246人中、約20人は辞職するため、その議席は両党が競い、少なくともその中で10の議席及び他の共和党の議席は11月8日に民主党に打破される可能性があるため、選挙後ライアンを議長席から閉め出すために必要な218票を得ることが可能であるか不明である。何れにしても、H.F.Cはリベラル傾向があるトランプの幾つかの政策を支持していないが、トランプを擁護しないライアンを議長席から外すとの主張には矛盾がある。メドウズは、トランプが彼らほど強固な保守派ではないことを認め、現時点では同様のイデオロギーを共有することが目的ではないと述べている。トランプの推定敗北の要因を無神論者であると述べているH.F.Cの最終的な狙いは、議会から主流派を締め出し、議会を制覇することであるためである。つまり、ライアンに対する辞職の脅しはベイナーを辞職に追い込んだ時と同じ動機である。当面の目標は、彼らとは多数の側面で異なるトランプを勝利させることである。 少なくとも、ライアンは米国が分裂することを望んでいないが、H.F.Cはその反対路線をアピールしているトランプを支持していることが明白な相違点である。

 

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